fc2ブログ

【恋する彼女の不器用な舞台】感想

恋する彼女の不器用な舞台

2014年11月28日にCUBEより発売された、18禁恋愛アドベンチャーゲームです。
10年前の作品となりますが、近年では2022年にPS4/switch版が発売されるなどのコンシューマ版への展開も見せているようです。

追記よりネタバレを踏まえた感想になります。
























百花ルート



本作の特徴でもあるのですが主人公以外の視点の描写が多めであり、百花視点でも段々と一悟のことを意識していくことが見られたなど、甘々度はかなりのものでした。
まあ、その行き着く先が甘酸っぱい告白などではなく、オナ二ー見せあいっこでお互いの想いを確認という斜め上すぎる工程だったのは伝説的でした。こんなことある……?

恋する3

一人Hの後に三人Hをしてようやく二人Hに着手するという、異例の経緯で二人は繋がりました。
ようやく初Hかと思いきや真里亜さんが突然おっぱいを丸出しにしてきたので驚きました。この人本当に学生だよな……?
初Hがこんな形でええんかなと思いつつ、百花の身体の弱さと恋人を大事にしたい余り慎重になりすぎている一悟のことを考えると、後押しされたというのも事実でした。
病弱設定のヒロイン相手に容赦なくパコパコしていくというのも鬼畜ですから、丁寧に段階を踏んでいた印象です。


一悟は百花のコンプレックスを解消する手段を一度真里亜に相談をするものの、「一悟が自分で考えてこそ意味がある」と言って突っぱねられてしまいます。お嬢様の人生を左右する問題に向き合ってるのに意外と薄情なのね……と最初は思いましたが、この時点では真里亜は一悟のことを「将来仕える相手」として信用し切っており、自分なら出せなかったであろう答えを出してくれることを期待した故の行動だったのかもしれません。
(メタ的な見方をすると主人公に自らの足で恋人の過去を辿らせることで見せ場を与えるため、真里亜の株を落とさないためという狙いがあったのだと思われます。)


真優は千奈ルートやアリスルートでは一悟の想い人のことを慮って自分から挑戦を投げかけていましたが、百花ちゃんには勝てなかったようで本ルートでは自ら行動を起こすことはなかったです。
もちろん一悟の幸せを願う、自分を変えてくれた百花に恩返しをするという描写はちゃんとあるので、真優ちゃんは自立していました。しかし、演劇にしても一悟に頼まれて渋々承諾するという形であり、千奈ルートやアリスルートほどの存在感は放ってなかったです。

その分どういう描写が多かったかというと、やはり主人公とヒロインのイチャイチャに焦点を絞っていました。そして、サブヒロインの真里亜さんの台詞量も他のルートよりも段違いに多いです。
本作は「真優の自立」が良い意味でも悪い意味でもボトルネックとなっていたので、それが唯一希薄な百花ルートは替えの利かないルートであると言えます。


クライマックスの演劇は、百花が擦り切れるほどに読み続けていた「宇宙旅行の演劇」。
百花はぶっつけ本番だったものの、台詞を覚え切っているという描写が良かったですね。

恋する11

当の本人の真優にとっては思い入れは特に強くないものの、この演劇があったからこそ百花は演劇と真優に興味を持ち、演劇部を創立し、文芸部と共に文化祭を成功させ、真優の自立への大きな手助けとなりました。
いわば物語の原初の演劇。その再現でした。


百花は自分に自信を持てないというコンプレックスこそあれど、他のヒロインほど明確な弱みは見せていませんでした。
人よりも体が弱いというどうしようもない弱点はあったので、終盤では冗談抜きで命の危機に陥るんじゃ……? なんて考えていましたが杞憂でした。

百花は真優の大ファンであり、千奈の幼馴染であり、アリスのホストファミリーということで、他のヒロインとの結びつきが強いです。
お家の経済力と最強キャラの真里亜がバックについており、本人も準最強キャラということもあって、他ルートでは主に黒子役として光っていた印象がありました。



千奈ルート



千奈の小説がエロエロなことは百花ルートではネタバレされていました。普段のハレンチな言動からして納得といえば納得です。
しかし、彼女が官能小説家となったのは単純な好奇心ではなく、文学という観点から官能小説に興味があったという凄まじい理由でした。

恋する1

真優が仕事に対する誇りも何もない性格だった分、そういった部分を千奈が担当していたという印象です。


千奈ルートも百花ルートと同様にヒロイン視点のト書きが多く、お互いを段々と意識し合っていく描写が積み重なっていました。
なので今度こそ青春真っ只中の純情青春ラブになるか……と思いきや、またまた交際前にオナ二ーしてくるヒロインでした。
なんなら今度は交際前に手コキまでしてくれました。ペ二スに対してファーストキスしちゃいましたとか言ってきました。

恋する2

最後まで目撃してしまった贖罪とか罪悪感とか言ってるけど、人の家上がり込んでオナ二ーしてくる方がどう考えても悪いやん……。
上記の官能小説への姿勢といい、初デートの場所がアダルトショップなことといい、当人達は大真面目に取り組んでいるのにも関わらずやってることがピンクすぎるのがギャップがあって面白いルートでした。これコンシューマ版ではどのくらいテキストが変更されているのでしょうかね。


千奈と真優の勝負という名目の、演劇「きらきら星」の公演。
いや……勝負とは言っても作るのが同じ舞台で、しかも別々の仕事を担当するというのはそれはもう優劣の付けようがないのでは……? 案の定結果は引き分けとなりました。

まあ、優劣を付けるのが目的の勝負というよりは、お互いが意地の張り合いで自身の覚悟を見せるという「勝敗のない挑戦」だったのだろうと思われます。こんな忙しい中でよくわからない条件で勝負を突き付けられてそれに乗っかっちゃう千奈はかなりの負けず嫌いなのかもしれません。
結果的には千奈は多くの人間と触れ合うことで小説の弱点を克服でき、眼前で真優の努力の成果を見せられたことでコンプレックスを解消できたので、一悟としては最初からこの辺りの千奈の成長が目的でしかなかったと思います。


天才と呼ばれる人間は努力をするだけの理由を持つ人である。そして、夢中になれるぐらい好きなことを見つけられた人である。
向き不向きという面で才能が存在するというのは事実です。しかし、そうやって嘆いたり悩んだりする行為こそが「夢中になって努力をする」ということからかけ離れた行為であると、真優の姿を見て千奈は気付きました。
自分の道に誇りを持っているならばこそ、「好き」という天才に繋がる最も重要な感情を大切にしなければなりません。

恋する7

初めて出版された千奈の本の煽り文、『愛情表現の探求者による、挑戦の記録』。まさに本ルートのことを謳っていました。




アリスルート



外見が好きなので攻略を千奈の後に回したことを告白します。金髪のツーサイドアップはこの世で最も美しい髪型とされているので。
衣装姿のアリス会長のビジュアルも良かったですね。金髪のツインテールはこの世で最も美しい髪型とされているので。


一悟とアリスは大昔に一度出会っていたという衝撃の真実。
アリスが来日した当時のことを話したがらないのは共通ルートや他ルートでも匂わされていました。隠し方からして後ろめたいことでもあるのかと思いきや、単に一悟に自分から思い出して欲しかっただけという乙女な理由でした。
真実が発覚した後はこの「アリスちゃん」の口調が時折登場するのが面白かったですね。

恋する9

才色兼備で欠点がないかのように見えていたアリスは、他人の為に行動しすぎる余り自分は脇役に徹することこそを信念としていました。
この世は舞台、人はみな役者。アリス自身は舞台に上がろうとするのではなく、舞台を提供することこそが自身の役回りであると考えていました。

しかし、自分を犠牲とする行為は決して最善などではなく、自分を好いてくれる人間を裏切る行為です。
常に他人と壁を一枚隔てて歩んで来たアリス会長がそれを知る機会はこれまでありませんでしたが、本ルートでは一悟と真優によって諭されていくことになります。


最後はイギリスへ行ってしまうアリスへの壮行会。……とは名ばかりの、劇場「あらし」の再上演。
あらしは一悟・真優・アリスが演じた三人が手を取り合うハッピーエンドという結末であり、それがそのまま三人の未来へと繋がっているという対比がとても美しかったですね。
アリスルートは千奈ルートや百花ルートと比べても、「真優も含めた三人の物語」であることが強調されていました。

恋する8

本作のストーリーの始まりでもあったアリスの抱負である「退屈を駆逐する」というフレーズが、最後に登場したのは良かったですね。
告白の再現といい、全校生徒を証人にしたプロポーズといい、終盤の盛り上がりは全ルート中でも随一だったと思います。



真優ルート



メインヒロインに相応しいボリュームと内容の濃さのあるルートでした。実質TRUEです。
終盤用BGMだった『覚悟』は他ルートでは一度きりしか流れないものの、このルートでは五回も流れます。毎回流れるタイミングを楽しみにしてたぐらい好きな曲だったから安売りされたのは悲しい


意外だったのは、このゲームが「天才子役による"その道に打ち込む人間"の美しさを描いた物語」……などではないということでした。
なんせこれだけ演劇を題材としたシナリオなのにも関わらず、真優が演劇を好きだと言ったことは一度もありませんでした。
千奈ルートで描写されていたように努力は確かにしていたけど、それは一悟を振り向かせるための努力でしかなかったです。なんとも奇妙な天才でした。
真優はアリスルートでは自分の演劇に対するそのような姿勢を自省する場面もあります。

十年以上そのステージで活動をし続けた結果、海外劇団との契約が舞い込んだことを契機に向いていないということを自覚。
演劇が好きでもなんでもなかったのに、一悟が呟いた何気ない一言のせいで十年以上も女優を続けていたというのが凄まじいですね。
二桁の年月はいくらなんでも途方もなさすぎて、もっと早く気付けたんじゃないか……?とは思いつつ、本人としてもここまで上に登り詰めるのは予想外だったのかもしれませんね。
真優の控えめな人間性のことを考えると言い出せなかったという可能性もありそうです。もしくは一悟の為に「かっこつけていた」のかもしれません。


そして、本ルートで脚本家の道を志すことになった一悟。彼自身も執筆を好きだと言ったことは一度もありませんでした。
脚本コンペで行き詰っていた一悟の筆が乗るようになったきっかけの言葉は、「かっこつけようとしない」こと。要は「上手く書こうとしない」ということでした。

恋する5

たかが校内での小規模な演劇とはいえ、具体的なスキルアップを目指さないことが答え。言ってしまえばどこまでも職人の世界を舐めていたような、そんなストーリーだったと思います。
しかし、これもまた生き方のひとつです。本作が美徳としていたのは、徹底的なまでに「他人のため」という在り方をする二人の生だったと思います。


一悟が脚本を書くのは、真優が演じてくれるのが好きだから。
真優が演劇をするのは、一悟の脚本を演じるのが好きだから。
至極混じりけがなくこれ以上ない理由。好きなのは仕事ではなく自分に応えてくれる相手。これこそが二人の辿り着いた生き方でした。

恋する6

エピローグの宮国真優名義、題目「あらしの先に」は感慨深いものがありました。
幼馴染から恋人となった一悟と真優の関係。
最も大きな変化は、一方的に与えるだけの関係性が相互的に与える関係性へと昇華したことでした。








【好きなルート】
真優>アリス>千奈>百花

【好きなヒロイン】
アリス>真優>千奈>百花



タイトル通り各ルートの終盤では主要人物達によって画策された何かしらの「舞台」が上演されることとなります。
各個別ルートはそんな「ひとつのものを全員で作り上げる」ということに、彼女や仲間達が取り組んでいく姿勢が大筋として描かれていました。
そして待望の舞台ではたっぷりの演出やハプニング等の発生によってプレイヤーを惹き付け、各ルートの明確な「山場」としてクライマックスを大きく盛り上げてくれました。


本作のメインヒロインである真優ちゃんは、開始時点で主人公への好感度がカンストしていて、その感情を一切隠さずにアプローチをし続けてくるという珍しいキャラクターです。当然彼女とのルート以外の場所では彼女と結ばれる未来はありません。
依存と引きこもりを脱却してもなお一悟と幼馴染以上の関係を望んでいることは変わらない彼女は、最終的に一悟の幸せをどのような形で願うことになるのか?
個人的に別の個別ルートで最も見所だと感じられた部分はそれであり、上記の好きなルート順も真優ちゃんの描写がどれだけ多かったかで決まっているところはありました。

恋する4

そんな最重要キャラクターである真優ちゃんのルートはというと、意外にも「衝撃の真実が明かされる」ことや「かつてない逆境下での演劇」などの起伏の激しい展開はありませんでした。
純粋にお互いの丁寧な心理描写の積み重ねの果てに、真優が「庇護対象の幼馴染」から「人生のパートナー」へと変化していく様子が描かれていました。
最初から最後まで真優ちゃんゲーだったと思います。


千奈ルートでは才能の存在が否定され、好きという気持ちを大事にさえすれば人は天才になれるということが語られました。
真優ルートでは真優は「演劇」ではなく「演劇の向こう側にいる一悟」にしか目を向けられず、最後までその姿勢が変わることはありませんでした。

本作の才能や夢の在り方は、自分の考えとは違いました。
しかし、徹底的なまでに「好き」という原動力を賛美し尽くした、ひたすらに前向きな「愛」の世界。これはこれで面白かったと思いました。


ちなみにHシーンの数が各ヒロイン五つ前後とかなり多く、実用性という点でも優秀かもしれません。絶頂カウンターなんて機能は初めて見ました。
BADエンドでは大人のお姉さん達とのHシーンまで拝めます。(先生何やってんの……??)


恋する10

BGMは種類が豊富で名曲揃いでした。
日常BGMは『千奈のテーマ』が一番好きです。HシーンBGMの『ロマンティシズム』は人にイベント用BGMと嘘をついて聞かせても通りそうです。

そして、なんと言っても各ルートのクライマックスで流れる『覚悟』が印象的でした。もはやこのゲームのシナリオに感動した要因の半分ぐらいはこの曲の存在と言っても過言ではないかもしれません。
ピアノと弦楽器によって奏でられるオーケストラ調の曲は本作の作風とも合致しており、「ノベルゲームはシナリオと音楽の掛け算」という言葉を真に感じさせてくれるような素晴らしいものでした。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

as7_9

Author:as7_9
Twitter
Youtube
毎週水曜19時26分より放送中

最新記事
カテゴリ
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる