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【Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】感想

カリギュラ

フリューより2016年6月23日に発売されたRPG『Caligula -カリギュラ-』の、リメイク版となります。

追記よりネタバレを踏まえた感想になります。
as7_9の心の奥に踏み込みますか?











本作のシナリオ中は所々パートポイスになっていますが、キャラエピソードは全てフルボイス仕様となっております。
他のゲームだったらこういうサブイベントこそパートポイスになりそうなものですが。注力されていることが伺えます。

現代病理というのがテーマのひとつでもある物語なので、かなり攻めた設定を持ったキャラクターが多いのが特徴です。
例えば最初に仲間になるグループのまとめ役キャラの正体が30歳引きこもりニート、次に仲間になるヒロイン顔の女の子の正体が育児放棄ヤンママということからして、中々に痛烈でした。
鼓太郎や鳴子は背景以前に輪を乱すような言動やラインを超えた発言が多く、人によっては鼻につくタイプのキャラクターだと思います。

とにかく一言で言ってしまえばクズというレッテルを貼られてしまいがちな仲間が多いです。
しかし、言い換えてみれば意図してそう設定されたキャラクターでもあります。自分たちのことを欠陥集団であると自覚している彼らが主軸となった群像劇は、それならではの見応えがありました。ちなみに自分の推しは鳴子です。


また、追加キャラクター四人のエピソードがリンクしている作りになっているのは秀逸だと感じました。
その都合で琵琶坂という仲間キャラクターは楽士ルートに入らないと進行度が9で止まり、最後まで彼の嘘に気付けなくなってしまいます。

そして、カリギュラ効果である「心の奥に踏み込む」という選択が、唯一裏目となり得るエピソードであり、面白い試みだと感じました。
普通はこういう性格になったのには理由があるとか、主人公との付き合いを踏まえて心構えを変えて生きていくというのが着地点として王道だと思いますが、まさかの永久離脱……。こんなにどうにもならない悪人が味方側に居るというのも斬新すぎるゲームだと思いました。

本筋だけを見れば帰宅部は、現実に地獄というルビを振って嫌いつつも、それでも明日へ踏み出す選択をする。という前向きなお話でした。
しかし、上記の琵琶坂のような人間と、主人公との交流を経てもなおメビウスに残る選択をせざるを得ない梔子。どうにもならないことも確かにある、ということを感じさせてくれるシナリオだったと思います。


このゲームの最も好きなパートといえば、楽士ルートのラストでした。

リメイクによる外付けの弊害であることを加味しても、待ち伏せ作戦で毎回主人公が自由行動できるようにハブられている、Lucidの存在について疑問に思われることが少なすぎるなど、都合が良すぎます。主人公が何故こういった行動に出たのかは全くの不明であり、辻褄はガン無視していると言っても過言ではありません。
しかし、このルートに合理性は最初から用意されていないし、するつもりもなかったと思います。「もしも積み上げてきたものを最後に全て壊したらどうなるか」という、たったそれだけの結末でした。
そして、いくら過程や辻褄を欠いた結末とは言っても、結局それを選択したのはプレイヤー自身でもあります。

主人公は終始無言で主張を全くすることがなく、ソーンの肩を持った理由は最後まで語られず仕舞いです。
もはやボーカルのなくなった『SuicidePrototype(Remix)』と、アリアのテーマソングでありながらどことなく物悲しさのある『veritas』を背景に、仲間からの罵詈雑言と慟哭を聞いていくだけの結末です。
前述の「どうにもならない悪人」に、自ら成ることができるルート。リメイクから始めた身ですが、よくこんなルートを作ったものだと思いました。本当に最低で最悪のルートでした。



また、キャラエピソード以外にこのゲームを語る上で欠かせないのは、楽曲です。
本作は有名ボカロPが手掛けた数々のボーカル曲が、ダンジョン・戦闘で流れるようになっています。いずれも作中のボスキャラクターである楽士が製作したという設定なので、歌詞に目を向けてみるのも楽しみ方のひとつとなっています。

自分は『ピーターパンシンドローム』と『Veritas』が好きです。
特にVeritasが良いですね。設定上はアリアのデモソングということで、歌詞はμの『orbit』と似通っていますが、一部歌詞や旋律などの相違点はあります。
例えば歌詞中の「Orchard Scale」というのは果樹園において花を食い物にして生きる寄生虫(カイガラムシ)という意味にもなり、誰かさんのことを指しているようにも聞こえます。
他にも優しい風の部分が悲しい風に変わっているなど、流れるタイミングがタイミングということを加味しても、不穏さを感じさせる楽曲となっていました。


演出面としては戦闘では掛け合いが非常に豊富であり、全ての帰宅部のキャラクター同士に戦闘前・戦闘後の掛け合いが設定されています。
他にもキャラエピの進行度合いによって台詞が追加されたり、エンディング後の帰宅部と楽士を同じパーティに入れられるモードでは帰宅部と楽士間でも掛け合いが用意されているなど、作り込みを感じさせられました。

また、戦闘に入るとBGMがボーカル付きになるシームレス感、ボス戦ではRemix版が流れることなども好きな部分でした。
いずれも上記のキャラクターや楽曲の良さを引き立てるものとなっており、秀逸であると感じました。


しかし、RPGとしてのシステムの完成度に関しては、取っつきにくい部分が多かったです。

戦闘については、未来予測で敵の行動を覗き見ながら各攻撃に対するカウンターを取ったり、スキルで空中に打ち上げた後に味方の空中限定スキルで追撃して貰うなどは、パズルのようで戦略性はありました。
……と見せかけて、HARD以下は主人公の初期スキルを連打しているだけで勝てるというバランスです。いちいちカウンターを狙ったり味方と連携を取ったりする必要性はありませんでした。
そもそもリスクブレイク状態にしてしまえば敵が無防備になる上に入るダメージが二倍になるので、適当に攻撃してリスクブレイクを狙うだけで勝ててしまいます。

それならば難易度を上げれば良いという話かもしれませんが、難易度を上げて最も変化するのは命中率です。とにかくこちらの攻撃全てが低命中技となってしまいます。
確かにゲームは難しくなりますが、結局コンボ前提の戦闘でコンボ始動技が当たらずに運ゲーを強いられるだけなので、その調整はどうなの……?と思ってしまいました。

また、サブクエストは主人公のパラメータを上げる為には必須なのですが、消化には有り得ないぐらい骨が折れます。
合計523人の生徒が世界中に散らばっており、各生徒を探し出して三回ずつ話しかけないとクエストが発生しない、鍵付きの生徒は知り合いと先に仲良くならないと話しかけても拒否される、デジヘッド化した生徒は一度倒さないと話しかけられない、条件が「同じパーティで敵を20体撃破する」「特定の場所(ダンジョン)に連れていく」などの面倒臭すぎるものばかり……など、挙げたらキリがない程に不便でした。ちなみに敵を20体撃破するクエストはリメイク前は100体だったらしいので、これでも緩和されています。
自分は途中まではやろうとしていたのですが、いくらなんでも厳しすぎたので断念しました。どんなに大昔のゲームでもここまでは酷くない、と言える程に大変だったと思います。








総括としては、「システム面は不自由だったけど、キャラと曲と演出が神」なゲームでした。
シリーズファンの方々からは「1はゲームとしては不完全」という話はしばしば聞いていました。
いざプレイをしてみると、確かにシステム面において絶対的評価としてどう見ても擁護不可能な部分がいくつかあることが見受けられたので、これは手放しに人に勧めるのは難しいと納得しました。

ですからRPGとしての歯応えを求めて遊ぶよりは、レベリングなしボタンぽちぽちで駆け抜けられる程度まで難易度を下げて、読み物として割り切るのが自分には合っていました。
そういう楽しみ方をすれば本当に面白いゲームだったと思います。自分が別のゲームをプレイする時に求めているものも、大体キャラと曲と演出なので。その三点に尋常じゃないぐらい力が入っているのを感じました。

キャラクター性については力が入っているとは言っても攻めに攻めまくっており、ここも賛否が分かれる部分だと思うので、やはり人を選ぶ作品だとは思います。
琵琶坂や梔子の設定、楽士ルートの展開に関しては「ここまでやるの?」と思いました。しかし、こういう重すぎるエグすぎる設定だからこそ見られない話もあり、嵌まる人は本当に嵌まる作品だと感じました。自分もその一人でした。

続編はセールが来たらやろうと思っています。

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