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【いろとりどりのセカイ HD Re:GENERATION】感想

いろとりどりのセカイ HD

本作はFAVORITEより2011年7月29日に発売されたPC用18禁美少女アドベンチャーゲーム、『いろとりどりのセカイ』のHDリマスター版となります。
こちらのHD版はつい最近、昨年の9月末に発売されたものです。積みゲーに追われていたのでこの通りクリアするのはとても遅れてしまいましたが、実は本作は自分が初めて予約して購入したエロゲなので、プレイする意欲自体は死ぬほどありました。(もちろんオリジナル版は未プレイです。)

追記よりネタバレを踏まえた感想になります。
個人的にとても楽しめた作品だったので今までよりも文章量が増えてしまいましたが、今後ここまで長文の感想を書くことは稀だと思います。














































加奈ルート



全個別ルートの中でも特に長く感じました。
内容としては白さんを救おうとするところから始まり、加奈やあゆむの人生を綴った長い回想が語られるので、イベント盛り沢山なルートだったと思います。
加奈ルートでありながらも白ルートでありあゆむルートでもあるので、内容が濃すぎました。それでも主軸となるのは加奈の約束から始まった偽りの恋が、本物へと昇華していく模様でした。

あゆむは共通ルートを見ている限りでは加奈に気があるのかなという予想しかできませんでしたが、意外過ぎる正体がありましたね。
それにしても日常シーンでは悠馬の同性愛のケに辟易していたあゆむ自身が、結果的には同性愛に走っていたというのも数奇な真相でした。
しかしながら、終わってみれば現実で一度きりとはいえ曲がりなりにも悠馬と面識のあったあゆむ君は、何を思ってこのセカイでは猫に設定されたのでしょうか。最後の世界でも猫のままでしたし、一体どういう狙いが……?



澪ルート



まさか幼馴染にこんな秘密が隠されていたとは。一応「偽物でも自分にとっては本物でしかない」という話は、奇しくも最終ルートの展開にも通じていましたね。
他のシーンで言うと全員で美少女ゲームをプレイするのは悪ふざけ全開で面白かったですね。本作の日常が最も濃く感じられたパートでした。

最終版は鈴さんの無双で終わるかと思いきや、学生寮の危機を悠馬が解決するというまさかの展開もありました。
地下室の柱時計がどういうものなのかというのは、ゲームを終えた後でも理解が難しかったです。最終盤の真紅の言葉を聞く限りではガチの他世界同士を繋ぐファクターだったと予想できますが、あらすじとして書き込まれたにしては明らかに世界の垣根を超えた設定を持っているキャラクターが多すぎました。

そういった明らかな超常存在として用意されたあの柱時計が適当にいじくってるだけで本当に壊れてしまうのかというのと、他にも取り憑かれたかのように澪を待ち続ける悠馬を学生寮の人達が容認するはずがないので一切の干渉描写がないことに対する違和感、澪が他世界で三日も居座っていたのは何故なのか等、個人的に疑問に思った部分はありました……が、そんなことどうでも良くなるぐらいラストシーンは感動的でしたね。
奇跡を起こされて『Brand New World』流されたら否が応でも泣いてしまいます。二人の間では偽物だった水平線に対する思い出が、最後には紛れもなく二人を繋ぐものとなったのかもしれません。



鏡ルート



前者2ルートと比較して短く感じました。他のルート比べても悠馬が積極的だった気がします。
鏡は共通ルートではあまり他ヒロインとの絡みがない引きこもりの女の子という設定だったので、彼女の会話や成長していく過程を見ていくのは面白かったですね。つかさと友情を結ぶのは意外でした。

最後は蓮也さんから呪いの手紙が届いて終了。設定としては時雨の義理の息子(?)であり蓮のパパである男だったのに、どうしてこんなことに……。
鏡を賭けて決戦でもすることになるのかと思いきやそんなこともなかったです。



つかさルート



おそらくは鏡ルートよりも更に短いです。
本作は他の個別ルートではファンタジーな要素が多かったと思いますが、つかさルートに関しては働かなくていい世界が存在するというのは触れられたものの、その設定に意味があるような話ではそこまでなかったように感じました。最後も言ってしまえば💸お金の力で解決💸ですからね。

と言っても最終的に真紅ルートが全部もっていくような作品であるというのはこの時点から自明でしたし、ゲームにファンタジーな要素を求めているというわけでもないので、全く悪い感情はなかったです。
個人的には迷惑をかけたとわざと三回言う辺りのシーンは好きでした。



ちなみに今回自分が実践した「加奈→澪→鏡→つかさ」という攻略順は、公式で推奨されている攻略順……らしいです。
お恥ずかしいことにソースは特に調べていないのですが、どのみち最後にTRUEエンドが出てくるタイプのゲームなので個別の攻略順はあまり重視していませんでした。

確かに加奈ルートで語られる「加奈はもうすぐ死ぬ」「あゆむはにゃんこ」というトンデモ真実を知った上で他のルートをプレイするかどうかというのは、各匂わせ描写に対する印象が変わりそうなものではあります。まあ、知っていたら知っていたで腕組んでニヤニヤしながら楽しむことができるし、知らなかったら知らなかったで描写を伏線として楽しむことができるので、加奈ルートに関しては最初にやっても最後にやっても面白そうだと感じました。
一応、鏡がつかさとおともだちになる過程を見ていた方がつかさルートの解決方法にはより感情移入ができると思うので、個人的には鏡ルートの後につかさルートプレイという順番は守った方が良いのかな……?と思いました。



真紅ルート



他のユーザーのゲーム全体のクリア時間を聞いている限り、最終ルートはとんでもなく長いんじゃないかと予想していましたが、本当にその通りでした。

ちなみに自分はルートプレイ前はTRUEのストーリーとしては、「真紅以外を好きになることを考えられなくなった悠馬が、真紅と恋をすればするほど願いが叶って真紅が消えてしまうという事実に葛藤していく悲恋が描かれる」……というある種ありがちなあらすじを予想していました。
しかし、よもや主人公が神様で今までの世界が丸ごと作り物である、なんて真実を叩きつけられるとは思いませんでした。こんなの予想できる人いるんですかね。すごい。
今までの伏線を回収していくどころか、風呂敷を更に広げてきた話という印象でした。実際にプレイしてみると真紅ルートだけでも8~10時間かかった気がします。


真紅ルートは悠馬、真紅、鈴さん、藍の四人の物語という印象でした。
内容としては上記の予想の展開とはある意味真逆でしたね。悠馬が選択したのは真紅との恋ではなく、贖罪として孤独に戦うことであり。
最初は作り物でしかない恋を体験しようと真紅に近付いた悠馬が、最後は自らそれを突っぱねた選択をするというのは感動的でしたね。

自分はこの辺りの真紅との別れの場面が本作で最も印象に残りました。
悠馬は真紅だけがいない世界で、自分が生み出した偽物のセカイで、真紅のことを忘れないまま生き続けるということ。
この日に真紅に好意を伝えなかったことを後悔したまま、一生を終えるということ。それが悠馬が願いを叶えられなかったという確かな証明なのでした。


本作が結末としてどう収拾を付けていくのか読めませんでしたが、「新たな世界を創造して真紅と共に生きていく」ということで、完全なるハッピーエンドだったと感じました。
新しい神様となってくれた藍は至れり尽くせりであり、悠馬は彼女には足を向けて寝られないぐらい助けてもらえました。
しかし、それは最果ての古書店において藍と神様として話したこと。彼女の姉に興味を持ち、本物の世界において人間として真紅と関わっていったということ。偽物の世界において生まれ変わった藍を『逃がし屋』として救おうとしたということ。
人としても神としても不完全な存在だった悠馬が、行動していった結果の実りに違いなかったと感じました。

悠馬達の最後の選択は、悪い見方をしてしまえば自分たちにとって都合の良いように新たに作った、作り物の世界で生き続けていくというものです。
度々「世界を再構築する」という結末は物語においては使い古されているかと思いますが、本作はもはや再構築どころか構築です。
本ルートの中盤でついにタイトル回収がされましたが、「偽物」と書いて「いろとりどりのセカイ」というルビが振られていました。逆に言い換えてみれば「このゲームのタイトル名は『偽物』」ということですので、中々衝撃的な事実でしたね。

しかし、悠馬と真紅にとって始まりは偽物の恋であり、生きてきたのは偽物の世界として生まれた場所だったとしても。そこで過ごしてきたものは、何よりもどんなものよりも価値がある本物だったと、真紅は言いました。
だからこそ、最後に生まれた世界も端から見れば写本であるものの、彼女たちにとっては本物にほかならない世界であり。そこで生き続けていくという悠馬と真紅の結末は、とても二人に相応しいものだったと感じました。









キャラクターの中では元々真紅のビジュアルに惹かれて本作を購入した人間なので、キャラクターデザインとしては真紅が一番好きでした。最終ルートでお披露目されたあどけない表情のCGや口を大きく開けて泣く姿は印象的であり、彼女が「恋をする物語」のメインヒロインとして徹底的に魅力を持って描かれていたことは揺ぎ無かったです。
また、物語を通して最も印象に残ったキャラクターといえば鈴さんでした。真紅ルートは鈴さんも主役の一人だったと思います。
おじさんの言う胸に貯まった幸せを最後まで使うことができず、恋を叶えられなかった夏目鈴。彼女が『逃がし屋』としての役割を全うするべく窓から紙飛行機を飛ばすシーンは、このゲームでも指折りの心に残った場面でした。

最後は世界構築のついでに、悠馬が鈴さんに余計なことをされた仕返しに余計なことをしていくという、世界を巻き込んだじゃれ合いが発生していました。本人に無断で設定を改変するというのも中々に鬼畜な神様でしたが、当人は満更でもなさそうなので結果的には良いことをしたのかもしれません。思えば鈴さんが時雨に感じていた大好きの気持ちは歳の差があってのものだったし、そこには得られなかった家族愛を重ねていた可能性もあっただろうしなぁ……。
何よりも悠馬は新しい世界では藍に言われるがままに真紅以外の人間を丸ごとリビルドしても良かったというのに、鈴さんだけは当事者として認めて本人を引っ張ってくるという特別扱いをしたことが良かったですね。そこには悠馬なりの感謝の気持ちも含まれていたのでしょうし、憎まれ口を叩きつつもお互いそれぞれの贖罪の為に動いていたということもあり、本当に美しい関係でした。


BGMは『あさきゆめみし(サンクチュアリ)』の旋律を使った曲はどれもが印象的でした。紛れもなくメインテーマでした。
また、しっとりしたピアノ曲が多い中で、OP曲『アレセイア』のアレンジは一転して熱い曲調となっており、各場面のドラマチックさを引き立てていたと感じます。
あとはギャグBGM②である『事物存在』も好きです。聴くだけで加奈がメガホンを持っているSDが目に浮かびます。

良い曲しかありませんでしたが、自分が最も印象に残ったのは『Brand New World』です。本当にここまで好きになれる曲は久し振り過ぎて一生聴けます。
こんな曲が各ルートのクライマックスで流れてくれるのだから没入感が凄まじかったです。


総じて、素晴らしい作品でした。ここまでノベルゲーに熱中したのは久し振りだったかもしれません。
HD版を購入したため続編二作品も手元にあるので、近々プレイすることになると思います。

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週一で変な日記を書いています。

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