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パオパオパオパ

MAGES.より2022年7月28日に発売されたアドベンチャーゲーム、『ANONYMOUS;CODE』をクリアしました。

ANONYMOUS;CODE

最初の発表から七年の時を経て、延期に延期を繰り返し、ついに発売された科学ADVシリーズ待望の最新作です。
某グレートなロードのようにこのまま開発凍結かと思いましたが、今年になってめでたく発売されることとなりました。
広告も気合が入っていたようで、初週で約一万本の売り上げを記録することになりました。……まあ、近年のADVジャンルのゲームにしては売れている方ではあると思います。

ネタバレが致命的な最新作のアドベンチャーゲームなので、シナリオに踏み込んだ感想は自重しておきます;;
……と見せかけて自分も科学ADVシリーズファンの端くれであり、自分の中での感情について整理したい部分もあったので、ネタバレありの感想を書いていきたいと思います。
未プレイの方は追記の文章の閲覧をご遠慮ください。

ちなみに個人的な評価で言うと星3.5ぐらいです。






































良かった点



目玉システム『ハッキングトリガー』周りが作り込まれている



本作の最も好きな部分でした。
特定の箇所でトリガーを開くことによって、ポロンに「ここでロードしようぜ!」という指示を送ることができるわけですが、非常に作り込みを感じさせられるものとなっていました。


このハッキングトリガーによる分岐が生まれる範囲ですが、やたら狭く設定されています。大抵は一箇所につき2,3メッセージ分ぐらいしかないのではないでしょうか。
ちょっと遅れたり読み飛ばしたりするだけでロードを発動できず、ゲームオーバー一直線になることも珍しくなかったです。
「なんでここで拒否されるんだよ!」とツッコみたい箇所もありましたが、その分ゲームの難易度が上がっていて良かったと思います。

他にゲームの難易度が高くなっていると感じたのは、トリガーを開くと逆にゲームオーバーになってしまうポイントがいくつかあるところ。
そして、終盤の『特定の位置でセーブデータを作っておく』という分岐方法。ヒントも少なかったので自分は一時間ぐらい詰んでしまいました。志倉千代丸インタビューを読んでなかったら自力では無理だった。
厳密にはハッキングトリガーではありませんが、最後にライフゲームを使ってTRUEに行くのも面白かったですね。まさかサブのお遊びミニゲームにしか見えないものが仕掛けになっていたとは。

ADVといえばテキストを読むだけで終わるようなゲームも多いですが、本作は脳死で読んでいくだけでは決して終わらず、それなりに頭を使わされるような作りになっていました。
そのおかげで自身の手でTRUEエンドに到達した瞬間は、細い糸を伝ってようやく辿り着いた感覚もあり、感動を覚えるものがありました。
近年では攻略情報はネットにいくらでも転がっていますし、面倒臭いと思う人は調べればいいだけなので、こういった難易度にしたのは個人的には正解だったと思います。


他に遊び心を感じさせられる部分としては、不適切な箇所でハッキングトリガーを開くとポロン君にロードを拒否されるのですが、その時の反応パターンもありえないぐらい多かったです。
バッドエンドが確定した後に開くと「もう手遅れだ……」と言われたり、重要な会話中に開くと「あんたも気になるだろ?」と言われる等。その場面専用っぽい反応も少なくありませんでしたし、一体何パターンあったのでしょうか。

また、結末とは関わらない分岐も多く設定されており、一見どうでも良さそうな場面でもトリガーを開くことによってテキスト差分を読むことができました。
中野シンフォニーズ結成までのドラマや、オズとカオルとリディが出会った経緯などは、そちらで語られていました。本編に組み込んでくれ。



プレイヤーが登場人物の一人になることによって生まれた没入感



プレイヤーは今回『アノニマス君』となり、主人公の相棒としてがっつり事件をサポートしていくことになります。
終盤に第四の壁をぶっ壊してくるゲームは数あれど、ゲーム序盤から終盤までプレイヤーを登場人物としてカウントしてくる作品は珍しかったと思います。無論科学ADVシリーズにおいても初の試みでした。

上記の通りハッキングトリガー拒否時の反応パターンが多いおかげで、ポロン君が常に機械的でない反応をくれるということもあり、主人公とプレイヤーの一体感が生まれていました。
プレイヤーが相棒としてがっつり物語に関わりすぎるせいで、主人公とヒロインの関係性が薄れてしまうというのも感じなかったです。本当に良い塩梅になっていたと思います。

元より科学ADVは主人公がみんな変態だったり勝手に突っ走ったりしてしまうせいで、主人公とプレイヤーの乖離が発生しやすいゲームではありましたし、こうした「それなら登場人物にしちゃおう」という試みはひとつの正解だったように感じました。



『時間もの』としては及第点の作り



「主人公がタイムリープをして物事の解決に向き合っていく」という、近年では親の顔より見た設定です。
この手のタイムリープものの設定は使い古されているからこそ、他作品と比較した場合の優劣が浮き彫りになってしまいがちです。実際同シリーズに時間ものの金字塔とも言うべきゲームが存在していますからね。

自分も他のタイムリープ系のADVをいくつかプレイした上で、且つ直前にその金字塔を再履修したという前提で本作に手を付けました。
正直それと比較すると見劣りする部分はありましたが、タイムリープものの中では綺麗にまとまっていると言える出来栄えではあったと思います。

終始タイムリープ連打でゴリ押すような形にはならず、終盤はタイムリープでは解決できない問題が現れたり、そもそも相手によって封印されてしまうこともありました。
タイムリープの能力に頼っているという自覚やその対価、「なかったこと」にする重みはしっかりと語られていました。
終盤の地の文の面白さは流石林さんでした。



中だるみしない構成



ノベルゲームは序盤や序盤を超えた辺りがややだれやすいと思いますが、本作はそんなことはなかったです。
展開が非常に早く、次々と新事実が発覚していくので、すらすら進めることができました。
まあ、と言ってもそれは裏を返せば……。



引き継がれていた主人公の系譜



大好きな女の子の為の、覚悟と選択。
終盤はシリーズファンからすれば「こういうのでいいんだよこういうので」と言えるものだったと思います。




残念だった点



短い



クリアにかかる時間は10時間前後です。
歴代の科学ADVシリーズ作品は、オカンを除けば普通にプレイしたら25時間はかかるゲームしかありませんでした。長ければいいってもんでもありませんが、アノコはあまりにも短すぎました。
ボイスをしっかり聞いた上でテキスト差分を全て回収して、ようやく20時間かかるかどうかだと思います。なお同じ条件でカオチャをプレイしたら50時間かかります。

本作はキャラクターの掘り下げに一役買っているような、「他愛のない無駄な話」が少なかったです。
一応アイドルのライブを手伝うエピソードや、トリガーによる差分を含めればクリスマスプレゼントを贈ったりパオパを引きにいく話等、遊びはないこともないです。
しかし、シュタゲは前半丸々が積みパートみたいなもんですし、ロボノは部活動の話なだけあって日常が念入りに描かれており、カオスシリーズは言わずもがな妄想トリガーがありました。
歴代作品と比べると比重は明らかに小さいと言わざるを得ませんでした。

上記の通り中だるみせずに話が進むことは結構なのですが、キャラクター数は多いのにも関わらず感情移入がしづらかったので、どうにも薄っぺらく感じてしまいました。
「ジュノはcicada3301の妹だった!」「ユアンは悪い人だった!」「この世界はシミュレーションだった!」という事実を次々と並べられるので、進めていて飽きを感じることは確かにありませんでしたが、「それで?」となってしまいます。



個別ルートがない



本作はTRUEとノーマル以外は全てBADエンドとなっており、個別ルートは存在しません。
歴代の作品には毎回実装されていたのにも関わらずです。

個人的には科学ADVシリーズはキャラゲーとしての側面も強く、カオヘは個別ルートのおかげで評価が倍になったレベルでした。
シュタゲも個別ルートがあるからこそ自分はアニメよりもゲームを推す派閥となっていますし、ロボノもキャラクター一人にフォーカスした章を組み込むことで青春群像劇としてのドラマ性を引き立てていますし、カオチャも別々のライターが執筆しただけあってそれぞれが違った味のするエピソードとなっていて面白く、オカンもドリブルが上手いです。
自分としては科学ADVシリーズで楽しみにしている部分のひとつだったので、本作に個別ルートがないという事実はとても悲しかったです。

上記の通りキャラクターの過去は差分でこっそり語られる程度であり、深刻な掘り下げ不足でした。
例えば「この世界がシミュレーション」という壮大なネタを仕込んだのだから、各登場人物がそれに対して思うところはオズ以外にも描いて欲しかったと感じます。
そもそも中野シンフォニーズ結成の経緯なんかは超重要な情報だと思うのですが、それが条件を満たさないと見れないのもおかしいです。これもハッキングトリガーに重きを置いた故の仕掛けなのだと思いますが、初見で気付ける人はどのくらいいるのでしょうか。



主人公がキモくない



ポロン君のことは好きです。上記の通り最後の選択は歴代主人公に通ずるものがありました。
しかし、歴代主人公と比較するとあまりにもいい子すぎました。
「引きこもり」「厨二病」「格ゲーマー」「斜めに構えたオタク」「アフィブロガー」。そういったレッテルとして語られる痛い設定はポロンには備わっていませんでした。

歴代の主人公は一癖も二癖もありすぎました。
どのくらい癖があったかというと、誰もがそのタイトルへの意見として「主人公がキツかった」という批判を挙げられる種になっていたレベルです。
少なくとも自分はオカン以外の全作品でそういったレビューを見てきました。オカンも探してないだけで探せばあると思います。

ですからこれは人によると思いますし、ポロン君のような普通の性格にした方が上記のように火種になることもないですから、万人受けは100%します。商業的には間違いなくこちらが正解です。
しかし、「主人公がキモい」というのは紛れもなくシリーズの系譜であり、個人的には科学ADVシリーズの魅力のひとつでした。

最初はキモいと感じていた主人公が、物語を通してみるとかっこよく見える。ひいてはその痛い設定が物語内で意義のあるものになる。
賛否が毎回生まれるほどにギリギリを攻めていた、主人公の癖の強さ。それは自分が科学ADVシリーズに求めるもののひとつだっただけあって、ポロン君のことを否定するわけではありませんが、今回の方針変更は残念でした。



シュタゲいつまで引きずんねーんw



リディがあの人の名前を何度も何度も出してきたところから嫌な予感はしていましたが、姿までがっつり登場してしまいました。
この手の演出はシュタゲが好きな人向けのファンサービスとも受け取ることができますが、やり過ぎです。二重の意味で。
過去作のキャラクターが物語にここまで関わってくるのはやり過ぎだし、こうしてシュタゲのキャラだけが他作品に関わってくるのも何回目なのかわかりません。

一応ロボノはダルがラスボスにトドメを刺すプログラムの製作にこっそり携わり(続編では主人公を務める)、カオチャは紅莉栖の下の名前がちらっと出る程度でした(スピンオフ漫画ではメインキャラ)
そして、アノコではアマデウス紅莉栖さんがTRUEエンド到達にあたっての解決の糸口となりました。
本編にここまで出張ってくるのは初めてではないでしょうか? 確かにテーマが似通っている作品なのでシュタゲと切り離して語ることはできませんが、今回の登場の仕方はそれとは無関係だったと思います。なんなら無理矢理登場させてきたようにしか見えませんでした。

もちろんシュタゲ自体は自分も好きな作品ではあります。
しかし、度々思っていることなのですが公式がここまでシュタゲだけをゴリゴリに前面に押し出してくる姿勢は受け入れ難いものがあります。
シュタゲって「未来のことは誰にもわからない」というオチになったからこそ、後日談の取り扱いにはより気を払うべきだと思うのですが……。




総評



やはり本作の肝となっている『ハッキングトリガー』周りがとても完成されていると思います。
明らかにその時ではないタイミングでも、ついついトリガーを押してポロン君の反応を楽しんでしまいました。
TRUEエンドに到達するまでの難易度はそれなりに高く、ロードでしか干渉できなかったプレイヤーがセーブで干渉するようになるという流れも熱く、辿り着いた時の感動は一入でした。
アドベンチャーゲームとして光る部分は確かにあり、よくある時間ものの物語としても綺麗にまとまっていたので、決して悪いゲームではないという印象はありました。

しかし、科学アドベンチャーシリーズとして見ると物足りない部分は多くありました。
何よりも7年待ったのにも関わらず、このボリュームの薄さは気になりました。キャラデザは良かったし話も作り込まれていたと感じましたが、ここまで展開の速い物語に従来のように感情移入するのは難しかったです。
高岡ポロンは自分にとって紛れもなく「科学ADVシリーズの主人公の一人」として愛せる存在とはなりましたが、シリーズの系譜の一端が絶たれてしまったことは残念に思いました。


インタビューを読む限りでは、何やら根底から製作をやり直したという経緯もあったようです。
正直なところボリュームの少なさは元より、立ち絵があるのに物語にほとんど関わってこないキャラもいれば立ち絵がないのに重要ポジションっぽいキャラも居たということで、製作が十分に終わらずに世に出てしまったと邪推するには十分でした。

科学ADVシリーズはシュタゲやカオチャ等はエンタメ作品として楽しめる側面も強いですが、シリーズ通しての特徴といえばやはり地の文の面白さと、それが織り成す圧倒的なキャラ魅力です。
本来ならもっと中身のある内容になっていたのかと思うと、残念で仕方なかったです。

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週一で変な日記を書いています。

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