
くそったれなゲームをリタイアしました【CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!】感想
「CHAOS;CHILD らぶchu☆chu!!」のクリア後の感想です。
こちらは前回の記事とは違ってネタバレ全開となるので、閲覧にはご注意ください。
しかしモタモタしていたところ、限定版が在庫切れとなってしまい、予約不可に。残念。流石に通常版で妥協したら一生後悔してしまいそうなので、別の店で予約することにしました。
色んな店をチェックしましたが、発売日の一週間前ということもあり、限定版はほぼ在庫切れとなっていて選択肢は少なかったです。
最終的に楽天で予約しました。店舗特典は乃々のEdyカード。卒業証書を持っている女の子の絵ってなんか好きです。
Amazonの特典である世莉架のポスターも欲しかったですが、Amazonでゲームの予約は自殺行為なのでやりませんでした。昔ドラクエ7をAmazonで予約したら発売日から一週間遅れで届いたので、もうそれ以来信用していません。
で、プレイ前はネタバレを見ないでプレイするぞ~と意気込んでいたのですが……実は発売日の二日前にトロフィーバレを踏んでしまったので、誰のルートがあって誰のルートがないのかという情報はプレイ前からわかっていました。
つまりその時点から自分が一番楽しみにしていた久野里さんルート、自分が一番好きなヒロインのうきのルートがないというのが突きつけられてしまったので、割とかなりヘコんでいました。
まあ、変に期待しながらプレイしてがっかりするよりはマシなので、結果論ですが踏んだのは正解だったと思いました。誰のルートがあるかなんて普通にプレイしてたらトロコンするまではわからないことなので、仮にこのバレを見ないでプレイしていたらクリア後に比にならないぐらいのショックを受けていたと思います。気が気じゃなくて普通にシナリオを楽しむことができなかったかもしれません。
楽天でゲームの予約をするのも初めてでしたが、しっかり発売日の昼に届けてくれました。有能。
ちなみに限定版の特典のひとつである、差し替えジャケットがこちら。


※AVではありません
裏面もしっかり作り込まれていました。特に久野里さんに至っては裏面まで完全描き下ろし。
他のヒロインと比べると彼女にはまともなCGが存在しないので、このような措置が取られたのでしょうか。それにしても力が入ってました。
それでは、ルート毎の感想を書いていきたいと思います。
ルートがないのはわかっていたので不思議ではなかったです。が、一縷の望みを絶たれたような気分にはなりました。
本編のTRUE後の話ということですが、久野里さんもすっかり丸くなっちゃってましたね。
その後登場したのは、因果律を捻じ曲げる能力を持つギガロマニアックス。強すぎませんかね。ファンディスクだから許されますけど。
この能力者によって拓留が震災の時に願ったことや真乃々の生死など、各キャラクターが持っていた不幸な過去を書き換えられてしまいました。
そして開かれたのが、LCC世界の扉。なるほど、こういう入り方でしたか。OPのシークバーの演出も伏線だったのですね。
ここまで設定を割り切ってくれたのならばクリア後に鬱展開が待っているということもなさそうで、安心してプレイできそうだと思いました。この時は。
OP映像が流れた後、共通ルートへ突入。
早めに分岐するという情報は千代丸氏のインタビューで聞いていたので、共通部分が短いことに不満はありませんでした。
攻略順はあまり決めていませんでしたが、「結衣&結人→伊藤→乃々→香月→有村→世莉架」となりました。
深い理由は特にありませんでしたが、同時に進めていた人と攻略ルートを被らせたくないと考えていたらこうなりました。

結衣と結人が動画投稿や生放送を繰り返して、人気アイドルを目指していく話。
まあ……こんなあらすじになった時点で、「どうせ純真な二人がネットの闇に飲まれてトラブっていく話なんだろ!」と、容易に想像できました。インターネットの使い方には気をつけよう!
一番ひやひやしたのは結衣と結人とうきが三人で生放送を始めたシーン。一体妹達がどんな恥ずかしい思いをしてしまうのか、あたかも子供を見守る親のような心境で見守っていました。
途中で乃々や佐久間が乱入してめちゃくちゃになっちゃうとか、結人が女装しているのがバレちゃうとか。何が起こるのかと色んな意味で不安すぎましたが、BANで済んで良かったですね。
生放送での失敗は笑い話で済まされましたが、最終的には案の定、シャレにならない事態に巻き込まれてしまいました。
結衣と結人が@ちゃんねるで特定されてしまい、何者かに誘拐されてしまいました。原因は生放送での失言。結人が「ヒカリ」って言った時点で嫌な予感はしていました。身バレ怖い。
誘拐犯の正体はなんと、「こっちみんな」改め「こっち見んなー!」の被害者であった人物、大谷悠馬。本編で他のメインキャラクター達を差し置いて一番最初にボイスが流れるあのキャラです。「適当によろです」とか言ってた人です。
人気アイドルとなった結衣の姿を配信することで来場者数を稼ごうとしていたみたいですが、こんなの生放送しちゃうとか誰かどう見ても警察沙汰案件ですよね。未来視能力持ってる癖にこんなのも考えられないとは。
まあ、本人も人気生主として返り咲くということよりも、来場者数を稼ぐことしか考えてませんでしたし、もはや嫉妬によって正常な判断ができなくなっていたのかもしれませんね。
結衣&結人編と言うからには、他のルートと違って恋愛要素は皆無で、青葉寮での兄弟愛を描写していくのがメインのストーリー。
……なのかと思いきや、しっかり結衣とラブちゅっちゅしてました。シスコンロリコン歓喜。

中学生の妹に劣情を抱いてしまうタクさん…すこなんだ…w
逆に結人は結衣をサポートするだけの役割に落ち着いており、シナリオは全て拓留と結衣が中心となって進んでいたように感じます。ですから実質結衣ルートでした。
まあ、結人の女装姿「ユウちゃん」は一部の層には受けが良かったようです。それに結衣を大谷から救えたのも彼の能力のお陰でしたし、結人もしっかり活躍はしてました。
「踊ってみた」の投稿から人気アイドルになるのなんて宝くじを当てるみたいな確率ですが、(自称)情報強者の拓留のプロデュースや、ショタコンケイさんのアツいダイレクトマーケティングの甲斐もあって、二人は人気アイドルとして無事成功を収めました。
エンディングでは二人がアイドルとして成功できたのは、うきの能力によるものだった可能性が高いと、説明されました。
最終的には「妄想は妄想として終わらせた方がいい」ということで、結衣と結人はアイドルを引退し、普通の生活へと戻りました。綺麗に妄想科学ADVらしいオチがついたと思います。

ノーマルエンドもグッドエンドも、最後は結衣が拓留へ告白する形で終了。
結衣の本編でのあの結末と比べると、このルートでの結衣はとても幸せそうで、なんだか救われたような気持ちになりました。結衣が「夢」って単語を出す度に涙が出てくる。
このルートでの結衣は自分の好きなことができて、好きな人とも結ばれることができて、本当に幸せになれたんだなと思いました。
と、このルートを終わらせた直後は思ったのですが……。
この世界の真相を知ってしまった後で思い返してみると、とても残酷な話だったことがわかりました。
他のヒロインの乃々や有村は拓留達と共に妄想の箱庭に閉じ込められていたので、妄想でできたハリボテの世界とはいえ、彼女らの自己はしっかり投影されていました。
妄想シンクロが解けた後でも、拓留が彼女達のルートの中で過ごした記憶は、彼らの中に思い出として確かに引き継がれました。でも、結衣だけは……。
どのヒロインともフラグを立てられずに進むと、自動的にこのルートへと分岐してしまいます。仕組み的にはカオヘLCCの星来ルートと同じでした。
所謂バッドエンドなので他のルートと比べると非常に短いです。長かったら問題すぎるので当たり前ですけど。

こんなルート入れるんだったら久野里さんルートかうきルートをですね……。
伊藤が最後何を言いかけていたのか気になります。二人の気まずい関係が妙に生々しかったです。
アホなED曲とアホなED映像が流れ、拓留のリア充ライフは終了。ED曲名「BOYDAKEYO」ってなにそれ。
ちなみにこのエンドを5回見ることで獲得できるトロフィーがありました。
トロコンを目指しているならば必ず通らなければならない道。なんで5回も見させるんですかね……。
「泉理の扱いはどうなるんだろう?」というのが、LCC発売前の疑問のひとつとしてありましたが、それは乃々ルートに入ってからすぐに明らかになりました。
家の中だと泉理。家の外だと乃々。家族達には秘密を話した状態で、しっかり使い分けていました。
ちなみに本物の乃々は生存中で、海外へ留学したという設定になっていました。
同時に泉理の辛い過去がなかったことにされたので、泉理がわざわざ乃々に成り済ます理由に無理が生じてしまいました。というか本物が生きてる時点ですぐに周りにバレてしまうと思うんですけど、大丈夫だったんですかね。
まあ、ヒロイン達とイチャコラするのが目的のファンディスクでヘビーな過去話を持ってこられても辛いので、これで良かったと思います。
本編のような重い設定がない分、乃々や泉理たんと心置きなくちゅっちゅできる!
などと考えていたプレイヤーの前に立ちはだかったのは、パワ原雅司。やっぱりか。一体今度はどのようなクズさを発揮してくれるのでしょうか。
……と思いきや、初っ端からネタ要素全開でした。
乃々から手作り弁当を貰って有頂天になったり、それで乃々が自分を好きだと思い込んじゃって告白しようとしたり、臭い発言連発してる所を盗聴されちゃったり、地味にニコニコ笑ってる立ち絵が追加されてたり。
なんかもう……一周回って可愛いなあお前と思って見てました。

フラれた腹いせに校内恋愛禁止令なるものが発令されましたが、拓留達にとってはノーダメージ。
全てにおいて不憫すぎて笑いました。(´-`).。oO(クズ……かも。)
川原君は本編では散々暴れ回ってプレイヤーをイライラさせてくれましたが、LCCではネタキャラとして固定されるようですね。
……が、時は進み、急遽全校集会が発生。
川原君……本編以上にクズじゃん!
・人のプライベートに踏み込んで動画を撮る
・全校生徒の前で晒し上げて糾弾する(冤罪)
・拓留を退学まで追い込む
・ギガロマニアックスに覚醒する
どう考えても本編以上にでかいことをしまくっています。
いや、拓留達は何も悪いことしてないのにこれはどうなんだろ……。ここまで胸糞悪い展開になってる辺り担当ライターはどうせあの人なんだろうとわかってしまう
拓留達は全く非がない……どころかむしろ、親切で赤ん坊のお世話をしていただけなのに、拓留と乃々をここまで苦しめてしまうなんて巨悪すぎます。特に乃々は自分の唯一の弱みをあたかも人質のようにされ、「自分のせいで拓留を苦しませてしまっている」と思わされるわけですから、本編の比じゃないぐらい傷付けられていたと思います。
乃々ルートの担当ライターさんはTwitterでは「悪役がいないと物語が成り立たない」的なことを言ってましたけど、本編の乃々ルートの川原君のような、見ていて不快になるだけの奴はいくらなんでもあんまりです。
悪役は主人公達が何かを得る為に踏み台にされるのが役割だと思ってるので、ああいう踏み台にもさせてくれないような奴は流石に……。
しかし胸糞悪い展開とは言ったものの、本編の乃々ルートとは決定的に違う点がありました。
今回のLCCの乃々ルートにて、ついに川原君は完全敗北しました。
乃々が勇気を出して自身の秘密をカミングアウトしたことによって、立証完了。拓留達は見事に冤罪を晴らしました。
結果的には川原君の行動は泉理が勇気を出すきっかけとなり、拓留と乃々のキューピッドとなったのではないでしょうか。悪役としては理想的な立ち位置だったと思います。
なお、エンディングでの川原君はというと、

・不登校になる
・記憶喪失になる
・泉理に告白する(フラれる)
本編であんだけdisってた泉理に告白ってマジか……。
泉理にフラれる所は拓留達に目撃され、「また記憶がなくなりそうだな」と哀れまれる始末。とにかく惨めでした。
本編の乃々ルートで好き放題暴れたのにも関わらずお咎めなしだったパワ原君を、ついにぎゃふんと言わせることができました。
これで本編の乃々ルートを見て胸糞悪く感じていた人も、ようやくすっきりすることができたかもしれません。
ただ、個人的に期待していたシナリオとは違ったので、そこはあまり好きになれませんでした。ごめんなさい。
川原君、良い意味でも悪い意味でもサブキャラなのに目立ち過ぎですね。スタッフの趣向的にLCCで川原君がネタキャラにされるのは予想できましたが、まさかここまでスポットライトが当たるとは。
ただのサブキャラの川原君へプレイヤーが悪意を持つように誘導し、最後に揃って笑い物にしてしまうようなシナリオって……うーん。
何よりグッドエンドでの「来栖以外にも女はいる」って台詞が、彼らしくなさすぎて。記憶をなくしてしまうほど壊れてしまったとはいえ、これだけは言って欲しくなかったです。
確かに悪役としては理想的な立ち位置だったと思いますが、川原君がこんなコテコテの悪役になること自体を僕は望んでいませんでした。前半まではちょうどいいぐらいの立ち位置だったから良かったんですけどね。
後半は真相を立論できない歯がゆさが胸糞すぎるし川原君可哀想だしで、あまりいい気持ちはしませんでした。純粋に泉理や乃々とラブちゅっちゅしたかった。
それでも、本編ではなかった泉理達との家族団らんの様子を見ることができただけでも、このルートに価値はありました。本編のTRUEで最終的に残ったのは泉理と結人(+うき)だけでしたから。
正史では半分以上亡くなってしまった家族達が一切欠けることのなかった世界線というのは、正に本編のオアシスの着地点としては相応しいシナリオだと思いました。
ノーマルエンドの乃々の「私ね……たぶん、ずっと拓留のことが好きだった……」という台詞には、本編のことを思い出して泣いてしまいました。
乃々は拓留のことがずっと好きだったんです。それなのに拓留は、あんな選択を……。一体彼女はどういう気持ちで拓留の選択を受け入れていたのでしょうか。

本編のどのルートでも叶わなかった彼女の願いが、ここに成就しました。
本編の香月ルートでの香月は普通に良い子でしたしね。本来の香月はあんな変態じゃないです。
これのせいで「性格が本来の香月とは異なる=香月の本来の性格を知らない誰かが想像で作った=やっぱり誰かの妄想世界の話?」という邪推までされていました。
しかしシナリオを読み進めると、プレイムービーに映っていたあの変態香月は『華』という裏人格であり、香月の能力による産物だったと説明されました。
「ゲームばっかりしてないで青春もしたい」という香月が口にした願いが、リアルブートされたものだそうで。プレイムービーのあのシーンは決して香月の性格が変わってしまったというわけではありませんでした。
このルートが一番笑いました。とにかく拓留が絶叫しすぎ。
クールキャットプレスのメモの辺りとか面白すぎて。おそらく別のライターさんが書いてるのかなと思いましたが、テキストが物凄くツボでした。

話の大筋は、拓留が『華』とデートをさせられ、その中で『華』が拓留を終始誘惑してくるから、デート終了までに拓留が『華』にキスをしてしまったら負け。しなかったら勝ち。という内容。
なにこのくそったれなゲーム。香月にずっと振り回されまくりの拓留は面白かったです。
どのみちあのドスケベ香月が香月の妄想の産物であったことは事実なので、それにはちょっとがっかりでした。
やっぱりせっかくなら本来の性格の香月とのラブちゅっちゅを望んでいました。こんな香月であって香月ではないなにかとの交流がメインなのは少し残念でした。
……と思いきや、クライマックスで判明したのは『華』は香月の思い込みでしかなかったという事実。
つまり、普通に『華』=香月でした。あんなに拓留を誘惑しまくっていたのは能力が勝手に暴走していたわけではなく、香月が心の奥で望んでいたことです。
ですから一連の出来事も香月の性格の一部によるものだったということがわかって、ホッとしました。まさかこんな収まり方をするとは。

『華』の粋な計らいによって、香月から拓留への告白が行われる。
何から何まで『華』に出番を奪われすぎていて拓留が主人公らしいことをほとんどしてなかったのが気になりましたが、まあ良い話だったので良かったです。
他に気になった点は、妄想トリガーが少ないことと、ノーマルエンドしか存在しないことでしょうか。
ノーマルエンドしかなかったのは、香月は拓留から自分の居場所を与えてもらっただけで満足しているので、二人の日常は何も変わらないままが一番良いというメッセージですかね?
それでも拓留とえっちなことをしたいという『華』の性格は、他でもない彼女の潜在的な気持ちだと思いますし、それ以上の関係に踏み込むようなエンドがあっても良かったと思います。有村編の幸せそうなエンドを見た後では、余計に思います。
妄想トリガーもポジティブしかなかったりネガティブしかなかったりで謎でしたね。
本筋の展開そのものがぶっ飛びすぎていたのでトリガーは作りづらかったのかしれませんが、やはり追加テキストが他のヒロインの半分以下というのは寂しかったです。
オブラートに包まずに言ってしまえば、あたかも「未完成」であるようにも感じさせられたルートでした。
トリガーやエンディングが少ない代わりにCGはやたら多かったので、そういう意味では優遇されてる……かも。
上述の不満点は無視できませんし、『華』というキャラクターへの印象でこのルートへの評価は変わるので、賛否が分かれるのも仕方ないルートだと思いました。
だってこのルート、香月とラブちゅっちゅしてたのかと言われると、全然してませんからね。期待していた内容と違っていたせいで肩透かしを喰らってしまった香月推しの方も少なくないと思います。
僕も4ヒロインの中では香月が特に好きです。が、個人的には全ルートの中でも最も楽しめたルートでした。
『華』は魅力的なキャラクターでしたし、テキストにも何度も笑わされましたし、香月が自分の気持ちに決着を付ける場面も感動できました。時間があればやり直してみたいルートNo.1です。

有村が拓留の家に同棲を始める話。
本編の有村ルートを見ていた時も思ったのですが、この二人相性良すぎる。
会話がいちいち面白すぎて仕方ないです。「あ~ん」のくだりとか。
同棲生活がめんどくさくなった拓留が川原君を頼りに行く場面には笑いました。毒を以って毒を制すというか。
張り紙ひとつに翻弄されて屁理屈こね始めて前言撤回する川原君も面白かったです。
あと伊藤がどのルートよりもかっこよかったです。間違いなく。拓留と有村の立場をしっかり考えた上で冷静にアドバイスをしてるんだからすごい。
股間で物事を考えてそうなキャラなのに、このルートではやたら真面目でしたね。
有村母も本編同様浮気はしていたようですが、ちゃんと娘のことを考えていたということがわかりました。
家出って聞いた時はまたドロドロの家族関係なのかと思いましたが、エンディングを見る限りでは幸せな家庭を築けたのかなと思いました。有村兄も生存しているようでしたし。
全体的にサブキャラの扱い方が上手いルートだと思いました。
話が進むと、有村が香月ルートの『華』のように拓留を誘惑していく展開になりました。またかい。拓留完全にドMですよね。
しかしこの行動は、有村自身も何の為にやっているのかわからないというものでした。他人の本心がわかってしまうが故に仮面を被って生きてきた有村の、ちゃらんぽらんな行動の一環だったのですね。
他人の本心がわかってしまうことに抵抗を感じていた有村は、いつしか自分の本心すらわからなくなっていた、ということでしょうか。
しかし有村は、拓留の本心を知りたくないと言い出して急に拓留から距離を置くようになってしまいました。
それは本人は気付くことはありませんでしたが、拓留に気がある、もしくは拓留に好きになられたら困る、のどちらかという事実。
自分にとっての好意的な解釈の方に賭けに出た拓留は有村を追い、自分の気持ちを有村に、彼女にしかわからない方法でぶつけました。
スクランブル交差点の中心で愛を叫ぶ。このゲームの中で一番感動したシーンでした。このシチュエーションロマンチックすぎます。
有村の母が出てきたり、二人がデートのようなことをする辺りは、やはり本編の有村ルートを彷彿とさせました。

ノーマルエンドのこの場面は特に、本編の有村ルートを意識しているのかと思いました。

CGも。

台詞も。
二人とも、今度こそ幸せになれて良かったですね。闇の空がようやく晴れました。
ちゃんと最初から最後までラブちゅっちゅしてるし、妄想トリガーもたくさんあるし、結末も余韻が残るし、完成度の高さは全ルートの中でも屈指だったと思います。他のルートと比べた欠点みたいなのが見当たらないです。
彼女が本編でもずっと抱えていたコンプレックスを題材にしているのが良かったです。
有村好きの人はこのルートの為だけに買う価値はあるんじゃなかろうかってレベルです。グッドエンドの髪を下ろしたCGは必見。
プレイムービーの通り監禁生活というニッチなシチュエーションですし、他のルートと同時進行できるのかと思っていましたが……やはり世莉架はメインヒロインということで、攻略は強制的に最後に回されてしまいました。
このルートのテキストで尾上呼びと世莉架呼びがごちゃ混ぜになっていたり、拓留の一人称が一部俺になってたりするのは伏線かと思いましたが、そんなことはなかったようです。
乃々と有村への相談を拓留に盗み聞きされてしまったことがわかり、急に泣き出してしまう世莉架。
誰にだって秘密にしときたいことはあるので、泣いてしまうのも仕方ないでしょうか。何よりも拓留に関する相談事でしたし、彼には聞かれたくなかったのでしょう。
この女……本編の乃々ルートだと他人の秘密をペラペラ暴露してたのに
有村や乃々は世莉架の気持ちを理解していたようですけど、拓留からしてみれば「こんな世莉架は初めて見る」とのこと。
どっちの言うことも正しい気がします。世莉架にとってショックな出来事ではありましたが、彼女の性格的に泣き出す程かと言われたら微妙ですしね。
おそらくこの頃から「白の世莉架」は壊れ始めていたのでしょうか。
そして拓留の監禁生活がスタートしてしまいました。
世莉架のもうひとつの人格である黒世莉架も登場。出てくれて良かったです。

世莉架の口から彼女達の在り方について語られました。「白」「黒」って呼称も公式になりましたね。
世莉架の言い方的に、「素」と言える人格は白の方でも黒の方でもなく、元より存在していないのかなと思いました。と言ってもそれだと「黒」の人格が存在している意味がわからないので、やっぱり「黒」が本性ってことなんでしょうかね。
「白」は女の子を演じる上で都合の良い性格だからという理由で作られたのはわかりますけど、「黒」はどういう理由で作られたのかがいまいち掴めませんでした。
本編の乃々ルートで登場した「灰」と呼ばれる人格にも説明がつきませんし、彼女には謎が多いです。色んな方々の考察を読んでみたい部分です。
ちなみにこのあとハンバーグを食べさせられるCGが出てきたのですが、食べた瞬間Vitaがフリーズしました。なんで。
拓留を女の子とくっつけるのが自分の生きる目的なのにも関わらず、その拓留を好きになってしまい、拓留が女の子とくっつくことが許せなくなってしまった世莉架。存在の自己矛盾の迷路へと陥ってしまいました。
そんな彼女が最終的に選択した結末は、自殺。拓留は能力を全力で使って彼女を止めました。

世莉架の身を守るように後ろから抱き締める拓留。世莉架の表情は悲しく、拓留の腕には枷が。
……なんだかこのCGの構図、本編で拓留が取った選択のことを表してるみたいですね。というのは深読みしすぎかもしれませんが。
さあグッドエンドだという場面で訪れたのは、黒世莉架の「結局お前はその選択をするんだな」という意味深な台詞と、ここにはいないはずの和久井に向かって「いい加減にしろよ」と話し掛ける拓留。やはりただの別世界線の話ではなかったようです。
黒世莉架の「毎晩悲しい夢を見る」という台詞が、とにかく切なすぎました。
拓留による再構築が完了した後では、彼女の意識は完全に消えてしまったものかと思っていましたが、こんなに惨い状態だったなんて……。冷たいコンクリートの世界に閉じ込められていたのは、拓留だけではなかったようです。
冒頭で述べた通り、最後のルートにしてはかなりニッチなルートだな、と思いました。ちゅっちゅはしてましたけどラブラブはしてません。
おそらく最後に回された理由は終盤でLCC世界の真相に言及する描写があったからだと思いますが、それにしても他の部分がマニアックすぎて……。
妄想トリガーもひとつしかなかったですし、窮屈な監禁生活を強いられてしまいましたし、全体的に雰囲気が暗かったです。
黒世莉架が出てくれたのは良かったですが、せっかくならもう少しイチャイチャしてるのを見たかったです。有村ルートみたいに普通にデートとかやってみたかった……。
LCCでもこのような終わり方をしてしまった辺り、やはりこの作品で二人が結ばれることは永遠にないということでしょうか。
ハッピーエンドは本編の結末の冒涜となってしまうと思われて避けたのかもしれませんが、有村や乃々のルートを見ているとこの二人が幸せになって終わるエンドも欲しかったなあああああと思いました。
まあ、これがカオスチャイルドという作品だということなのでしょうか。
「二人が交わることは決してない」というのは、ラブちゅっちゅという如何にもなタイトルのファンディスクでも変わらないと。
個人的にはもう少しはっちゃけて欲しかった所ですが、そういうことなのだと思って受け入れようと思います。黒世莉架のセクシーでエクスタシーな交尾()や、本編の拓留の選択に対する彼女の想いを見ることができたので良しとします。
世莉架ルート攻略後、インターミッションは最終章へと向かいました。要するにTRUEエンドですね。
本作の真相は因果律を捻じ曲げるギガロマニアックスなど存在せず、LCC世界の舞台は和久井が妄想シンクロで作った世界だったというものでした。
その目的は、ギガロマニアックスの力を失った拓留に茶々を入れること。彼が力を取り戻すきっかけを与えられないかと思い、自分の能力を見せしめたのでした。
蓋を開けてみれば結末は発売前からほとんどの人が予想していた通り、和久井の作った妄想世界でしたね。その目的も予想通りでした。それでも序盤は和久井の嘘にすっかり安心してしまったので、うまい作りだと感じました。
緊急時用に自分の体に仕込んでいた装置を使い、一人妄想世界からの脱出に成功したのは、久野里澪。
キービジュアルで一人だけドヤ顔で物干し竿を担いでいる女とか言われた久野里さんが、妄想の箱庭に閉じ込められた拓留達を救う為に、剣を持って立ち上がりました。


久野里さんかっこよすぎか!?
久野里vs和久井。久野里さんは非能力者なのにも関わらず、佐久間の能力の残骸を再利用するなどの機転を利かせ、見事作中最強のギガロマニアックスである和久井を撃退することに成功しました。
和久井は能力を使えば久野里さんなんて一瞬で倒せていたので、完全に「ちょっと遊んでやるかw」ぐらいの気持ちで油断して戦っていたとはいえ、これは大きな快挙でした。本編のTRUEで誰も全く歯が立たなかった和久井相手にリベンジを果たすことができたのですから。
個別ルートがない時点で落胆していたのですが、まさかここまでかっこいいシーンを用意してくれるなんて思いませんでした。
何よりも「たった一人で戦って全員を救った」なんて、もはや完全に勇者です。ただの主人公でした。
久野里さんのチカラアバレによって拓留達は妄想世界から脱出し、めでたしめでたし。
なお、拓留とヒロイン達がLCC世界で起こした&起こった出来事は、彼らにはしっかり引き継がれていたようです。拓留の「中々楽しい夢を見せてもらった」という発言も納得です。
しかし、あの世界で起こったことを朧気にしか記憶していないヒロインが、一人だけいました。やはり彼女は「固い」のですね。
学校で友達を作って、休日は友達と遊びに行く。彼女は拓留の望み通り、変わらず「普通の女の子」としての生活を送っていました。
どのルートも面白かったですが、自分が楽しめた順に並べるならばこうなります。
ちなみに自分の好きなキャラは、「うき>久野里さん>結衣>香月>泉理>世莉架>乃々>有村」です。当たり前ですが、本編でどのキャラを好きになったかによって各ルートに対する評価は変わると思われます。
上でも書きましたが、一番完成度が高いのは間違いなく有村ルートだと思います。有村推しの方々の期待に答えた素晴らしいルートだったと感じました。
評価が低いのは、香月ルートと世莉架ルートでしょうか。こちらは逆にニーズに答えられなかったというのが理由だと思いました。妄想トリガーやエンディングの数が他のルートと比べて少なかったのも、ファンの方々を落胆させてしまった原因でしょうか。
僕は香月ルートは性癖的にドンピシャだったので面白く感じましたが、世莉架ルートは期待していたのとはちょっと違ったので少し残念でした。もちろん楽しめはしましたが。
ちなみに好きな妄想トリガーはこの辺です。



カオヘのネガティブ妄想はとにかく痛い系やグロい系が多かったですが、カオチャLCCは変な方向に悪ふざけしまくった妄想ばかりで何度も笑わされました。
うきルートと久野里さんルートがないのは残念ではありましたが、久野里さんはインターミッションで大活躍しましたし、結衣のルートもあったのも目から鱗でしたし、個人的には満足できました。
しかし、やっぱりうきルートがないのって普通に詐欺ですよね。
発売一ヶ月前にスタッフがツイキャスで「うきルートはあります」と明言しておいたのにも関わらず、いざ発売されてみればルートなしだなんて意味わからなすぎて。一体何があったのでしょうか。発売一ヶ月前ならば声録はとっくに済ませた段階のはずですが……大人の事情なんですかね。


公式HPの制作中画面にあったうきのシーンと、製品版の結衣ルートのとあるシーンを見比べた限り、制作中に「すり替えられた」ようにしか見えませんけど。
しかしこのゲームのソフトウェアカタログを見たら「追加コンテンツ対応」と書いてあったので、もしかしたらDLCという希望があるかも……?

うきルートと久野里さんルート配信してくれよな~、頼むよ~。
拓留とヒロイン達の会話や妄想に腹筋崩壊させられることもあれば、本編を思い出して感動してしまうこともあり、個人的にはとても楽しかったです。
本編の救いようのない結末を見て感じたぶつけどころのない感情を、癒してくれたと言うには十分過ぎる作品でした。
うきルートや久野里さんルートがなかったことや、ルートによっては期待していたのとは違う展開になってしまったことは残念でしたが、総合的にはとても満足できました。
それに追加ルートのDLCがおそらくひょっとしてもしかしたら万が一配信される可能性があるので、楽しみにして待っています。
発売前は「TRUEの結末を台無しにしてしまわないか不安」と危惧していましたが、いざプレイしてみれば結末を冒涜しないようにというライターの気配りがひしひしと感じられました。
カオスチャイルドLCCは確かに蛇足でした。しかしその蛇足は決して悪いものではなく、正に本編のオアシスと言えるようなものとなっていたと思います。
こちらは前回の記事とは違ってネタバレ全開となるので、閲覧にはご注意ください。
はじめに
このゲームはJoshinで予約して購入することを、初めは考えていました。理由は前の記事でも書きましたが、JK久野里タオルが欲しかったからです。しかしモタモタしていたところ、限定版が在庫切れとなってしまい、予約不可に。残念。流石に通常版で妥協したら一生後悔してしまいそうなので、別の店で予約することにしました。
色んな店をチェックしましたが、発売日の一週間前ということもあり、限定版はほぼ在庫切れとなっていて選択肢は少なかったです。
最終的に楽天で予約しました。店舗特典は乃々のEdyカード。卒業証書を持っている女の子の絵ってなんか好きです。
Amazonの特典である世莉架のポスターも欲しかったですが、Amazonでゲームの予約は自殺行為なのでやりませんでした。昔ドラクエ7をAmazonで予約したら発売日から一週間遅れで届いたので、もうそれ以来信用していません。
で、プレイ前はネタバレを見ないでプレイするぞ~と意気込んでいたのですが……実は発売日の二日前にトロフィーバレを踏んでしまったので、誰のルートがあって誰のルートがないのかという情報はプレイ前からわかっていました。
つまりその時点から自分が一番楽しみにしていた久野里さんルート、自分が一番好きなヒロインのうきのルートがないというのが突きつけられてしまったので、割とかなりヘコんでいました。
まあ、変に期待しながらプレイしてがっかりするよりはマシなので、結果論ですが踏んだのは正解だったと思いました。誰のルートがあるかなんて普通にプレイしてたらトロコンするまではわからないことなので、仮にこのバレを見ないでプレイしていたらクリア後に比にならないぐらいのショックを受けていたと思います。気が気じゃなくて普通にシナリオを楽しむことができなかったかもしれません。
楽天でゲームの予約をするのも初めてでしたが、しっかり発売日の昼に届けてくれました。有能。
ちなみに限定版の特典のひとつである、差し替えジャケットがこちら。


※AVではありません
裏面もしっかり作り込まれていました。特に久野里さんに至っては裏面まで完全描き下ろし。
他のヒロインと比べると彼女にはまともなCGが存在しないので、このような措置が取られたのでしょうか。それにしても力が入ってました。
それでは、ルート毎の感想を書いていきたいと思います。
プロローグ・共通
発売前に公開されていた久野里さんのプレイムービーの場面から、いきなりスタート。ルートがないのはわかっていたので不思議ではなかったです。が、一縷の望みを絶たれたような気分にはなりました。
本編のTRUE後の話ということですが、久野里さんもすっかり丸くなっちゃってましたね。
その後登場したのは、因果律を捻じ曲げる能力を持つギガロマニアックス。強すぎませんかね。ファンディスクだから許されますけど。
この能力者によって拓留が震災の時に願ったことや真乃々の生死など、各キャラクターが持っていた不幸な過去を書き換えられてしまいました。
そして開かれたのが、LCC世界の扉。なるほど、こういう入り方でしたか。OPのシークバーの演出も伏線だったのですね。
ここまで設定を割り切ってくれたのならばクリア後に鬱展開が待っているということもなさそうで、安心してプレイできそうだと思いました。
OP映像が流れた後、共通ルートへ突入。
早めに分岐するという情報は千代丸氏のインタビューで聞いていたので、共通部分が短いことに不満はありませんでした。
攻略順はあまり決めていませんでしたが、「結衣&結人→伊藤→乃々→香月→有村→世莉架」となりました。
深い理由は特にありませんでしたが、同時に進めていた人と攻略ルートを被らせたくないと考えていたらこうなりました。
結衣&結人編

結衣と結人が動画投稿や生放送を繰り返して、人気アイドルを目指していく話。
まあ……こんなあらすじになった時点で、「どうせ純真な二人がネットの闇に飲まれてトラブっていく話なんだろ!」と、容易に想像できました。インターネットの使い方には気をつけよう!
一番ひやひやしたのは結衣と結人とうきが三人で生放送を始めたシーン。一体妹達がどんな恥ずかしい思いをしてしまうのか、あたかも子供を見守る親のような心境で見守っていました。
途中で乃々や佐久間が乱入してめちゃくちゃになっちゃうとか、結人が女装しているのがバレちゃうとか。何が起こるのかと色んな意味で不安すぎましたが、BANで済んで良かったですね。
生放送での失敗は笑い話で済まされましたが、最終的には案の定、シャレにならない事態に巻き込まれてしまいました。
結衣と結人が@ちゃんねるで特定されてしまい、何者かに誘拐されてしまいました。原因は生放送での失言。結人が「ヒカリ」って言った時点で嫌な予感はしていました。身バレ怖い。
誘拐犯の正体はなんと、「こっちみんな」改め「こっち見んなー!」の被害者であった人物、大谷悠馬。本編で他のメインキャラクター達を差し置いて一番最初にボイスが流れるあのキャラです。「適当によろです」とか言ってた人です。
人気アイドルとなった結衣の姿を配信することで来場者数を稼ごうとしていたみたいですが、こんなの生放送しちゃうとか誰かどう見ても警察沙汰案件ですよね。未来視能力持ってる癖にこんなのも考えられないとは。
まあ、本人も人気生主として返り咲くということよりも、来場者数を稼ぐことしか考えてませんでしたし、もはや嫉妬によって正常な判断ができなくなっていたのかもしれませんね。
結衣&結人編と言うからには、他のルートと違って恋愛要素は皆無で、青葉寮での兄弟愛を描写していくのがメインのストーリー。
……なのかと思いきや、しっかり結衣とラブちゅっちゅしてました。シスコンロリコン歓喜。

中学生の妹に劣情を抱いてしまうタクさん…すこなんだ…w
逆に結人は結衣をサポートするだけの役割に落ち着いており、シナリオは全て拓留と結衣が中心となって進んでいたように感じます。ですから実質結衣ルートでした。
まあ、結人の女装姿「ユウちゃん」は一部の層には受けが良かったようです。それに結衣を大谷から救えたのも彼の能力のお陰でしたし、結人もしっかり活躍はしてました。
「踊ってみた」の投稿から人気アイドルになるのなんて宝くじを当てるみたいな確率ですが、(自称)情報強者の拓留のプロデュースや、
エンディングでは二人がアイドルとして成功できたのは、うきの能力によるものだった可能性が高いと、説明されました。
最終的には「妄想は妄想として終わらせた方がいい」ということで、結衣と結人はアイドルを引退し、普通の生活へと戻りました。綺麗に妄想科学ADVらしいオチがついたと思います。

ノーマルエンドもグッドエンドも、最後は結衣が拓留へ告白する形で終了。
結衣の本編でのあの結末と比べると、このルートでの結衣はとても幸せそうで、なんだか救われたような気持ちになりました。結衣が「夢」って単語を出す度に涙が出てくる。
このルートでの結衣は自分の好きなことができて、好きな人とも結ばれることができて、本当に幸せになれたんだなと思いました。
と、このルートを終わらせた直後は思ったのですが……。
この世界の真相を知ってしまった後で思い返してみると、とても残酷な話だったことがわかりました。
他のヒロインの乃々や有村は拓留達と共に妄想の箱庭に閉じ込められていたので、妄想でできたハリボテの世界とはいえ、彼女らの自己はしっかり投影されていました。
妄想シンクロが解けた後でも、拓留が彼女達のルートの中で過ごした記憶は、彼らの中に思い出として確かに引き継がれました。でも、結衣だけは……。
伊藤編
大方の予想通りというか、やはり存在した伊藤エンド。どのヒロインともフラグを立てられずに進むと、自動的にこのルートへと分岐してしまいます。仕組み的にはカオヘLCCの星来ルートと同じでした。
所謂バッドエンドなので他のルートと比べると非常に短いです。長かったら問題すぎるので当たり前ですけど。

こんなルート入れるんだったら久野里さんルートかうきルートをですね……。
伊藤が最後何を言いかけていたのか気になります。二人の気まずい関係が妙に生々しかったです。
アホなED曲とアホなED映像が流れ、拓留のリア充ライフは終了。ED曲名「BOYDAKEYO」ってなにそれ。
ちなみにこのエンドを5回見ることで獲得できるトロフィーがありました。
トロコンを目指しているならば必ず通らなければならない道。なんで5回も見させるんですかね……。
川原編乃々編
「泉理の扱いはどうなるんだろう?」というのが、LCC発売前の疑問のひとつとしてありましたが、それは乃々ルートに入ってからすぐに明らかになりました。家の中だと泉理。家の外だと乃々。家族達には秘密を話した状態で、しっかり使い分けていました。
ちなみに本物の乃々は生存中で、海外へ留学したという設定になっていました。
同時に泉理の辛い過去がなかったことにされたので、泉理がわざわざ乃々に成り済ます理由に無理が生じてしまいました。というか本物が生きてる時点ですぐに周りにバレてしまうと思うんですけど、大丈夫だったんですかね。
まあ、ヒロイン達とイチャコラするのが目的のファンディスクでヘビーな過去話を持ってこられても辛いので、これで良かったと思います。
本編のような重い設定がない分、乃々や泉理たんと心置きなくちゅっちゅできる!
などと考えていたプレイヤーの前に立ちはだかったのは、パワ原雅司。やっぱりか。一体今度はどのようなクズさを発揮してくれるのでしょうか。
……と思いきや、初っ端からネタ要素全開でした。
乃々から手作り弁当を貰って有頂天になったり、それで乃々が自分を好きだと思い込んじゃって告白しようとしたり、臭い発言連発してる所を盗聴されちゃったり、地味にニコニコ笑ってる立ち絵が追加されてたり。
なんかもう……一周回って可愛いなあお前と思って見てました。

フラれた腹いせに校内恋愛禁止令なるものが発令されましたが、拓留達にとってはノーダメージ。
全てにおいて不憫すぎて笑いました。(´-`).。oO(クズ……かも。)
川原君は本編では散々暴れ回ってプレイヤーをイライラさせてくれましたが、LCCではネタキャラとして固定されるようですね。
……が、時は進み、急遽全校集会が発生。
川原君……本編以上にクズじゃん!
・人のプライベートに踏み込んで動画を撮る
・全校生徒の前で晒し上げて糾弾する(冤罪)
・拓留を退学まで追い込む
・ギガロマニアックスに覚醒する
どう考えても本編以上にでかいことをしまくっています。
いや、拓留達は何も悪いことしてないのにこれはどうなんだろ……。
拓留達は全く非がない……どころかむしろ、親切で赤ん坊のお世話をしていただけなのに、拓留と乃々をここまで苦しめてしまうなんて巨悪すぎます。特に乃々は自分の唯一の弱みをあたかも人質のようにされ、「自分のせいで拓留を苦しませてしまっている」と思わされるわけですから、本編の比じゃないぐらい傷付けられていたと思います。
乃々ルートの担当ライターさんはTwitterでは「悪役がいないと物語が成り立たない」的なことを言ってましたけど、本編の乃々ルートの川原君のような、見ていて不快になるだけの奴はいくらなんでもあんまりです。
悪役は主人公達が何かを得る為に踏み台にされるのが役割だと思ってるので、ああいう踏み台にもさせてくれないような奴は流石に……。
しかし胸糞悪い展開とは言ったものの、本編の乃々ルートとは決定的に違う点がありました。
今回のLCCの乃々ルートにて、ついに川原君は完全敗北しました。
乃々が勇気を出して自身の秘密をカミングアウトしたことによって、立証完了。拓留達は見事に冤罪を晴らしました。
結果的には川原君の行動は泉理が勇気を出すきっかけとなり、拓留と乃々のキューピッドとなったのではないでしょうか。悪役としては理想的な立ち位置だったと思います。
なお、エンディングでの川原君はというと、

・不登校になる
・記憶喪失になる
・泉理に告白する(フラれる)
本編であんだけdisってた泉理に告白ってマジか……。
泉理にフラれる所は拓留達に目撃され、「また記憶がなくなりそうだな」と哀れまれる始末。とにかく惨めでした。
本編の乃々ルートで好き放題暴れたのにも関わらずお咎めなしだったパワ原君を、ついにぎゃふんと言わせることができました。
これで本編の乃々ルートを見て胸糞悪く感じていた人も、ようやくすっきりすることができたかもしれません。
ただ、個人的に期待していたシナリオとは違ったので、そこはあまり好きになれませんでした。ごめんなさい。
川原君、良い意味でも悪い意味でもサブキャラなのに目立ち過ぎですね。スタッフの趣向的にLCCで川原君がネタキャラにされるのは予想できましたが、まさかここまでスポットライトが当たるとは。
ただのサブキャラの川原君へプレイヤーが悪意を持つように誘導し、最後に揃って笑い物にしてしまうようなシナリオって……うーん。
何よりグッドエンドでの「来栖以外にも女はいる」って台詞が、彼らしくなさすぎて。記憶をなくしてしまうほど壊れてしまったとはいえ、これだけは言って欲しくなかったです。
確かに悪役としては理想的な立ち位置だったと思いますが、川原君がこんなコテコテの悪役になること自体を僕は望んでいませんでした。前半まではちょうどいいぐらいの立ち位置だったから良かったんですけどね。
後半は真相を立論できない歯がゆさが胸糞すぎるし川原君可哀想だしで、あまりいい気持ちはしませんでした。純粋に泉理や乃々とラブちゅっちゅしたかった。
それでも、本編ではなかった泉理達との家族団らんの様子を見ることができただけでも、このルートに価値はありました。本編のTRUEで最終的に残ったのは泉理と結人(+うき)だけでしたから。
正史では半分以上亡くなってしまった家族達が一切欠けることのなかった世界線というのは、正に本編のオアシスの着地点としては相応しいシナリオだと思いました。
ノーマルエンドの乃々の「私ね……たぶん、ずっと拓留のことが好きだった……」という台詞には、本編のことを思い出して泣いてしまいました。
乃々は拓留のことがずっと好きだったんです。それなのに拓留は、あんな選択を……。一体彼女はどういう気持ちで拓留の選択を受け入れていたのでしょうか。

本編のどのルートでも叶わなかった彼女の願いが、ここに成就しました。
香月編
発売前のプレイムービーから、香月の性格が全然違うとは言われていました。本編の香月ルートでの香月は普通に良い子でしたしね。本来の香月はあんな変態じゃないです。
これのせいで「性格が本来の香月とは異なる=香月の本来の性格を知らない誰かが想像で作った=やっぱり誰かの妄想世界の話?」という邪推までされていました。
しかしシナリオを読み進めると、プレイムービーに映っていたあの変態香月は『華』という裏人格であり、香月の能力による産物だったと説明されました。
「ゲームばっかりしてないで青春もしたい」という香月が口にした願いが、リアルブートされたものだそうで。プレイムービーのあのシーンは決して香月の性格が変わってしまったというわけではありませんでした。
このルートが一番笑いました。とにかく拓留が絶叫しすぎ。
クールキャットプレスのメモの辺りとか面白すぎて。おそらく別のライターさんが書いてるのかなと思いましたが、テキストが物凄くツボでした。

話の大筋は、拓留が『華』とデートをさせられ、その中で『華』が拓留を終始誘惑してくるから、デート終了までに拓留が『華』にキスをしてしまったら負け。しなかったら勝ち。という内容。
なにこのくそったれなゲーム。香月にずっと振り回されまくりの拓留は面白かったです。
どのみちあのドスケベ香月が香月の妄想の産物であったことは事実なので、それにはちょっとがっかりでした。
やっぱりせっかくなら本来の性格の香月とのラブちゅっちゅを望んでいました。こんな香月であって香月ではないなにかとの交流がメインなのは少し残念でした。
……と思いきや、クライマックスで判明したのは『華』は香月の思い込みでしかなかったという事実。
つまり、普通に『華』=香月でした。あんなに拓留を誘惑しまくっていたのは能力が勝手に暴走していたわけではなく、香月が心の奥で望んでいたことです。
ですから一連の出来事も香月の性格の一部によるものだったということがわかって、ホッとしました。まさかこんな収まり方をするとは。

『華』の粋な計らいによって、香月から拓留への告白が行われる。
何から何まで『華』に出番を奪われすぎていて拓留が主人公らしいことをほとんどしてなかったのが気になりましたが、まあ良い話だったので良かったです。
他に気になった点は、妄想トリガーが少ないことと、ノーマルエンドしか存在しないことでしょうか。
ノーマルエンドしかなかったのは、香月は拓留から自分の居場所を与えてもらっただけで満足しているので、二人の日常は何も変わらないままが一番良いというメッセージですかね?
それでも拓留とえっちなことをしたいという『華』の性格は、他でもない彼女の潜在的な気持ちだと思いますし、それ以上の関係に踏み込むようなエンドがあっても良かったと思います。有村編の幸せそうなエンドを見た後では、余計に思います。
妄想トリガーもポジティブしかなかったりネガティブしかなかったりで謎でしたね。
本筋の展開そのものがぶっ飛びすぎていたのでトリガーは作りづらかったのかしれませんが、やはり追加テキストが他のヒロインの半分以下というのは寂しかったです。
オブラートに包まずに言ってしまえば、あたかも「未完成」であるようにも感じさせられたルートでした。
トリガーやエンディングが少ない代わりにCGはやたら多かったので、そういう意味では優遇されてる……かも。
上述の不満点は無視できませんし、『華』というキャラクターへの印象でこのルートへの評価は変わるので、賛否が分かれるのも仕方ないルートだと思いました。
だってこのルート、香月とラブちゅっちゅしてたのかと言われると、全然してませんからね。期待していた内容と違っていたせいで肩透かしを喰らってしまった香月推しの方も少なくないと思います。
僕も4ヒロインの中では香月が特に好きです。が、個人的には全ルートの中でも最も楽しめたルートでした。
『華』は魅力的なキャラクターでしたし、テキストにも何度も笑わされましたし、香月が自分の気持ちに決着を付ける場面も感動できました。時間があればやり直してみたいルートNo.1です。
有村編

有村が拓留の家に同棲を始める話。
本編の有村ルートを見ていた時も思ったのですが、この二人相性良すぎる。
会話がいちいち面白すぎて仕方ないです。「あ~ん」のくだりとか。
同棲生活がめんどくさくなった拓留が川原君を頼りに行く場面には笑いました。毒を以って毒を制すというか。
張り紙ひとつに翻弄されて屁理屈こね始めて前言撤回する川原君も面白かったです。
あと伊藤がどのルートよりもかっこよかったです。間違いなく。拓留と有村の立場をしっかり考えた上で冷静にアドバイスをしてるんだからすごい。
股間で物事を考えてそうなキャラなのに、このルートではやたら真面目でしたね。
有村母も本編同様浮気はしていたようですが、ちゃんと娘のことを考えていたということがわかりました。
家出って聞いた時はまたドロドロの家族関係なのかと思いましたが、エンディングを見る限りでは幸せな家庭を築けたのかなと思いました。有村兄も生存しているようでしたし。
全体的にサブキャラの扱い方が上手いルートだと思いました。
話が進むと、有村が香月ルートの『華』のように拓留を誘惑していく展開になりました。またかい。拓留完全にドMですよね。
しかしこの行動は、有村自身も何の為にやっているのかわからないというものでした。他人の本心がわかってしまうが故に仮面を被って生きてきた有村の、ちゃらんぽらんな行動の一環だったのですね。
他人の本心がわかってしまうことに抵抗を感じていた有村は、いつしか自分の本心すらわからなくなっていた、ということでしょうか。
しかし有村は、拓留の本心を知りたくないと言い出して急に拓留から距離を置くようになってしまいました。
それは本人は気付くことはありませんでしたが、拓留に気がある、もしくは拓留に好きになられたら困る、のどちらかという事実。
自分にとっての好意的な解釈の方に賭けに出た拓留は有村を追い、自分の気持ちを有村に、彼女にしかわからない方法でぶつけました。
スクランブル交差点の中心で愛を叫ぶ。このゲームの中で一番感動したシーンでした。このシチュエーションロマンチックすぎます。
有村の母が出てきたり、二人がデートのようなことをする辺りは、やはり本編の有村ルートを彷彿とさせました。

ノーマルエンドのこの場面は特に、本編の有村ルートを意識しているのかと思いました。

CGも。

台詞も。
二人とも、今度こそ幸せになれて良かったですね。闇の空がようやく晴れました。
ちゃんと最初から最後までラブちゅっちゅしてるし、妄想トリガーもたくさんあるし、結末も余韻が残るし、完成度の高さは全ルートの中でも屈指だったと思います。他のルートと比べた欠点みたいなのが見当たらないです。
彼女が本編でもずっと抱えていたコンプレックスを題材にしているのが良かったです。
有村好きの人はこのルートの為だけに買う価値はあるんじゃなかろうかってレベルです。グッドエンドの髪を下ろしたCGは必見。
世莉架編
他の4つのルートを攻略後に進むことができるルート。プレイムービーの通り監禁生活というニッチなシチュエーションですし、他のルートと同時進行できるのかと思っていましたが……やはり世莉架はメインヒロインということで、攻略は強制的に最後に回されてしまいました。
このルートのテキストで尾上呼びと世莉架呼びがごちゃ混ぜになっていたり、拓留の一人称が一部俺になってたりするのは伏線かと思いましたが、そんなことはなかったようです。
乃々と有村への相談を拓留に盗み聞きされてしまったことがわかり、急に泣き出してしまう世莉架。
誰にだって秘密にしときたいことはあるので、泣いてしまうのも仕方ないでしょうか。何よりも拓留に関する相談事でしたし、彼には聞かれたくなかったのでしょう。
有村や乃々は世莉架の気持ちを理解していたようですけど、拓留からしてみれば「こんな世莉架は初めて見る」とのこと。
どっちの言うことも正しい気がします。世莉架にとってショックな出来事ではありましたが、彼女の性格的に泣き出す程かと言われたら微妙ですしね。
おそらくこの頃から「白の世莉架」は壊れ始めていたのでしょうか。
そして拓留の監禁生活がスタートしてしまいました。
世莉架のもうひとつの人格である黒世莉架も登場。出てくれて良かったです。

世莉架の口から彼女達の在り方について語られました。「白」「黒」って呼称も公式になりましたね。
世莉架の言い方的に、「素」と言える人格は白の方でも黒の方でもなく、元より存在していないのかなと思いました。と言ってもそれだと「黒」の人格が存在している意味がわからないので、やっぱり「黒」が本性ってことなんでしょうかね。
「白」は女の子を演じる上で都合の良い性格だからという理由で作られたのはわかりますけど、「黒」はどういう理由で作られたのかがいまいち掴めませんでした。
本編の乃々ルートで登場した「灰」と呼ばれる人格にも説明がつきませんし、彼女には謎が多いです。色んな方々の考察を読んでみたい部分です。
ちなみにこのあとハンバーグを食べさせられるCGが出てきたのですが、食べた瞬間Vitaがフリーズしました。なんで。
拓留を女の子とくっつけるのが自分の生きる目的なのにも関わらず、その拓留を好きになってしまい、拓留が女の子とくっつくことが許せなくなってしまった世莉架。存在の自己矛盾の迷路へと陥ってしまいました。
そんな彼女が最終的に選択した結末は、自殺。拓留は能力を全力で使って彼女を止めました。

世莉架の身を守るように後ろから抱き締める拓留。世莉架の表情は悲しく、拓留の腕には枷が。
……なんだかこのCGの構図、本編で拓留が取った選択のことを表してるみたいですね。というのは深読みしすぎかもしれませんが。
さあグッドエンドだという場面で訪れたのは、黒世莉架の「結局お前はその選択をするんだな」という意味深な台詞と、ここにはいないはずの和久井に向かって「いい加減にしろよ」と話し掛ける拓留。やはりただの別世界線の話ではなかったようです。
黒世莉架の「毎晩悲しい夢を見る」という台詞が、とにかく切なすぎました。
拓留による再構築が完了した後では、彼女の意識は完全に消えてしまったものかと思っていましたが、こんなに惨い状態だったなんて……。冷たいコンクリートの世界に閉じ込められていたのは、拓留だけではなかったようです。
冒頭で述べた通り、最後のルートにしてはかなりニッチなルートだな、と思いました。ちゅっちゅはしてましたけどラブラブはしてません。
おそらく最後に回された理由は終盤でLCC世界の真相に言及する描写があったからだと思いますが、それにしても他の部分がマニアックすぎて……。
妄想トリガーもひとつしかなかったですし、窮屈な監禁生活を強いられてしまいましたし、全体的に雰囲気が暗かったです。
黒世莉架が出てくれたのは良かったですが、せっかくならもう少しイチャイチャしてるのを見たかったです。有村ルートみたいに普通にデートとかやってみたかった……。
LCCでもこのような終わり方をしてしまった辺り、やはりこの作品で二人が結ばれることは永遠にないということでしょうか。
ハッピーエンドは本編の結末の冒涜となってしまうと思われて避けたのかもしれませんが、有村や乃々のルートを見ているとこの二人が幸せになって終わるエンドも欲しかったなあああああと思いました。
まあ、これがカオスチャイルドという作品だということなのでしょうか。
「二人が交わることは決してない」というのは、ラブちゅっちゅという如何にもなタイトルのファンディスクでも変わらないと。
個人的にはもう少しはっちゃけて欲しかった所ですが、そういうことなのだと思って受け入れようと思います。黒世莉架のセクシーでエクスタシーな交尾()や、本編の拓留の選択に対する彼女の想いを見ることができたので良しとします。
インターミッション
エンディングをひとつ見る度に挟まるミニ劇場が、インターミッション。シリアスで不穏な雰囲気によって織り成される、久野里さん視点の物語でした。世莉架ルート攻略後、インターミッションは最終章へと向かいました。要するにTRUEエンドですね。
本作の真相は因果律を捻じ曲げるギガロマニアックスなど存在せず、LCC世界の舞台は和久井が妄想シンクロで作った世界だったというものでした。
その目的は、ギガロマニアックスの力を失った拓留に茶々を入れること。彼が力を取り戻すきっかけを与えられないかと思い、自分の能力を見せしめたのでした。
蓋を開けてみれば結末は発売前からほとんどの人が予想していた通り、和久井の作った妄想世界でしたね。その目的も予想通りでした。それでも序盤は和久井の嘘にすっかり安心してしまったので、うまい作りだと感じました。
緊急時用に自分の体に仕込んでいた装置を使い、一人妄想世界からの脱出に成功したのは、久野里澪。
キービジュアルで一人だけドヤ顔で物干し竿を担いでいる女とか言われた久野里さんが、妄想の箱庭に閉じ込められた拓留達を救う為に、剣を持って立ち上がりました。


久野里さんかっこよすぎか!?
久野里vs和久井。久野里さんは非能力者なのにも関わらず、佐久間の能力の残骸を再利用するなどの機転を利かせ、見事作中最強のギガロマニアックスである和久井を撃退することに成功しました。
和久井は能力を使えば久野里さんなんて一瞬で倒せていたので、完全に「ちょっと遊んでやるかw」ぐらいの気持ちで油断して戦っていたとはいえ、これは大きな快挙でした。本編のTRUEで誰も全く歯が立たなかった和久井相手にリベンジを果たすことができたのですから。
個別ルートがない時点で落胆していたのですが、まさかここまでかっこいいシーンを用意してくれるなんて思いませんでした。
何よりも「たった一人で戦って全員を救った」なんて、もはや完全に勇者です。ただの主人公でした。
久野里さんのチカラアバレによって拓留達は妄想世界から脱出し、めでたしめでたし。
なお、拓留とヒロイン達がLCC世界で起こした&起こった出来事は、彼らにはしっかり引き継がれていたようです。拓留の「中々楽しい夢を見せてもらった」という発言も納得です。
しかし、あの世界で起こったことを朧気にしか記憶していないヒロインが、一人だけいました。やはり彼女は「固い」のですね。
学校で友達を作って、休日は友達と遊びに行く。彼女は拓留の望み通り、変わらず「普通の女の子」としての生活を送っていました。
好きなルート
香月>結衣&結人>有村>乃々=世莉架どのルートも面白かったですが、自分が楽しめた順に並べるならばこうなります。
ちなみに自分の好きなキャラは、「うき>久野里さん>結衣>香月>泉理>世莉架>乃々>有村」です。当たり前ですが、本編でどのキャラを好きになったかによって各ルートに対する評価は変わると思われます。
上でも書きましたが、一番完成度が高いのは間違いなく有村ルートだと思います。有村推しの方々の期待に答えた素晴らしいルートだったと感じました。
評価が低いのは、香月ルートと世莉架ルートでしょうか。こちらは逆にニーズに答えられなかったというのが理由だと思いました。妄想トリガーやエンディングの数が他のルートと比べて少なかったのも、ファンの方々を落胆させてしまった原因でしょうか。
僕は香月ルートは性癖的にドンピシャだったので面白く感じましたが、世莉架ルートは期待していたのとはちょっと違ったので少し残念でした。もちろん楽しめはしましたが。
ちなみに好きな妄想トリガーはこの辺です。



カオヘのネガティブ妄想はとにかく痛い系やグロい系が多かったですが、カオチャLCCは変な方向に悪ふざけしまくった妄想ばかりで何度も笑わされました。
うきルートと久野里さんルートがないのは残念ではありましたが、久野里さんはインターミッションで大活躍しましたし、結衣のルートもあったのも目から鱗でしたし、個人的には満足できました。
しかし、やっぱりうきルートがないのって普通に詐欺ですよね。
発売一ヶ月前にスタッフがツイキャスで「うきルートはあります」と明言しておいたのにも関わらず、いざ発売されてみればルートなしだなんて意味わからなすぎて。一体何があったのでしょうか。発売一ヶ月前ならば声録はとっくに済ませた段階のはずですが……大人の事情なんですかね。


公式HPの制作中画面にあったうきのシーンと、製品版の結衣ルートのとあるシーンを見比べた限り、制作中に「すり替えられた」ようにしか見えませんけど。
しかしこのゲームのソフトウェアカタログを見たら「追加コンテンツ対応」と書いてあったので、もしかしたらDLCという希望があるかも……?

うきルートと久野里さんルート配信してくれよな~、頼むよ~。
おわりに
アニメ放送直後に発売されたカオスチャイルドのファンディスク、カオスチャイルドLCC。拓留とヒロイン達の会話や妄想に腹筋崩壊させられることもあれば、本編を思い出して感動してしまうこともあり、個人的にはとても楽しかったです。
本編の救いようのない結末を見て感じたぶつけどころのない感情を、癒してくれたと言うには十分過ぎる作品でした。
うきルートや久野里さんルートがなかったことや、ルートによっては期待していたのとは違う展開になってしまったことは残念でしたが、総合的にはとても満足できました。
それに追加ルートのDLCがおそらくひょっとしてもしかしたら万が一配信される可能性があるので、楽しみにして待っています。
発売前は「TRUEの結末を台無しにしてしまわないか不安」と危惧していましたが、いざプレイしてみれば結末を冒涜しないようにというライターの気配りがひしひしと感じられました。
カオスチャイルドLCCは確かに蛇足でした。しかしその蛇足は決して悪いものではなく、正に本編のオアシスと言えるようなものとなっていたと思います。
