
【十三機兵防衛圏】感想

『十三機兵防衛圏』は2019年11月28日にアトラスより発売されたアドベンチャーゲームです。
ちなみについ先日PS Plusのゲームカタログにて本作が追加されたようなので、今から遊びたい人はおすすめです。
追記よりネタバレを踏まえた感想になります。
まず、ここまで複雑で入り組んでいるストーリーのゲームは初めて見ました。
時間をかけて読んでいたので初見でも大筋を理解することはできましたが、細かい部分の理解となるとプレイ中は全て拾えているか怪しかったです。
特に「一周前」「二周前」の各登場人物の行動。これらは本編の序盤で「夢」として語られるものの、一体どれがいつの記憶だったのか、時系列がごちゃごちゃになること必至だと思います。
この辺りはクリア後のイベントアーカイブで時系列が整理されているので、そこを読めば答え合わせができるようになっていたのが優しかったです。
しかし、複雑で難解な分ストーリーが持つエンタメ性はとても大きかったと思います。なんでも某有名声優が「一番凄いゲームシナリオ」と言っていた逸話もあるそうです。
序盤は記憶喪失の主人公達を始めとした正体が謎に包まれた人物が一斉に登場し、そこにタイムトラベルが合わさって謎が徐々に解き明かされていく作りとなっていたので、読んでいて引き込まれました。
そして、終盤はこれまで悪人扱いされていた426にも目的があった、今までタイムスリップだと思っていたのはセクター間を移動していただけだった、今まで居たのは仮想現実だった等、どんでん返しに次ぐどんでん返しが展開されていきます。
ストーリーの作り込みはもちろんのこと、やはり衝撃的な真相を明かして驚かしてくることがメインの作品ではなく、その上に登場人物達の人間ドラマがある、というのが本作ならではの魅力だったと思います。
特に登場人物間でカップリングが乱立しているのが大きな特徴でしょうか。まあ、乱立というかもはや恋仲の相手が登場人物全員に設定されていますよね。
そういった背景もあって、行動動機が恋の人間が多かったです。好きな人の為に行動を起こしていたら結果的に凄いことが起こってしまった薬師寺や網口もそうなのですが、あれだけ話をややこしくしてきた井田と東雲の行動動機も偏に恋でしかありません。
まさしく愛の物語であり、ある意味仮想現実の中でも育まれるものがある証明としては十分過ぎるほどでした。
個人的に好きな組み合わせは鞍部と薬師寺です。「そりゃ確かに……僕は彼ほど強くないよ。それでも…僕は君を守りたいんだ」←最高の瞬間
エピローグにおいて、二周前の和泉と森村の二人の会話で幕を閉じるのは良かったですね。始まりの二人。
それにしても組み合わせによっては結婚どころか子作りまで関係が進んでいるのは面白かったです。いやまあ彼らの使命はそういうことではあるのですが。
戦闘は難易度NORMALで遊んでいました。最終戦以外は。
最終戦だけは物量がアホすぎてクリアできる気配がなかったので難易度を下げました。悔しい。
戦闘は第四世代でインターセプターをいっぱい出して遊んでました。どう見ても最強でした。
あとは第一世代のリミッター解除→デモリッシュブレード、第三世代の超大型ミサイルが気持ち良かったです。
第二世代のガーディアンやバリア等の防御技をもっと上手く活用できれば、高難易度でも攻略できたのかもしれません。
一応購入動機としてはストーリー目当てだったので、最初から最低難易度で駆け抜けるのも手だったのですが、終わってみればこれで良かったと思います。程よい難易度の方がやり応えが生まれる上に、最低難易度だと戦闘が作業に感じてだれてしまうと思うので。インターセプターを連打してた癖にやり応えを語るなとか、最後に難易度を下げたという話は禁句です。
それにしてもストーリー上では「敵が強くなる代わりに報酬が貰えるシステムにして突破口を開く」という賭けのような触れ込みだったのにも関わらず、蓋を開けてみればほとんどのダイモスを長距離ミサイルでワンパンできる難易度だったら風情がなさすぎますよね。和泉の立場がありません。
総じて完成度の高さに驚かされるゲームでした。
ストーリーが凄すぎるゲームと聞いていた通り確かに凄すぎたのですが、それ以上に主人公全員のキャラが立っていて群像劇しているところや、戦闘システムの奥深さなどが自分がプレイして良かったと思えるポイントでした。全世界で100万本売れたゲームなだけあります。
一応ストーリーが難解すぎるので向き不向きの分かれる作品ではありそうです。まあ、ミステリーファイルとイベントアーカイブを読めば終わりではあるのですが。
ちなみに渚のバカンスを聞きながら記事を書いていました。波のドレスのマーメイド~