
【レビュー】コロッケ!4 バンクの森の守護神

シナリオ・・・★★★★☆
オリキャラ魅力・・・★★★★☆
キャラ総数・・・☆☆☆☆☆
快適性・・・★☆☆☆☆
戦闘・・・★★★★☆
BGM・・・★★★☆☆
本作の最大の特徴はマルチエンディングシステムです。
2と3にもそれぞれ二種類のエンディングが用意されていたものの、4のエンディングの数はなんと五種類です。
サブイベントをどれだけ攻略するか、キャラクターに協力するかどうかなどで、物語は幾度も分岐していきます。
TRUE END到達には複雑で面倒な条件が設定されているのですが、その分辿り着いた時の感動は一入です。マルチエンディングだからこそ味わえる部分だと思います。
戦闘システムは若干テコ入れがされましたが、過去作までのような速いゲームスピードは健在です。
ダッシュ攻撃こそ撤廃されてしまったものの、空中攻撃の仕様が変更されました。空中で攻撃ボタンを押すだけで敵の傍に瞬間移動して攻撃することができます。強い。
ヒット後は攻撃ボタンをもう一度押すだけで勝手にコンボを繋いでくれるので気持ちいいです。ひたすら擦っていいわけではなく、無敵時間が短いので置き技には一方的に負けてしまうという弱点もありますから、良い塩梅の調整だったと思います。
ガードも新たにガードゲージというものが設定されたので、2のように敵にガードをガチガチに固められて遅延されることも減りました。わかりやすく攻めている側が有利になったと思います。
2と3とは別のベクトルで爽快感のある戦闘を楽しめると思います。
オリジナルキャラクターの中で代表的なのは、マスタードとキャビアでしょうか。
マスタードはコロッケ!シリーズのゲームオリジナルキャラクターの中では最も人気があるのではないでしょうか。アニメや外伝漫画にも登場していたキャラクターなので、4未プレイの方からの知名度も高いと思います。
コロッケ!の世界観ならではの設定は衝撃的であり、原作者をも唸らせました。何気にCVがあの櫻井孝宏さんだったりします。
キャビアはコロッケ!シリーズ唯一の姉御キャラです。ルートによってはさっぱり登場しないマスタードと違って、キャビアとは全てのルートで大きく絡むことになるので、シナリオ上での存在感はオリキャラ随一だと思います。
個人的にプレイした印象としては、マスタードは高い人気を誇ることから言わずもがな、キャビアもとても良キャラでした。こんなに熱い女の人だったとは……。
コロッケが辿るルートによっては彼女とは敵対することにも共闘することにもなり、関係性は大きく変化します。
色々と褒めるところまみれなゲームなのですが、キャラ総数の少なさは最大のネックだと思います。
オリジナルキャラクターこそそこそこ多いものの、原作からの出演となるキャラクターは前作や前々作よりも減ってしまいました。
3で登場していたアンチョビとポーとタロとダイフクーは、本作では使用することができません。
中でもアンチョビが登場しないことは物議を醸しました。シリーズにおいては最重要クラスのキャラクターですよね。
まあ、アンチョビは立ち位置が凄まじく不安定というか、原作でも登場する度に性格が変わっていたことから自明なのですが、シナリオでの扱いにはとても困りそうです。実際に2と3でも扱い切れてませんでしたし、登場を見送られるのは仕方ないことなのかもしれません。
初代からずっとプレイアブルキャラクターだったポー姉さんも、本作ではおまけモードに登場するのみです。
そのおまけモードは色々な意味で見どころではあるのですが、やはりプレイアブルキャラクターとしての皆勤賞を本作で逃してしまったことは残念に思いました。
アンチョビもそうなのですが、対戦モードだけでいいので使わせて欲しかったです。
また、相変わらず作業感は強いです。
サブイベントを進めるにあたっては何度もダンジョンを探索しなければならないのですが、とにかくエンカウント率が高すぎます。
過去作までなら足の速いキャラクターを先頭にすれば戦闘を回避できたのですが、本作ではフィールド移動がターン制になったことによって、それも難しくなりました。
それもあってエンカウント率で言えば2越えかもしれません。エンカウントする敵が全て同じ姿をしていることもあって、食傷気味になること間違いなしだと思います。
また、本作はふいうちを喰らった時にHPがゼロになってしまうことや、トラップが可視化されないなど、フィールド移動においてプレイヤーにとって逆風となる仕様が追加されました。
難易度が上がったというよりも、理不尽度が上がったという印象を受けました。
一応石板の合成を繰り返して炎の石板99等を作ることができれば、戦闘は一気にヌルゲーと化すのですが、そこまで辿り着くのは現実的ではないでしょう。
というかそうしたところでエンカウント率が高いことには変わりないですから、決してストレスフリーとはなりません。(経験者)
一周辺りのボリュームは少ないものの、本作独自のマルチエンディングシステムは奥深く、時間をかけて楽しむことができます。
特にオリキャラ達はルートによって全く異なる結末を迎えますし、それぞれのルートでしか見られない一面もありますから、キャラの掘り下げにも一役買っていたと思います。
キャラ総数の少なさやテンポの悪さなどは悪目立ちしてしまったものの、とにかくシナリオもキャラ魅力も戦闘システムも高水準です。
シリーズで一番好きと言う人が少なくないことも頷ける作品です。