
【スマブラSP】勇者の所感

所感と言っても配信から既に三ヵ月近く経過してるんですけどね。
日本が誇るJRPG『ドラゴンクエスト』シリーズより、ついに参戦を果たした勇者。
使用回数はまだ600回程度ですが、動かしてみての感想を書いてみたいと思います。
長所

必殺技を使用する度に減っていく「MPゲージ」という固有の特性を持っています。
必殺技に疑似的な回数制限があるという意味では、ルフレに近いかもしれません。ルフレと違うのはその使用回数を全ての必殺技で共有しているという点ですね。
MPは原作では回復手段が限られていましたが、スマブラでは時間経過で徐々に回復していきます。女神の指輪でも装備しているのでしょうか。
また、時間経過とは別に攻撃を相手にヒットさせることでも回復ができます。MPが切れた時は逃げ回って回復を待つよりも、攻めた方が手っ取り早いかもしれません。
MPゲージという制約がある分、そのMPゲージを使用した各種必殺技は、例外なく非常に強力です。
何がどう強力かというと、とにかく威力が高い。当たればめちゃくちゃ痛いかめちゃくちゃ飛ぶかのどっちかです。
NBのメラ系必殺技は、飛び道具とは思えないほどに単発火力が高いです。
メラは当たれば約10%、メラミは当たれば約20%も持っていけます。20%ってそこらのスマッシュ攻撃レベルのダメージ量ですね。
最大溜めから放たれるメラゾーマは、所謂チャージショットやシャドーボールのような巨大な弾を飛ばす技です。こちらもとにかく威力が高く、横スマ以上のバースト力を誇ります。
横Bのデイン系必殺技は、その場で溜めて放つタイプの中距離攻撃。何故か物理判定です。
特に目を引かれるのは、横Bのライデインでしょうか。発生には多少時間がかかるものの、そのリーチの長さはシモンの横スマを鼻で笑えるレベルです。
相殺判定がなく持続が長いことも偉いのですが、なんと言ってもヒットすれば一気に25%ものダメージを稼げるので、この技を強く使えるかどうかによって勇者の勝率は変わると言っても過言ではありません。
他にも剣を使った通常攻撃は隙が大きいものの、範囲とリーチに優れているので一方的な判定勝ちを狙うことができます。
ネスやプリンなどのリーチの短いキャラ相手には、剣の判定を押し付けることによって近づかせないニュートラルゲームを展開することが可能です。
加えて勇者のスマッシュ攻撃には、「会心の一撃」という固有のシステムがあります。
スマッシュ攻撃自体の性能は並程度ではありますが、スマッシュ攻撃をヒットさせた際に、八分の一の確率でダメージ・バースト力が大幅に上昇するという仕様があります。
どのくらい上昇するかと言うと、横スマッシュや上スマッシュに関しては相手が30%前後でも撃墜できてしまうほどです。
紛れもなく勇者の理不尽要素その1です。完全な運ゲーなので当たった相手からしてみれば洒落にならないと思います。八分の一ってFC版DQ4アリーナの会心率か?
下B「コマンド選択」について
しかし、勇者を語る上での最大の論点となるのはやはり、下B「コマンド選択」に尽きるでしょう。
大方のプレイヤーにとっては「この技が楽しいから勇者が好き」、あるいは「この技がゴミすぎるから勇者が嫌い」、と印象を二分するほどに勇者を最も特徴づけている必殺技となっています。
計21種のコマンド技の中から4種類がランダムに選ばれるので、そこから使い手はひとつを選択して発動します。
コマンド選択中は当然無防備です。前動作が19Fもある上に使用者がいちいち選択しなければならない以上、タイマンだと簡単に避けられてしまう、乱闘用のネタ技となっています。
……まあ、スマブラSPが誇る課金キャラの一角である以上、そんなはずはなく。
仮にこれらのコマンド技を選択を介さずに出せていたとしたら、勇者は間違いなく最強キャラだったと言えます。
どの技も高性能どころか超性能のラインナップとなっていますが、ここでは8種類のコマンド技をピックアップして紹介したいと思います。
イオナズン

勇者のコマンド技の中でも最も壊れていると多くの人が挙げるのが、このイオナズンでしょうか。
着弾からの吸引判定が持続15F、爆発判定が持続24Fということで、実質的な持続は39Fという悍ましい飛び道具です。あの射撃MiiのNB3「グレネードランチャー」の爆発判定が持続18Fであると考えると、如何にぶっ壊れているかがわかると思います。
この呪文の真価は崖外にいる相手に出した場合に発揮されます。
全ファイターの空中回避の無敵Fが26F前後であることを考えると、避けることは容易ではありません。というか状況によっては完全に詰ませられます。
ドラクエが誇る最上級呪文なだけあって、威力ももちろん高いです。慣れていないとベクトル変更を間違えて70%程で星になってしまいます。
また、他のコマンド呪文にも言えることなのですが、イオナズンは二段ヒット技なので、サイマグネットなどで直接吸収されてもあまり痛くはありません。
更には長すぎる持続のおかげでガードされても反撃なんて貰いません。
勇者使いとしてもイオナズンという文字が見えたらとりあえず選んでしまいたくなるほどには中毒性の高い呪文技です。
唯一の弱点は原作通り消費MPが膨大であるという点でしょうか。避けられたところで反撃を貰うわけでもラインを詰められるわけでもありませんが、MP消費という勇者固有のペナルティを負ってしまいます。
ザラキ

原作では某神官の得意技。本作では勇者をeSportsたらしめる技です。
当たったら低確率で敵を即死させます。
元より即死系のシステムはステージギミックや最後の切り札ぐらいでしか存在しなかったので、アイテムなしタイマンでは無縁の演出でしたが、それを息を吸うように扱えるキャラがついに登場してしまいました。
即死が成功する確率は、自分の蓄積ダメージの高さと相手の蓄積ダメージの高さに比例して上昇していきます。
相手の蓄積ダメージが0の状態では成功確率はたった1%ですが、蓄積ダメージが120を超えると約72%の確率で撃墜できるようになります。
ですから%を溜めて使う分にはそこまで運ゲーではありません。……が、運が良ければ蓄積ダメージ20ぐらいからバーストできてしまうシーンも普通に出てくるので、勇者の技の中ではスマッシュ会心と並んで理不尽と言っていいと思います。
ザラキ本体の性能についても、発生だけは遅いものの範囲が非常に広く後隙も全くないので、頼れるバースト技として使っていくことができます。崖で置くザラキは脅威でしかありません。
ラリホー

ドラクエの眠らせてくるやつです。
原作では強いというより便利な補助呪文という印象がありましたが、ことスマブラにおいてはメラゾーマやイオナズン以上の破壊力を秘めている凶悪な呪文です。
というのも、余程低%でもない限りはヒットすればホールド横スマッシュが確定します。どこにいても蓄積ダメージが70%前後ならほぼバーストが確定、崖端なら相手が40%前後でもバーストを狙うことができるので、見た目以上に高いリターンが見込めます。
また、眠らせる系の攻撃は普通は空中にいれば当たらないわけですが、ラリホーは空中にいる相手も眠らせることができます。
この仕様のおかげで復帰の時に頭が出るキャラ相手に復帰阻止を狙ったり、崖上がりに置いてジャンプ上がりを狩るなどの使い方ができます。
ためる

ガオガエンのリベンジのように、次に繰り出す攻撃を大幅に強化します。
与ダメージ1.2倍、与ふっとばし1.2倍、シールド削り値1.65倍。
単純に空後や横強などのバースト技の撃墜力が更に上がるのもそうですが、相手の蓄積ダメージが大きい状況下では投げバーストを狙えるようになるというのが非常に強力です。
勇者は掴みが弱い上に投げから撃墜ができないので、ガードを固めてバースト拒否されるのがとても苦手ですが、ためるを使えば話は変わります。
蓄積ダメージが少なかったらガード安定なのかと思いきや、そんなことはありません。ためるはシールド削り量も大幅に上がるので、ホールド横スマッシュを相手に当てると一撃でシールドを割ることができます。
シールドが割れたら当然最大ホールド横スマッシュが確定します。蓄積ダメージが30%とかでもちょっとガードを張っただけで死ぬ可能性が普通にあるので、相手からしてみれば全く気が抜けません。
更にガオガエンのリベンジと違って掴みや時間経過で解けることがなく、攻撃を相手にヒットさせるまで永続します。
シールドに弱いキャラである勇者に革命を起こす技であり、個人的にはコマンド技の中でも最も強いと思っています。イオナズンのように頭の悪いスペックではないので、使う人次第ではありますが。
マホカンタ

ためると同じ補助呪文です。
一定時間フランクリンバッジを装備します。
当然ドンキーやクロム相手に貼ったところで何の意味もありませんが、対弾幕キャラ相手には真価を発揮します。飛び道具技を実質的に封印しながら動くことができるので、相手からしてみればたまったものではありません。
特にむらびとや射撃Miiなどのファイターは空中攻撃や投げからして飛び道具判定ですから、一方的に有利な状況を作ることができます。
ルーラ

画面外に飛び上がったのち、ステージの上に瞬間移動します。
地上で出しても微妙な間を作ることしかできない呪文ですが、注目すべきは崖外で使ってもステージの上に戻って来れるという点です。自身の復帰時に発動することで、復帰阻止や崖の読み合いを強制的に拒否することができます。
地味ですが復帰や崖上がりが強くない勇者にとっては、非常に重宝する呪文です。親切なことに撃墜ラインに近い状態では抽選率が3倍になるという仕様もあるので、吹っ飛ばされたらまずルーラを探すのが大事です。
パルプンテ

トゲピーやスタルキッドも真っ青のランダム効果を招きます。
10種類の状態変化と20種類のコマンド技の中から、ランダムでひとつの効果がピックアップされて発動します。
良い効果と悪い効果が半々ぐらいの確率で発生するので、真面目な対戦で使うのは博打となりますが、勇ましき者なら思い切って使ってみるのも一興かもしれません。
運が悪ければスロー状態になってしまいお相手のコンボコンテストがスタートしますが、運が良ければ画像のように巨大化して対戦相手を蹂躙できます。
メガンテ

勇者の最終奥義です。
スマブラにおいて使ったら確定で自分が死ぬ技が登場したのは初めてとなります。
1Fから完全無敵がついており、爆発判定はガード不能で範囲も広く、威力も非常に高いです。
全ての技の中でトップのリスクを誇る自己犠牲技なだけあって、出してしまえばかなりの当てやすさを誇ります。対戦相手はコマンドでメガンテの文字があることを確認しておかないと中々避けられません。
なお、お互い最終ストックの状態でメガンテを発動した場合、ポケモンのだいばくはつと一緒で使った側が負けとなります。
最終ストックでメガンテを誤爆した暁には変な空気になること請け合いです。
どれもが凄まじい性能を秘めていますね。
単純に技単体のスペックが高いというのもあるのですが、ザラキやメガンテに至っては歴代の必殺技と比較しても一線を画しているお祭り技です。相手が即死したり自分が即死したり。
短所

必殺技の性能だけなら全キャラトップレベルだと思われますが、通常技は手放しに強いとは言えません。
弱や上強や空前や空後は範囲が広く、普通に主力として使っていける高性能技ではありますが、他のファイターの技と比較するとやはり物足りないです。
特に悪目立ちするのは、通常技はどれも大振りで発生・後隙が芳しくないという点です。優秀なガーキャン行動を持っていないというのもあって、相手にまとわりつかれた際の拒否が非常に大変だと思われます。
ライデインやコマンド技で相手を近づかせずに戦うキャラなので、ゲッコウガやパルテナなどの中距離での読み合いが強く、接近戦が得意なキャラには苦戦を強いられることが予想されます。
復帰がそこまで強くないというのも明確な弱点ですね。
バキ・バギマ・バギクロスを使い分ければ復帰ルートは割と散らせると思いますが、進行方向に攻撃判定を纏えないのはやはり心許ないです。
崖際に持続の長い技を置かれるのがかなり苦手だと感じました。ヨーヨーとかヨーヨーとかヨーヨーとか。まあ、対ネス自体はいける部類のカードだと思いますが……。
一応ルーラで安全に復帰するという手段もあることにはあるので、一概に弱いとは言えないかもしれませんけどね。
総評

スマブラで剣士キャラが登場するのは何十体目なのかわかりませんが、剣士キャラの中どころか全参戦キャラの中で見ても、特異な性能をしていると言えるファイターに仕上がっていました。
MPを消費することによって発動できる強力な攻撃呪文や、ランダムで選ばれる超性能なコマンド技を使って相手を翻弄し、近づけさせない戦い方を得意とします。
コマンド技は自分で選ばなければならない以上慣れは必要ですが、使いこなした時の爆発力はかなりのものであり、会心の一撃と合わせて勇者らしい逆転劇を演出することも夢ではありません。
そのeSportsの権化のような性能から、海外のローカル大会で禁止になったり、フランスの公式大会で禁止になりかけたりしました。あばばばばw
そんな嫌われキャラですが、自分としては使ってて一番楽しいファイターまであります。ドラクエシリーズ自体が好きな上に性能も自分好みでした。
下Bは運ゲー扱いされて嫌われがちですが、自分で選んで発動するという点でキャラ理解はどうしても必要です。うまくイオナズンやメガンテで相手をバーストできた時の爽快感は一入です。
流石に会心と低%ザキザラキでバーストした時は申し訳ない気持ちにはなりますが、言ってみればゲムヲの横Bやピーチの下Bも運ゲーですから、ある程度の運要素は元々スマブラには備わっているものだと考えています。
まあ、単発火力の高いパワフルなファイターであり、簡単にシールドを割る手段もいくつか持ち合わせているので、相手にしていて疲れるというのは感じます。ガノンやマックを相手にしている気分というか。
あとは言語の問題だけはなんとかならないんでしょうかね(SalemのHeroを見ながら)