
【逆転裁判 Season2】完
「逆転裁判3」をテレビアニメ化した作品である「逆転裁判 Season2」の放送が、先週土曜日に終了しました。
見ていて演出頑張っているな~と感じさせられることは多かったです。原作より良かったと思えるような良改変はいくつかあり、アニオリのエピソードも中々に完成度が高かったと思います。
が……やっぱり総合してしまうと原作を超えることはなかったと断言できます。
そもそも逆転裁判というゲームのシナリオ自体が、アニメにはあまり向いていないと思うんですよね。逆転裁判のシナリオの面白さは、成歩堂と一体となって証人を追い詰め、真実を追究していく爽快感に依存している部分がどうしてもあります。
その爽快感の塩梅をアニメで再現するのは非常に難しいです。なにしろ原作での成歩堂のシンキングタイムはプレイヤーが実際に悩んでいる時間、すなわちリアルタイムで表現されてきました。
それがどういうことかというと、読み手にとってこの上なく「ちょうどいい」と感じられる時間で表現されているということです。勝てるわけがありません。
謎解きが早すぎてしまうとカタルシスはなくなり、かと言ってゆったりできるほど尺に余裕もありません。
逆転検事2や大逆転裁判2ほど伏線回収しまくっている作品ならアニメ映えもするかもしれませんが、少なくとも1・2・3をアニメにまとめるのはとても大変だと感じました。
というわけで今からこの作品に触れたいという方には、アニメではなくゲームから入ることを強く推奨したいです。
具体的には今年発売された移植版である「逆転裁判123 成歩堂セレクション」というゲームがオススメです。

こちらは逆転裁判1・2・3がまとめてプレイできるお得なソフトになります。
逆転裁判は3で一度大団円を迎えて完結しているシリーズなので、とりあえず1から3までプレイするのが一番話的には綺麗です。
ですからこちらは入門としては打ってつけのゲームだと思います。クリアしてお気に召した方は検事シリーズや4以降の作品にも手を出してみてください、ということで。
上記のソフトはPS4、switch、XBOXONEで発売されています。STEAM版も来週配信開始するようです。
他にも3DS版やスマホ版も数年前に発売されました。このシリーズはとにかくあらゆるハードに移植されており、プレイできないハードを探す方が難しいというレベルなので、必ずお好みのハードでプレイできると思います。
逆転裁判シリーズは累計680万本売れており、アドベンチャーゲームの金字塔とも言うべき作品です。
シナリオ、ゲームシステム、キャラクターなど、その魅力は挙げたらキリがないほど。お時間があれば是非プレイしていただきたいシリーズです。
ダイレクトマーケティングはこのくらいにして、追記からはネタバレありで軽くアニメの感想を書こうと思います。
主に文句をぶっちゃけてるので閲覧にはご注意ください。
・アニメオリジナルエピソードについて
第6話「届け逆転のメロディ」
第10話 - 第12話「逆転特急、北へ」
第14話「逆転の潮騒が聞こえる」
これらはアニオリ回です。まあまあ面白かったと思います。
中でも第14話は良回だったと思います。瑞々しい綾里一家が見れるほか、3のテーマである受け継がれる意志というワードにも触れています。普通に感動しました。
第6話は御剣の中学生時代の話であり、冥や豪さんが出てくるので一見の価値はあると思います。
三話に渡って描かれた「逆転特急、北へ」は、列車内で殺人事件に巻き込まれる成歩堂達を描いたエピソード。逆転裁判というより金田一やコナンのような話です。
・悪かったところ
基本的には原作に忠実に再現してくれていましたが、要所要所でアニメの劣化とも思える描写が目立ちました。
特に個人的に一番残念だったのは、哀牙探偵の弱体化でした。
哀牙は「あえて別の罪を被ることで殺人罪から逃れようとする」「サイコ・ロックを欺く」という前人未到の実績を持つ、頭の切れる犯人です。原作で成歩堂は最後の最後にゆさぶることでようやく追い詰めることに成功しましたが、彼は間違いなく逆転裁判における全犯人の中でも屈指の強敵だったと言えます。
その哀牙がアニメでは、尺の都合ですと言わんばかりにえらいあっさり罪を認めていました。わざわざ別の裁判にかけられることで罪を回避しようとした男が、こんな簡単に自白するはずないと思いますが……。
哀牙は独特な口調とその手強さから、シリイズ内でも高い人気を誇るキャラクタアだったと思います。私も好きだったので、このように劣化してしまったことは残念でした。
他にもアニメで期待していたのが、原作のBGMをもっとふんだんに使って欲しいということ。
要所要所で流れてはいたのですが、その場面はあまりにも少なかったです。逆転裁判といえば追求みたいなところもありますから、もっと流して欲しかったですね。
・良かったところ
細かい良改変は多かったです。
糸鋸刑事がシバクゾーと格闘するところとか。弁護士バッジを御剣に託すところとか。
また、アニメは全体的には駆け足気味でしたが、ラスト三話は丁寧に描写してくれていました。
ラスト三話は華麗なる逆転の二日目法廷です。ここによく三話も尺を割いてくれたものだと思いました。
最終話でちょっと物足りなかったのは、ゴドー視点で成歩堂の姿が千尋とダブる例のシーン。個人的にここはシリーズで一番好きなシーンなまであったので残念でした。アニメはゴドーに視点が切り替わらないどころかデスビームでマスクを破壊しだすんですもの。
ただ、それ以外のシーンはとても原作に忠実に描いてくれていたと思います。ゴドーの独白では原作のゴドーのテーマ曲「珈琲は闇色の香り」を使用。あの長い独白をカットすることなく丸々流してくれました。(彼が本物の涙を流したことには賛否が分かれそうですが。)
成歩堂とあやめの会話では若干台詞が追加されていました。中の人の熱演も相まって、原作より良かったと感じさせられた良改変だったと思います。
この最終話のゴドーとあやめのシーンだけでなく、うらみちゃんのシバクゾーに対する複雑な思いや、春美ちゃんの真宵ちゃんに対する畏敬の念にも似た感情など、人と人の関係の掘り下げは原作よりも綿密にやってくれたという印象です。
・総括
一期よりは尺に余裕があったおかげか、細かいところは原作よりも良かったと感じさせられましたが、やはり総合的に比較してしまうとゲームの方が面白いという結論になりました。
なんだかんだで初見の人がアニメ単体で見てもそこそこ楽しめるレベルには再現されていたと思いましたが、それでも逆転裁判の魅力のひとつはそのゲームシステムによる爽快感・没入感だと考えているので、それがなかったアニメ版は評価が落ちてしまいます。
また、そのアニメ化における因果を抜きにしても哀牙の弱体化などの劣化点は顕著だったので、やはり新規の人はアニメよりもゲームから入って欲しいと感じました。
あとは一期の20話「逆転サーカス Last Trial」のような確実に原作を超えてきたと思わせてくるエピソードもなかったのも残念でした。あの話だけは視聴中に涙が溢れて止まらなかったレベルには泣かせられたんですけど。
ラスト三話の力の入れっぷりは凄まじかったですが、追求がなかったりオマエがアイツの中に生きてるシーンがなかったりで、物足りなかった部分は確かにありました。
今後逆転裁判4や検事シリーズのアニメ化もやっていくのでしょうかね。
個人的には逆転裁判7や逆転検事3など、ゲームの方の新作の話をお待ちしています。ああれ。
見ていて演出頑張っているな~と感じさせられることは多かったです。原作より良かったと思えるような良改変はいくつかあり、アニオリのエピソードも中々に完成度が高かったと思います。
が……やっぱり総合してしまうと原作を超えることはなかったと断言できます。
そもそも逆転裁判というゲームのシナリオ自体が、アニメにはあまり向いていないと思うんですよね。逆転裁判のシナリオの面白さは、成歩堂と一体となって証人を追い詰め、真実を追究していく爽快感に依存している部分がどうしてもあります。
その爽快感の塩梅をアニメで再現するのは非常に難しいです。なにしろ原作での成歩堂のシンキングタイムはプレイヤーが実際に悩んでいる時間、すなわちリアルタイムで表現されてきました。
それがどういうことかというと、読み手にとってこの上なく「ちょうどいい」と感じられる時間で表現されているということです。勝てるわけがありません。
謎解きが早すぎてしまうとカタルシスはなくなり、かと言ってゆったりできるほど尺に余裕もありません。
逆転検事2や大逆転裁判2ほど伏線回収しまくっている作品ならアニメ映えもするかもしれませんが、少なくとも1・2・3をアニメにまとめるのはとても大変だと感じました。
というわけで今からこの作品に触れたいという方には、アニメではなくゲームから入ることを強く推奨したいです。
具体的には今年発売された移植版である「逆転裁判123 成歩堂セレクション」というゲームがオススメです。

こちらは逆転裁判1・2・3がまとめてプレイできるお得なソフトになります。
逆転裁判は3で一度大団円を迎えて完結しているシリーズなので、とりあえず1から3までプレイするのが一番話的には綺麗です。
ですからこちらは入門としては打ってつけのゲームだと思います。クリアしてお気に召した方は検事シリーズや4以降の作品にも手を出してみてください、ということで。
上記のソフトはPS4、switch、XBOXONEで発売されています。STEAM版も来週配信開始するようです。
他にも3DS版やスマホ版も数年前に発売されました。このシリーズはとにかくあらゆるハードに移植されており、プレイできないハードを探す方が難しいというレベルなので、必ずお好みのハードでプレイできると思います。
逆転裁判シリーズは累計680万本売れており、アドベンチャーゲームの金字塔とも言うべき作品です。
シナリオ、ゲームシステム、キャラクターなど、その魅力は挙げたらキリがないほど。お時間があれば是非プレイしていただきたいシリーズです。
ダイレクトマーケティングはこのくらいにして、追記からはネタバレありで軽くアニメの感想を書こうと思います。
主に文句をぶっちゃけてるので閲覧にはご注意ください。
・アニメオリジナルエピソードについて
第6話「届け逆転のメロディ」
第10話 - 第12話「逆転特急、北へ」
第14話「逆転の潮騒が聞こえる」
これらはアニオリ回です。まあまあ面白かったと思います。
中でも第14話は良回だったと思います。瑞々しい綾里一家が見れるほか、3のテーマである受け継がれる意志というワードにも触れています。普通に感動しました。
第6話は御剣の中学生時代の話であり、冥や豪さんが出てくるので一見の価値はあると思います。
三話に渡って描かれた「逆転特急、北へ」は、列車内で殺人事件に巻き込まれる成歩堂達を描いたエピソード。逆転裁判というより金田一やコナンのような話です。
・悪かったところ
基本的には原作に忠実に再現してくれていましたが、要所要所でアニメの劣化とも思える描写が目立ちました。
特に個人的に一番残念だったのは、哀牙探偵の弱体化でした。
哀牙は「あえて別の罪を被ることで殺人罪から逃れようとする」「サイコ・ロックを欺く」という前人未到の実績を持つ、頭の切れる犯人です。原作で成歩堂は最後の最後にゆさぶることでようやく追い詰めることに成功しましたが、彼は間違いなく逆転裁判における全犯人の中でも屈指の強敵だったと言えます。
その哀牙がアニメでは、尺の都合ですと言わんばかりにえらいあっさり罪を認めていました。わざわざ別の裁判にかけられることで罪を回避しようとした男が、こんな簡単に自白するはずないと思いますが……。
哀牙は独特な口調とその手強さから、シリイズ内でも高い人気を誇るキャラクタアだったと思います。私も好きだったので、このように劣化してしまったことは残念でした。
他にもアニメで期待していたのが、原作のBGMをもっとふんだんに使って欲しいということ。
要所要所で流れてはいたのですが、その場面はあまりにも少なかったです。逆転裁判といえば追求みたいなところもありますから、もっと流して欲しかったですね。
・良かったところ
細かい良改変は多かったです。
糸鋸刑事がシバクゾーと格闘するところとか。弁護士バッジを御剣に託すところとか。
また、アニメは全体的には駆け足気味でしたが、ラスト三話は丁寧に描写してくれていました。
ラスト三話は華麗なる逆転の二日目法廷です。ここによく三話も尺を割いてくれたものだと思いました。
最終話でちょっと物足りなかったのは、ゴドー視点で成歩堂の姿が千尋とダブる例のシーン。個人的にここはシリーズで一番好きなシーンなまであったので残念でした。アニメはゴドーに視点が切り替わらないどころかデスビームでマスクを破壊しだすんですもの。
ただ、それ以外のシーンはとても原作に忠実に描いてくれていたと思います。ゴドーの独白では原作のゴドーのテーマ曲「珈琲は闇色の香り」を使用。あの長い独白をカットすることなく丸々流してくれました。(彼が本物の涙を流したことには賛否が分かれそうですが。)
成歩堂とあやめの会話では若干台詞が追加されていました。中の人の熱演も相まって、原作より良かったと感じさせられた良改変だったと思います。
この最終話のゴドーとあやめのシーンだけでなく、うらみちゃんのシバクゾーに対する複雑な思いや、春美ちゃんの真宵ちゃんに対する畏敬の念にも似た感情など、人と人の関係の掘り下げは原作よりも綿密にやってくれたという印象です。
・総括
一期よりは尺に余裕があったおかげか、細かいところは原作よりも良かったと感じさせられましたが、やはり総合的に比較してしまうとゲームの方が面白いという結論になりました。
なんだかんだで初見の人がアニメ単体で見てもそこそこ楽しめるレベルには再現されていたと思いましたが、それでも逆転裁判の魅力のひとつはそのゲームシステムによる爽快感・没入感だと考えているので、それがなかったアニメ版は評価が落ちてしまいます。
また、そのアニメ化における因果を抜きにしても哀牙の弱体化などの劣化点は顕著だったので、やはり新規の人はアニメよりもゲームから入って欲しいと感じました。
あとは一期の20話「逆転サーカス Last Trial」のような確実に原作を超えてきたと思わせてくるエピソードもなかったのも残念でした。あの話だけは視聴中に涙が溢れて止まらなかったレベルには泣かせられたんですけど。
ラスト三話の力の入れっぷりは凄まじかったですが、追求がなかったりオマエがアイツの中に生きてるシーンがなかったりで、物足りなかった部分は確かにありました。
今後逆転裁判4や検事シリーズのアニメ化もやっていくのでしょうかね。
個人的には逆転裁判7や逆転検事3など、ゲームの方の新作の話をお待ちしています。ああれ。