
「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」読了
先日「DRAGON QUEST -ダイの大冒険-」という漫画を読破したので、簡易的な感想を書いていきたいと思います。

【概要】
1989年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、王道な冒険・バトル漫画。単行本は全37巻。
所謂ドラゴンクエストのメディアミックスとなる漫画なのですが、登場するキャラクターはモンスターを除いて全てオリジナルであり、ストーリーも独自のものとなっています。
ゲームと全く接点のない設定を数多く持つものの、作中で展開されたキャラクターやストーリーは非常によく練られており、連載終了から20年以上経った今でもなお根強いファンが存在する人気漫画です。
「メドローア」「ベタン」等のオリジナルの呪文は本家ドラクエに逆輸入されたこともあり、本家にも少なからず影響を与えていました。
「今のはメラゾーマではない……メラだ」という名台詞のルーツの漫画ということで、昔から気になっていた漫画でした。こないだ機会があって全巻読んでみたのですが、本当に面白かったです。
シナリオでは所謂「燃える」展開が全て押さえられていて、冒険バトル漫画のお手本のような作品でした。
作中では魅力的な背景を持ったキャラクターが多かったですが、その中でも特に印象に残ったキャラクターに対する感想をまとめていきます。
ポップ
ポップは実質もう一人の主人公でしたね。人気が高いのも頷けます。
ダイは竜の騎士としての能力を生まれながらに持っていた血統書付きのキャラクターだったので、登場時ヘタレの状態からスタートしたポップは、ダイ以上に物語中に成長した人物なのだと思いました。
ということで徐々に成長し続けたキャラ……のように見えますが、分岐点的には二つだけだったのかなと思います。序盤のクロコダイン+ブラス戦と、終盤でのミナカトール実行時に、それぞれ一皮剥けていましたね。
クロコダイン+ブラス戦を終わらせてからしばらくの間は、ポップはずっとかっこいい見せ場しか描かれていなかっただけあって、ミナカトールの時に急に悩み出したのは若干唐突に感じました。
しかし、ポップは最初からずっと自分だけが普通の人間であることにコンプレックスを感じていただけで、今まではそこにあえて目を向けていなかっただけだったということでしょうか。バラン戦で嫌われ役を買って自分の命までをも犠牲にしようとしたこと、使命に押し潰されそうになっていたダイに助言をしたことも、全て選ばれし者がどうのこうのみたいな話とは関係ないことでしたから。
今まで目を逸らし続けてきた問題が、終盤のミナカトール実行時になって向き合う必要が出てきて、そこで塞ぎ込んでしまったということでしょうか。
とにかくこの作品には必要不可欠だった、味わい深いキャラクターでしたね。
友情・努力・勝利を彼一人でほぼ担当していた感じがあります。
ハドラー
序盤の印象としてはやはり「師の敵」ということで、ドラクエ5でいうところのゲマのようなキャラクターですから、徹底的にゲスな面ばかり描かれていくのかと思いましたが……。
物語中では彼自身の葛藤も描写されていき、最終的には「主人公の最大のライバル」と言うに相応しい武人へと昇華してしまいました。
肉体改造へと手を出した時はこのまま落ちぶれていくのかと思っていましたが、全然そんなことはなかったです。ダイだけでなく、アバンやポップとの彼の関係性も良かった。
ハドラーは敵側の主人公とも言うべきキャラクターでした。最初に出てきた時の小物丸出しな印象から、まさかここまで株を上げてしまうとは。
クロコダイン
悪の組織の幹部に一人はいそうな、武士道精神を持っているキャラクター。
7巻ぐらいまではダイ達のピンチの時にいちいち駆けつけてくれる姿が本当にかっこよくて、自分好みのキャラだ!と確信していました。7巻ぐらいまでは。
一応パーティメンバーの一人としてカウントはされていたのですが、中盤以降はわかりやすいぐらい噛ませ化していました。ブロックにボコボコにされて昇天していた時は泣いた。
終盤はアバンの使徒ではないせいで留守番となってしまい、出番も減ってしまいました。そして最終決戦に駆けつけた時にはとうとう「レベル外」という烙印を押されてしまいました。まさかチウと同じ括りにされるとは!一応フォローはされていましたが、不憫すぎて爆笑してしまいました。
こういう主人公達とは違う道を生きてきた老練の戦士という、渋い魅力のあるキャラは好きだったのですが、残念ながら活躍していたのは中盤まででした。獣王激烈掌でシャハルの鏡を吹っ飛ばしたのが最後の見せ場でした。
読む前にクロコダインが人気のあるキャラというのは聞いていたので、てっきりどこかしらで汚名返上を果たして読者のハートを鷲掴みにするのかと思っていましたが……まさかこういう意味で人気のあるキャラだったとは。
以上3キャラでした。
たぶん一番好きなキャラはクロコダインです。男気のある噛ませ役は一粒で二度おいしい。
とにかく作品の特徴として、各キャラクターの掘り下げが半端ないということが伺えました。
代表的な例では敵側のキャラクターの、ハドラーとバランの扱い方でしょうか。それぞれ「師の敵」「主人公の父親」ということでしたが、やっつけたらやっつけたでそのまま終わってしまうということはなく、どちらも最後の最期まで主人公に多大な影響を与えた人物として描かれました。
この作品を名作たらしめている最大の理由はそこにあったのかな、と感じました。キャラクターの設定を物語上で活かすのが、あまりにも上手すぎた作品でした。
作中で個人的に気になったことですが、この作品に恋愛要素って必要だったんですかね。これは好みの問題だと思いますが……。
ポップとマァムの関係は初期からずっと続いていましたしまだ理解できるのですが、エイミ等のサブキャラの恋心までをも、ああまでクローズアップさせる必要があったのかな、と感じました。
尤も「自分は人を幸せにできない」という感情こそがヒュンケルが持っていたひとつのわだかまりでしたから、それに対するアンチテーゼとして彼に対して恋愛感情を持つ人物の存在は、物語的に必要だったのかもしれませんね。
お前は生きているだけで人を幸せにできるんだぞ、という。エイミはそれを体現する為の設定を持たされたキャラだったのかと思いました。
感想は以上です。
1990年代の前半のジャンプを代表する漫画作品、ダイの大冒険。噂に違わない面白さでした。

【概要】
1989年から1996年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されていた、王道な冒険・バトル漫画。単行本は全37巻。
所謂ドラゴンクエストのメディアミックスとなる漫画なのですが、登場するキャラクターはモンスターを除いて全てオリジナルであり、ストーリーも独自のものとなっています。
ゲームと全く接点のない設定を数多く持つものの、作中で展開されたキャラクターやストーリーは非常によく練られており、連載終了から20年以上経った今でもなお根強いファンが存在する人気漫画です。
「メドローア」「ベタン」等のオリジナルの呪文は本家ドラクエに逆輸入されたこともあり、本家にも少なからず影響を与えていました。
「今のはメラゾーマではない……メラだ」という名台詞のルーツの漫画ということで、昔から気になっていた漫画でした。こないだ機会があって全巻読んでみたのですが、本当に面白かったです。
シナリオでは所謂「燃える」展開が全て押さえられていて、冒険バトル漫画のお手本のような作品でした。
作中では魅力的な背景を持ったキャラクターが多かったですが、その中でも特に印象に残ったキャラクターに対する感想をまとめていきます。
ポップ
ポップは実質もう一人の主人公でしたね。人気が高いのも頷けます。
ダイは竜の騎士としての能力を生まれながらに持っていた血統書付きのキャラクターだったので、登場時ヘタレの状態からスタートしたポップは、ダイ以上に物語中に成長した人物なのだと思いました。
ということで徐々に成長し続けたキャラ……のように見えますが、分岐点的には二つだけだったのかなと思います。序盤のクロコダイン+ブラス戦と、終盤でのミナカトール実行時に、それぞれ一皮剥けていましたね。
クロコダイン+ブラス戦を終わらせてからしばらくの間は、ポップはずっとかっこいい見せ場しか描かれていなかっただけあって、ミナカトールの時に急に悩み出したのは若干唐突に感じました。
しかし、ポップは最初からずっと自分だけが普通の人間であることにコンプレックスを感じていただけで、今まではそこにあえて目を向けていなかっただけだったということでしょうか。バラン戦で嫌われ役を買って自分の命までをも犠牲にしようとしたこと、使命に押し潰されそうになっていたダイに助言をしたことも、全て選ばれし者がどうのこうのみたいな話とは関係ないことでしたから。
今まで目を逸らし続けてきた問題が、終盤のミナカトール実行時になって向き合う必要が出てきて、そこで塞ぎ込んでしまったということでしょうか。
とにかくこの作品には必要不可欠だった、味わい深いキャラクターでしたね。
友情・努力・勝利を彼一人でほぼ担当していた感じがあります。
ハドラー
序盤の印象としてはやはり「師の敵」ということで、ドラクエ5でいうところのゲマのようなキャラクターですから、徹底的にゲスな面ばかり描かれていくのかと思いましたが……。
物語中では彼自身の葛藤も描写されていき、最終的には「主人公の最大のライバル」と言うに相応しい武人へと昇華してしまいました。
肉体改造へと手を出した時はこのまま落ちぶれていくのかと思っていましたが、全然そんなことはなかったです。ダイだけでなく、アバンやポップとの彼の関係性も良かった。
ハドラーは敵側の主人公とも言うべきキャラクターでした。最初に出てきた時の小物丸出しな印象から、まさかここまで株を上げてしまうとは。
クロコダイン
悪の組織の幹部に一人はいそうな、武士道精神を持っているキャラクター。
7巻ぐらいまではダイ達のピンチの時にいちいち駆けつけてくれる姿が本当にかっこよくて、自分好みのキャラだ!と確信していました。7巻ぐらいまでは。
一応パーティメンバーの一人としてカウントはされていたのですが、中盤以降はわかりやすいぐらい噛ませ化していました。ブロックにボコボコにされて昇天していた時は泣いた。
終盤はアバンの使徒ではないせいで留守番となってしまい、出番も減ってしまいました。そして最終決戦に駆けつけた時にはとうとう「レベル外」という烙印を押されてしまいました。まさかチウと同じ括りにされるとは!一応フォローはされていましたが、不憫すぎて爆笑してしまいました。
こういう主人公達とは違う道を生きてきた老練の戦士という、渋い魅力のあるキャラは好きだったのですが、残念ながら活躍していたのは中盤まででした。獣王激烈掌でシャハルの鏡を吹っ飛ばしたのが最後の見せ場でした。
読む前にクロコダインが人気のあるキャラというのは聞いていたので、てっきりどこかしらで汚名返上を果たして読者のハートを鷲掴みにするのかと思っていましたが……まさかこういう意味で人気のあるキャラだったとは。
以上3キャラでした。
たぶん一番好きなキャラはクロコダインです。男気のある噛ませ役は一粒で二度おいしい。
とにかく作品の特徴として、各キャラクターの掘り下げが半端ないということが伺えました。
代表的な例では敵側のキャラクターの、ハドラーとバランの扱い方でしょうか。それぞれ「師の敵」「主人公の父親」ということでしたが、やっつけたらやっつけたでそのまま終わってしまうということはなく、どちらも最後の最期まで主人公に多大な影響を与えた人物として描かれました。
この作品を名作たらしめている最大の理由はそこにあったのかな、と感じました。キャラクターの設定を物語上で活かすのが、あまりにも上手すぎた作品でした。
作中で個人的に気になったことですが、この作品に恋愛要素って必要だったんですかね。これは好みの問題だと思いますが……。
ポップとマァムの関係は初期からずっと続いていましたしまだ理解できるのですが、エイミ等のサブキャラの恋心までをも、ああまでクローズアップさせる必要があったのかな、と感じました。
尤も「自分は人を幸せにできない」という感情こそがヒュンケルが持っていたひとつのわだかまりでしたから、それに対するアンチテーゼとして彼に対して恋愛感情を持つ人物の存在は、物語的に必要だったのかもしれませんね。
お前は生きているだけで人を幸せにできるんだぞ、という。エイミはそれを体現する為の設定を持たされたキャラだったのかと思いました。
感想は以上です。
1990年代の前半のジャンプを代表する漫画作品、ダイの大冒険。噂に違わない面白さでした。