
【CLANNAD】感想
とても今更ながら「CLANNAD」をクリアしてしまったので感想を書かせていただきます。

今回は文字数約22000という微妙に冗長な記事となってしまったので、見づらくなってしまうことを防ぐ為に、目次を用意してみました。当ブログ初の試み。
急いで書いたので誤字が多いかもしれません。気付いたらちまちま直していこうと思います。
目次
・雑感(ネタバレなし)
・感想① サブルート
・感想② 個別ルート
・感想③ AFTER STORY
・好きなキャラクター、音楽
・総括
クリアまでにかかった時間は計測してないので全然わかりません。根拠とか全くありませんが、体感では50時間ぐらいだったかなと思っています。
プレイ前は「クリアに100時間ぐらいかかるゲーム」という評価を小耳に挟みましたが、僕は攻略サイトをカンニングしながら進めたこと、Vita版はスキップや巻き戻しの操作がとても快適だったことから、言われてるほどは時間がかからなかったです。
それにしたって50時間かかってしまった辺りはボリュームがたっぷりであり、骨太な作品だったと感じました。
プレイ前の印象では、CLANNADは「key最高傑作」との呼び声も高かったので、いつかは触れてみたい作品だと考えていました。
原作も泣きゲーの最高峰として名高いと思いますが、どちらかと言えば原作発売から3年後に放送された、アニメ作品の方が有名なのでしょうか。原作よりアニメの方が有名な作品というのは、とても珍しいと思いました。
僕はアニメのCLANNADはまだ視聴できていないのですが、アニメは4クールの尺をふんだんに使って濃密に描かれており、原作とはまた違った良さのあるひとつの作品として地位を確立しているらしいです。
CLANNADはアニメ・ゲーム共に「泣ける」作品の代名詞と言ってもいいぐらい、高い評価がされてる作品という印象でした。
「CLANNADは人生」という、あまりにも有名な言葉。作品のファンを蔑ろにする意味で用いられることが多いように感じます。
僕はこのゲームをプレイする前は、発言主は「自分の人生に多大な影響を与えた作品」という意味でこのようなフレーズを使っていたのかと思っていました。
しかし、プレイをし終えた後では間違った解釈だったことに気付きました。CLANNADそのものが正に「人生」のゲーム、だったんですね。
主人公を初めとした、登場人物達の壮大な人生を描いた物語、CLANNAD。
ここからはネタバレに大きく踏み込んだ感想になりますので、閲覧にはご注意ください。
個別ルートの感想に入る前に、短めのサブルートの感想から。
サブルートは「春原BAD」「草野球」「ジェット斉藤」の3つのルートのことです。勝手に命名しました。
どれもおまけのようなルートであり、そもそも内一つはルートですらないぐらい短いので、簡潔に書いていきたいと思います。
・春原BAD
一体どういう内容になるのか、名前からは想像できませんでした。
とんでもない鬱エンドだったら嫌だなぁと思いつつ進めてみたら……とんでもないネタルートでした。
まさかこんなに頭おかしい展開になってしまうとは。そういえば同じくバッドエンドでホモに走るゲームも、半年ぐらい前にやったっけ……。
唐突に何の説明もなくホモに目覚めてしまう朋也。
朋也の春原に対する言葉の掛け方が変わりまくってて面白かったです。
芽衣の前でイチャつく二人とか見れたら楽しそうだなと思いましたが、その日限りであっさり完結してしまいました。流石に長いこと続いてしまったらそれはそれで問題なので、良かったのですが。
・草野球
実質ファンディスクとも言うべきルート。みんなが楽しそうで何よりです。
欲を言えばことみや有紀寧の活躍も見たかったのですが、残念ながら出番はなし。まあ、野球は9人でやるものなので仕方ないですね。
それにここで集められたメンバーは朋也の言った通り、CLANNADの登場人物から考えられる最強の布陣とも言うべき面子なので、彼女らがハブられてしまうのも無理もなかったです。
肝心の試合中は、ライター絶対野球オタクだろってのがテキストからにじみ出てました。専門用語もそうだけど、実在の選手の名前がちらちら出てくるのが。
最後は結末をあえて描かずにキングクリムゾンするという、スポーツ漫画でたまにありそうなオチとなりました。
・ジェット斉藤
ルートというかイベント。見るのが結構大変でした。
こんなのがトロフィーのひとつになっているとは……。あまり詳しくないのですが、key作品ではお馴染みのネタ?だったらしいですね。
CLANNADの個別ルートの数はなんと10個。多すぎてびっくりしましたが、その分長いこと楽しむことができたので良かったです。
プレイした順は「風子→春原→藤林→幸村→有紀寧→美佐枝→智代→勝平→ことみ→渚」でした。色々な人に聞いたり調べたりして、「○○ルートの前に○○ルートをやるべき」「○○ルートは最後に回したほうがいい」ということがわかったので、この順番になりました。
恐れ多いですが好きなルートから順に順位をつけました。下から順番に感想を書いていきたいと思います。
10位 勝平ルート
芳野祐介に影響された人物の一人である、柊勝平という男の子の物語。
勝平は最初女と見せかけて男と見せかけて実は女でしたって話になるのかなと思ってましたが、普通に男の子でした。
勝平って他のルートだと全然登場しない上に、アニメでも存在自体が削られてしまったらしいので、とても浮いているキャラですよね。男の娘キャラは一部の層では需要があるということで、急遽後付けで足されたキャラ……なんてことは、いくらなんでもないか。
個人的には勝平のキャラが好きになれなかったこと、春原がただのアホに成り下がっていたこと、椋が何の説明もなく勝平と付き合い始めたことが目に付いて、あまり好きにはなれないルートでした……。
勝平のキャラが好きになれるかどうかは好みの問題ですし、春原がアホに見えたのはただ悪い部分しか描かれなかっただけだから良いとしても、椋が勝平と交際を始める過程はもう少ししっかりして欲しかったと思いました。
あれほど朋也のことを慕っていた椋が、たった一日で他の男との交際をキメてしまうなんて! それもウキウキしながら! どういうことだ!
藤林ルートの椋のキャラが好きだった身としては、どうしても残念だった部分でした。
まあ、「自分が憧れている人」と「自分に対して想いを寄せてくれる人」の二人がいたとして。彼女のような優しい人が選択するのであれば、もちろん後者になってしまいますよね。ですから仕方のないことではありました。
それでも杏ルートの椋の徹底的なまでの愛を見せられた後では、彼女が他の男と何の説明もなく付き合い始めてしまったというのは、違和感が拭えないです……。
これ、もしも自分が勝平ルートと藤林ルートのプレイする順番を逆にしていたら、逆に藤林ルートの方に違和感を抱え込んじゃったのかなぁ。先入観によって評価が左右されてしまうという、わかりやすい例かもしれません。
しかし、柊勝平という一人の人間の人生を描いたエピソードという意味では、CLANNADらしいルートだったと思いました。
「家族」というものを元から持っておらず、自分の「やりたいこと」としてひたすら縋っていた陸上もできなくなってしまった勝平。全てを失ってしまった彼が一人の愛する女性の手によって、最終的に「家族」も「やりたいこと」も改めて手に入れることができたというのは、心が揺さぶられるものがありました。
数年後のエピローグでの勝平と椋は、大変ながらもとても充実した人生を歩んでいたと感じました。
9位 智代ルート
ある意味最もイチャついていたルートではないでしょうか。こいつら何回キスしてるんだよ。
智代はリアルファイトが漫画みたいに強く、後輩なのに朋也達にタメ口を利くということで、とても勝気なキャラだと思っていました。が、実際はどのヒロインよりも人間らしい弱さを持っていたキャラだったと感じました。
朋也と付き合い始めた後では、「冗談でも傷つくからやめて欲しい」など、弱気な態度を幾度も見せていました。表面は強気に取り繕っているというわけではなく、オドオドしたような言動が何度もクローズアップされていたので、とても繊細な性格の持ち主だということが終始伺えるキャラでした。
「今のは女の子らしいと思わないか?」というのは彼女の口癖のような台詞でしたが、こういうことをいちいち気にしちゃったり繊細な心を持ってたりした辺り、智代は無自覚ながらも立派な女の子らしさを持っているのは紛れも無いことだったと思います。
そんな彼女のルートですが……うーん。ちょっと歯がゆいような、胸糞悪さがありましたね。
朋也と智代は愛し合っている。しかし智代の夢を叶えるには二人は一緒にいてはいけない。……という禁断の恋のような状況が、このルートのテーマだったと思います。
まず朋也が「生徒会長と付き合うという事実がゾッとする」と言っていたことですが、他のルートでは教師に反抗したり授業を平気で抜け出したりしてるような朋也に、今更怖いものなんてあったのかなと思ってしまいました。
「智代の足を引っ張りたくない」という事情があったとしても、朋也が学校側から腫れ物扱いされていた理由って、放課後の教室内で見え見えのキスをしている現場を目撃されたり、創立者祭で逢い引きしているのがバレたりしたせいだったので、正直二人が自爆していただけだったようにしか見えなかったんですよね。
生徒会長がどれだけ忙しくても土日が毎週潰れてしまうなんてことはありえないと思いますし、一週間に一度会うだけでいいから交際を続けていくことはできたはずです。いくら付き合っているからと言ってああまで危険を冒してまで、何度もくっつこうとしなければいけない理由はなかったと思いました。
それなのに不注意にも程がある逢い引きを繰り返してはそれを目撃され、自分達はやはり一緒にいてはいけないのだと追い詰められていく二人は……もっと他にやりようがあっただろ!と言いたくなりました。二人の精神的な幼さが描かれていたのだと、肯定的に見ることもできなくもないですが……。
智代が落選してしまうというバッドエンドの展開は、とても自分好みでした。
生徒会長になるという目標を失ってしまった智代が、朋也に依存したまま堕落していってしまう。智代という女の子の弱さを考えると、こうなるのも仕方なかったというような結末でしたね。
幸せなのに幸せじゃないという、不思議な結末でした。これもメリーバッドエンドとかいうやつでしょうか。
8位 有紀寧ルート
ことみルートや勝平ルートが「キャラの人生を描いたルート」ならば、有紀寧ルートは「キャラそのものを描いたルート」なのかと感じました。有紀寧という人物そのものの生き方を見せ付けられた気がします。
攻略過程の共通ルート部分で描かれた、朋也と春原でおまじないを試す場面は、このゲーム屈指のお笑いポイント。フェロモンホウシュツチュウて。
立ち絵のないキャラがやたら出しゃばってくるルート。有紀寧の兄の友達も少年も、モブの癖にやたら目立っていました。
と言っても突き詰めれば彼らも有紀寧というキャラクターを引き立てる為のエキストラでしかなかったので、立ち絵がないことは自然でしょうか。
ちなみにこのルートはアニメの方が評価が高いらしいです。どういう違いがあるのか詳しくは知りませんが、こういった立ち絵のないキャラ達がわんさか出てくるルートなので、映像作品の方が映えそうだとは思いました。
ずっと兄の背中を追い続けていた有紀寧は、自分を慕ってくれている男達に囲まれながらも、恋愛とは無縁の生活を送っていました。
自然に兄と面影を重ねてしまった朋也とは、距離が最も近いようで最も遠かったです。朋也自身は彼女に惹かれて資料室に足を運んでいくものの、最後まで彼女を落とすことは叶いませんでした。
ギャルゲーなのにも関わらず、主人公が片思いのまま終わってしまうとは。同じ高校の女学生という括りの中では、唯一朋也が攻略できなかったヒロインとなるのでしょうか。
そんな消化不良のまま終わってしまったルートではありましたが、こういうルートがひとつはあってもいいかなと思いました。
言及されていた通り「有紀寧を落とすのは難しい」とのことなので、この結末となったことが宮沢有紀寧らしさというか。
7位 幸村ルート
バッドエンドかよって思うぐらい短かったけど、なんだか感動してしまうルート。
実際3on3の敗北から分岐する話なので、限りなくバッドエンドに近いルートだと思います。おそらく。
幸村というキャラクターは、最初見た時は「このキャラ立ち絵要るのか?」という印象しかありませんでしたが、蓋を開けてみれば朋也や春原にとって非常に重要な人物でしたね。
立ち絵のあるキャラの中では最も歳を食っている人であり、最終的には仕事を終えて「退任」する場面まで描かれるのですから、そういう意味では一番「人生」を体現していたキャラだったと言っても過言ではありません。やはりおじいさんキャラはいい。
幸村は朋也や春原にしばしばこき使われており、便利キャラとして扱われているという印象が強かったです。良い人すぎるだろと思っていました。
しかし幸村は決してボケて何も考えていなかったわけではなく、朋也や春原のことを「退任前の最後の教え子」として可愛がっていたことが判明しました。
幸村のことを知った朋也と春原は、卒業式の日に幸村の前で「ありがとうございました!」と礼を言いました。校内屈指の問題児二人が、教師に頭を下げた瞬間。あらゆるルートで駆り出されていた幸村ですが、このルートでは彼の想いが教え子二人に伝わったのだと思い、感動しました。
そういえば3on3のイベントで芳野を仲間に引き入れた時に、芳野が「俺はあの人には逆らえないからな」と言っていましたが、あれって幸村のことだったりしたのでしょうか。
芳野も高校生時代は悪ガキだったらしいので、生活指導の幸村のお世話になっている可能性は高いです。この辺りは外伝作品で語られてそうな内容ですが……。
6位 美佐枝ルート
決して叶うはずのない恋が叶ってしまった話。なんとも切ないルートでした。
美佐枝ルートは動物がメインになるという話は、他の人から事前に聞いていたので知ってました。僕は動物(特に猫)が好きなので、このルートは人と動物の家族愛が描かれる俺得なルートになるのかと思っていましたが、いい意味で期待を裏切られました。
このルートに出てくる猫には、人間臭さをとても感じさせられました。
回想で出てきた少年は、元々は「志摩くんに飼われていた猫」、という解釈が正しいでしょうか。
志摩だと思われていた人物が実は志摩じゃなかったという展開は、全く予想できませんでした。個別ルートの中にもたまにファンタジー要素を混ぜてくるから油断できないですね……。
それにしても美佐枝の友達のサキとユキがいい人すぎました。美佐枝が落ち込んでいる時はめちゃくちゃ見当違いなことを入れ知恵していた割には、最後の最後で鋭すぎて。少年に最後に告げたことは、友情の在り方として的確過ぎたと思いました。
最終的なオチは「なんか不思議な力が起きて猫が人の姿になる」というベタ(?)なのを予想していましたが、そこは現実主義でした。
猫が人の姿になることもなければ、猫と人が会話する手段なんてあるはずがなく。美佐枝は自分が飼っている猫の正体を知らないまま、ずっと想い人を待ち続けていました。
しかし、「ずっとそばにいてください」という二人が交わした約束は、確かに叶っていたのだと思いました。
また、智代ルートでは創立者祭において、美佐枝と猫が教室内で遊んでいる姿を見ることができます。その際に台詞からは推測できないものの、CGの美佐枝の目に涙が浮かんでいる辺り、もしかしたら真実が伝わったのかな……? とも考えられました。
このルートもアニメの方が評価が高いらしいです。果たしてどのような内容になっているのでしょう。
「実は近くにいる存在をずっと待ち続けている恋」というのもロマンチックで良かったですけど、プレイし終えた後で二人には幸せになって欲しいという気持ちはやっぱりあったので、その辺りの結末が変わっていたら面白そうだと思いました。
5位 春原ルート
早苗さんや妹を交えて、なんやかんや画策していた朋也と春原でしたが、一周回って結局二人がいつものように仲良く「馬鹿やってた」話ということに行き着いた感じがありました。
春原は最初は妹にカッコイイ所を見せる為の計画としか考えていなかったものの、いつの間にか本当に早苗さんにお熱に。
朋也はさっさと早苗さんが人妻だってことを教えてやれとも思いましたが、言って解決するような問題でもなかったので、あえて放置してたのでしょうかね。
早苗さんが子供達を助けた時に一人だけ文句を垂れていた時は、いくらなんでもどうしようもなさすぎる奴だなと思いました。恋は盲目というやつでしょうか。
この時の春原は、もしかしたら妹を安心させたいから「嘘」を「本当」にしたかったという気持ちもあったのかもしれませんね。まあ、流石に自分の野望の為に突き進んでいたようにしか見えませんでしたが……。
一方、朋也はというと、そんな春原の目を覚まさす為に芽衣と計画を練っていました。
夜に春原と対峙した時の行動は名演技でしたね。それも自分を悪役へと仕立て上げることで、春原を怒らすのが目的だったということでしたが、残念ながら春原は動かず。
僕もプレイしていた時は、春原ヘタレすぎるだろと思ってしまった場面でした。しかし、これは決して春原がヘタレだったからというわけではなく、偏に春原が朋也のことを親友として認めていたから、だったのでした。
……ということで、蓋を開けてみれば二人とも空回りしていただけ、だったんですよね。
春原は早苗さんのことにばかり集中していたせいで、周りが見えなくて。朋也も自分を悪役へと仕立て上げた時点で、間違っていたということがわかっていなくて。やっぱり二人とも馬鹿なのでした。
二人は殴り合って。お互いの顔を見て。笑い合いました。初めて会った時のように。

やや大袈裟になってしまったものの、朋也と春原にとってはこれは「馬鹿やる」の延長線上に過ぎない過去として、笑って流された。やっぱりこれが二人の関係なんだな、と思いました。
プレイ前は「春原が大活躍してギャップ萌えで感動させてくるルート」なのかと思ってましたが、いい意味で期待を裏切られました。
4位 渚ルート
渚ルートはアフターストーリーの前日譚とも言うべきルートですね。
ちなみにこのルートの途中でOPが流れてくれるのですが、渚ルートをプレイするのは一番最後にしてしまったので、流れるの遅っ!と思ってしまいました。
ちなみに3on3のイベントはパターンがたくさんあるということを知ったので、色々なキャラと組んで遊んでました。
芳野とかオッサンとかと一緒にバスケできるのずるいですね。一応二人とも勝手に助っ人として来たとはいえ。
どのキャラと組んでも勝つことができるわけではなく、組むキャラによっては選択の余地もなしに強制的に失敗してしまうので、面白かったです。
勝利→杏、智代、美佐枝、秋生、芳野
敗北→渚、椋、風子、有紀寧
勝利パターンは見事に校内最強の生徒二人+大人三人が固まっているので、必然とも言える分かれ方でしょうか。
ルートとしての見所といえば……共通ルート内ではありますが、朋也が渚を後ろから抱きしめる場面。
朋也は渚をずっと支えてやりたかったことに気付いて。渚は朋也と一緒に頑張り合うことを誓いました。アフターストーリーまでも続いていく二人の長い関係の、ターニングポイントとも言うべき場面です。
アフターストーリーが終わった後で見直してみると、考えさせられるものがあって泣かされますね。
もう一つの見所といえばやはり、創立者祭の演劇において、オッサンが渚に向かって叫ぶ場面でしょう。

なんかもう全部が名言ですね。
オッサンが初めて父親としての姿を見せ、自分と早苗さんの想いをぶちまけ、家族の在り方を説くという熱さには涙が出ました。
演劇は無事終わったものの、渚が急に熱を出して倒れてしまい、留年が決定してしまう。
渚のこの持病のような長い熱は、何か秘密があるのかなと思ってました。アフターストーリーを終えた後でも明言されることはありませんでしたが、ある程度推測することはできるようになりましたね。
オチが弱い(アフターストーリーが本番だから仕方ないけど解決してないことが多かった)為に単体としての完成度を見た場合の順位は下がってしまいましたが、岡崎朋也・少年編とも言うべき大切なシナリオだったと思います。

アフターストーリーへ続く!
3位 風子ルート
一番最初にプレイして、一番泣けたルート。
ただ風子というキャラが気に入ったという理由のみで最初に進めたのですが、プレイを後回しにしていたら更に他のキャラに感情移入ができたと思うので、もしかしたらもっと感動できてたかもしれません。
そういう意味で少し後悔はしていますが、アニメも最初は風子ルートから始まったらしいので、どうせあまり関係ないでしょう……。
共通ルートでたまに話題に上っていた幽霊の正体は、最初は有紀寧だと思っていましたが、まさか風子だったとは。
というかヒロインの一人が幽霊だったというのもかなり衝撃です。個別ルートの初っ端からいきなりファンタジー要素をぶん投げられるとは思わず面食らいました。
泣けるポイントが数多くあり、全力で泣かせに来てるルートやんけ!とか勝手に被害妄想してました。
このような「別れ」を描いたエピソードというのは否が応にも涙を誘われてしまうというのはありますが、風子ルートはその「別れ」の部分をおざなりにすることなく、少しずつ丁寧に描写してきたので、涙ボロボロでした。
春原、オッサン、早苗さん、渚が順番に風子のことを認識できなくなっていき、誰もがやり場のない気持ちを抱え込んでいた様子は、とても悲しかったです。完成度高すぎる。
泣かされた場面はたくさんあったものの、一番のピークはやはり、ラストの結婚式の場面でした。
校門でたくさんの生徒が出迎えていたのを見た時は、風子の頑張りが実ったのだと感じて涙が出ました。
生徒から嫌われてしまうどころか、認識すらされなくなってしまった風子。彼女の努力は確かに形としては報われたのですが、報われた時には彼女の存在は既に……。

朋也が伊吹先生に自分の感情を告白する場面は、一番泣けました。
たった一人で頑張っていた奴がいたんだと。自分はたぶんそいつのことが好きだったのだと。
悪戯したりヘンな人扱いされたりして罵り合いながらも、朋也は風子のことを認めていたし、好意を持っていた。その感情にようやく気付いたというのに、気付いた時には名前が出てこなかったというのが悲しすぎました。
とにかく個別ルートの中で一番泣けるのは風子ルートというのは間違いないと思いました。人によってはアフターストーリーよりも泣けるとか。
二周目にやると見方が変わるルートだと思うので、もう一度やり直してみたいルートという意味では一番です。
2位 藤林ルート
運命が紡いだ残酷な恋物語。
そうこうしても「女の子の自分への好意」を無下にしてしまう話ですから、人によっては胸糞悪いシナリオになってしまいそうだと思いましたが、自分は好きなルートでした。
朋也が藤林妹と付き合い始めるものの、途中で本当は藤林姉の方が好きだということに気付いて、最終的に藤林妹とは別れて藤林姉とくっつきました。というのがあらすじ。
これだけなら朋也一体何がしたいんだよと思ってしまうような話ですが、藤林ルートでは三人のそれぞれの苦悩や後悔が人間臭く描かれており、とても味のあるルートだと思いました。

杏の「…ごめんなさい…あたし…あんたのことが好き…」という台詞が悲しかった。このゲームでもトップクラスに好きな台詞のひとつです。
杏が朋也と椋をくっつけちゃおう大作戦をしたのは、ここまで苦しい気持ちになるなんてことを知らなかったから。
朋也が杏に引っ張られるがままに椋との交際を決めたのは、自分が本当は杏のことを好きだったということをまだわかっていなかったから。
朋也も杏も、自分達が相手を「好き」という気持ちがどれだけ大きかったのかということに、気付いてなかったんですね。だから過ちを犯してしまいました。
このルートへの評価として、誰かがクズだとか行動がおかしいとか言われていることが多いと思いますが、個人的にはこの話に極悪人は誰もいなかったと思います。言うなれば三人等しく悪いです。
智代ルートと同じく、過ちに過ちが積み重なって起こってしまったような状況だったので、言いようのない歯がゆさはあったと思いますが、これも恋愛の難しさを表していたのかなと思います。
言ってしまえば朋也と椋が付き合うという過程があったからこそ、二人は自分達の気持ちに気付くことができたのですから。失って初めて大切なものに気付いた、という状態に近かったと思います。
元々は杏が朋也と椋のキューピットとなっていたのに、いつの間にか椋が朋也と杏のキューピットと化していましたね。
この藤林ルート内に限れば、椋が一番好きなキャラでした。椋は……とにかく一途で優しかった。
自分の人格を捨ててまで姉に近づこうとし、姉の代わりになろうとしていた時は、お前本当にそれでいいのかと思いました。これも朋也と交際を続けていたかったからこそ、やっていたことだったのでしょう。
最後に彼女が姉の背中を押す為に提案したことだって、朋也のことを想っていたからこそできた選択だったと感じました。
自分をフった朋也に対して、ちゃんと「許したくない」と言ったことも良かったですね。その後に続いた言葉にも、彼女の一途さと優しさが表れていました。
1位 ことみルート
藤林ルートと迷いましたが、やっぱり考えれば考えるほどことみルートより面白いルートなんてないと思わされました。
もちろん人にもよると思いますが、彼女のルートは頭一つ抜けていたと感じました。
最後の方にプレイしたルートだっただけあり、朋也の過去が急に明らかにされるのには驚きました。
明らかになると言っても語られるのはごく一部のみでしたが、この手のゲームの主人公の過去には大事な秘密が隠されているのかな、と考えていたので。
朋也が実はことみと昔知り合っていたというのは、このルートへ進まないと判明しないことでしたね。ことみもこのルートへ進まないとほぼ出会うことのないヒロインですし、もっぱら彼女用の設定だったという感じがしました。
過去の出来事と現在の出来事が幾度もリンクしていく、一ノ瀬ことみという女の子の「人生」を描いた、個別ルート屈指の完成度を誇るエピソードでした。
朋也の意識は過去と現在を何回も行き来していましたね。一体朋也が感じている違和感はなんなのか。ことみの身には一体何があったのか。読み解いていくのが楽しかったです。
伏線もどのルートよりも多かったですね。僕は伏線っぽいと感じた描写はメモをしながらプレイしているのですが、ことみルートの欄が一番書き込み量が多くなりました。
朋也がことみと本当の意味で再会する場面も良かったですが、ことみの誕生日で明らかになる真実が一番感動しました。
両親の形見のスーツケースを開けて出てきたのは、くまのぬいぐるみ。ことみの希望した誕生日プレゼントが数年の時間旅行を経て届けられたのだと思うと、涙が出ました。
両親がことみに宛てた手紙が「最高の論文」というのもいい言葉でしたね。故人の手紙なんて存在しているだけで絶対泣いてしまう。

CLANNADの大きなテーマとして「家族愛」があると思いますが、このルートは家族愛の他にも「友情」を強く感じさせられました。
ことみは「いっぱい友達を作りなさい」と書かれた父からの手紙を受け取りましたが……その手紙を読んだ時、彼女の周りはどうなっていたでしょうか?
彼女は自分を好いてくれる人に、自分を支えてくれる人に、恵まれていたのでした。
幼少時代に深い傷を負ってしまった女の子が、こうしてたくさんの幸せを手に入れることができた。とってもとっても素敵なエピソードでした。
全ての個別ルートを終えた時に開かれる、最後の扉。
ストーリーは渚ルートの続きから開始しました。
早苗編
早苗さんの背中を押してあげるオッサンはやはりかっこよかったです。
普段おちゃらけているようなキャラが、決める時は決めてくれる感じのかっこよさ。最初から早苗さんの気持ちを最もわかっていた人物は、他でもなく一番近くにいた彼だったんですね。
終始周囲の人物への優しさしか見せていなかった完璧人間の早苗さんが、初めてワガママを言う場面。
それでもそのワガママを皆が受け入れていた辺り、この人は周りから本当に愛されているのだと感じて、涙が出ました。
芳野編
草野球シナリオのように身近な人物を集めて即興バンドグループを結成する話かと思いきや、芳野さんが全てを担当することになりました。
素人ができることではないので仕方ないですね。朋也も「漫画だとこういうとき身近なところに強力な助っ人がいる」とか言ってメタ発言をしていた。オッサンが勝手に引っ張られて行ったのは笑いました。
芳野が音楽を諦めていないという事実が、昔朋也と春原でふざけていた時に発覚していたというのが良かったですね。
アニメ1話で貼られた伏線が30話ぐらい後で回収されたような気持ちに。
厳密にはここのエピソードではないですけど、朋也がやっと一人前の仕事人として認められたと思ったら、実は芳野にケツを拭われていたという描写にはリアリティがありました。
アフターストーリーの他のエピソードもそうなのですが、今まで朋也の手助けしかほぼしてなかった大人達を、ここでは逆に幸せにさせてあげられるというのは面白かったです。
光が出る=幸せを感じたということですから、朋也も与えられるままに留まらず、ようやく恩返しをすることができたということなのでしょうか。
秋生編
厳密には汐編を見た後でないと見ることができない話。……のはず。早苗編や芳野編と違って、ひとつのルート内に組み込まれるのではなく、エンディングのひとつとして枝分かれしていました。
ルートのひとつと聞いていた割にはめちゃくちゃ短くて、しかも汐編をプレイした後だったことも手伝って、「え!?これで終わりなの!?」感が拭えなかったです。
が……短いながらも古河秋生という人物のことがとてもよく描かれていた、大事なエピソードだったと感じました。このルートをやらずしてオッサンのことを語るべからず。(当たり前)
あの悩みなんてほとんどなさそうなオッサンから光をもらえるなんて、不思議でしたね。
これは最初の朋也と渚による計らいと、最後の早苗さんの「どこにも行かないでください」という言葉から、生まれたのでしょうか。暖かい家族愛を見せつけられました。
同棲編
ここまでのシナリオは個別ルートを含めて全て茶番であるという声もあるぐらい、CLANNADの根幹をなしているシナリオが、同棲編と汐編です。いや個別ルートもいい話ばかりだったので決して茶番だとは思っていませんが……そう言われてしまうぐらいこのゲームにおいて重要なウエイトを占めているエピソードというのは、プレイしてみて間違いないと思いました。
交際、同棲、結婚、妊娠、出産……と、徐々に段階を踏んでいく朋也と渚を見て、ようやく「CLANNADは人生」という言葉の真の意味に本当に気付きました。CLANNADはホントに人生だった。
朋也の父親である直幸は、どんどん堕落していきました。
渚ルートで朋也が家出を決めた時に朋也のことを話し相手としか見ていなかったこと、アフターストーリーで怪しい人物と交流していたのが発覚したこと、そしてついには逮捕されるまでに及んで息子の顔に泥を塗ってしまったことから、ロクでもない父親だったということは徐々に実感できるようになってましたね。
序盤の段階では「朋也のことを息子として扱っていない」と言われてもパッとしなかったです。渚と一緒で「実は本当はいい人で、朋也が誤解しているだけ」なのかとも予想していましたが、やはり本当にどうしようもない親だったのだと思わされました。
面会に来てくれた息子に対して無言だったのが、一番酷かったです。この時は直幸の心もどん底まで堕ちていたのでしょうね。
朋也がオッサンとの勝負に勝った瞬間、オッサンに向かって土下座しにいく場面は熱かったです。本当に渚のことを大切にしているんだな、と思わされました。
その後のオッサンと早苗さんのやり取りも、親らしさを感じさせられて良かったです。やはりこの人達には頭が上がらない。
オッサンと二人で渚のファミレスに潜入するパートがこのゲームで一番笑いました。グラサンかけて変装とか言い出すとこから既に面白過ぎた。
この人達いい歳した大人なのに、なんでこんなに楽しそうなんだ……。いい意味で頭がおかしすぎました。
そして妊娠・予期せぬ高熱を経て迎えた、渚の出産。ここが一番つらいシーンでした。
ここは好きなシーンかと言われたら、間違いなくCLANNADで一番好きなシーンにはなるのだと思いますが、それにしても好きなんて言うことすら冒涜になってしまうと感じてしまうぐらいつらすぎて。悲しすぎて涙も出なかった。
ネタバレを全く見ないでプレイしていたので、出産の結果がどうなるかは全くわからなかったです。
もしかして喜びから悪夢へ転落するような結末が待っているのかな……とは薄々感じていましたが……いや本当にこれは悲しすぎて……。


この辺りのテキストを見てから背筋が凍りました。読み進めていけば読み進めていくほど疑いは濃くなっていったので……。ちなみに一周目しか読むことのできないテキストのようです。
ここの文章で朋也が自分の殻に閉じこもってしまってことが明白になったと思いました。必死で渚に話しかけていく姿が悲しすぎました。
最初に出会った時に流れた彼女のメインテーマである「渚」が、この最期で流れるというのも域な真似をしてくれたものだなと思いました。
「渚」が流れてしんみりした気持ちのまま読み進めていき、いつもならこの辺で曲がループすると思ったら……まさかの別バージョンの曲でした。
このシーン専用に作られた曲、「渚~坂の下の別れ」。曲も曲名もずるすぎました。
汐編
汐との旅の果てで待っていたのは、朋也の父親である直幸の母親でした。
祖母の口から聞かされる、直幸の苦悩と息子への想い。
泣いていいのはパパの胸の中と言って、朋也の胸へ飛び込む汐。
渚の思い出を汐へ語り出す朋也。
ゲームではなくアニメの話となってしまいますが、そのシーンを切り取った動画がyoutubeにあったので、貼らせていただきたいと思います。
youtubeで「CLANNAD」と検索した時に、かなり上の方でヒットする動画。CLANNADで最も人気のあるシーンどころか、全アニメ屈指の泣ける場面と言われているとか言われていないとか。
僕もCLANNADで一番泣いたシーンでした。CLANNADには個別ルートを含めて様々な場面で何度も泣かされてきましたし、総じて泣かされた回数は全ゲームでも一番多かったと思いますが、それでもここがこのゲームで最も感動させられた場面だったと思います。めちゃくちゃ泣きました。
「泣いていいのはパパの胸の中」と言った汐を朋也が抱き締める場面も、朋也が父親の気持ちを理解した今だからこそ父親の顔になれたのだと思って、感動できました。
が……やっぱり一番泣けたのは、朋也が汐に渚の思い出を語る場面。
朋也はずっと渚の死を受け入れることができていなくて。こうして自分の娘に渚への想いを打ち明けたことで、ようやく実感することができたのですね……。
アニメのこの場面も素晴らしかったですね。渚の名前を呟きながら涙を流す朋也も、フラッシュバックのように流れる回想も、「やっと見つけたんだ」というモノローグのかけどころも。
ゲームをクリアした後にこの動画を見たのですが、原作をプレイした時よりも泣かされたと思います……。アニメもいつか見なきゃなぁ。
渚が死ぬ場面では泣かなかったのに、ここで一番涙が出てしまうというのは、奇しくも朋也と同じでしたね。プレイヤー自身も渚の死を受け入れられてなかったか……。
そしてCLANNADのもうひとつの山場と言われている、父親・直幸との和解。
ここもめちゃくちゃ泣けました。直幸がロクでもない人間だったことは事実ですが、朋也にとっては直幸は確かに誇りに思える父親なのでした。
朋也と直幸が交わした言葉はとても少なく、「和解」というにはさっぱりとしていました。
しかし、朋也は直幸のことを父親としては立派だったと思っていて、直幸が朋也に対しての呼び方が呼び捨てに変わっていて。ずっとお互いに距離を置き続けていた二人が、ようやくお互いの存在を親子として認め合えたことは確かなのでした。
直幸を見送った後に、「あの人は幸せだったのだろうか」と朋也は呟きます。それは朋也の手に吸い込まれていった光が答えになっていたのだと感じました。
幼稚園で働いている杏の姿を見て、時間の流れを実感しました。
これから汐が立派に成長するまで、朋也は汐と共に歩み続ける。そう思っていたのですが……。朋也を襲ったのは残酷な運命でした。
汐が高熱を出し、雪の中で朋也に抱きしめられるシーン。
この辺りが「これからどうなっちゃうんだ!?」と最も強く思わされました。
ここでなんか不思議な力が起きて、渚と同じように汐が救われるのか?と思っていましたが、待っていたのは予想外の展開でした。
いきなり幻想世界に飛び、語られたのは「大切な人を助ける為にもう一度やり直す」という計画。
朋也は何度もループを繰り返して、光を集めていたのですね。ただ大切な人を――渚を救う為に。
そして、旅立つ「僕」に対して放たれた、「少女」からの言葉は……。
最初と最後が繋がったような感覚でした。
トゥルーエンド
「幻想世界」というこのゲームを始めた頃から綿密に貼られていた伏線が、ついに解き明かされました。これが、この物語の本当の意味……。
朋也と汐が幻想世界へと発現した理由など、説明されていない部分も多かったので初見はわからないところもありましたが、その辺りは自分なりに調べて他の人の考察を読んだりして補完しました。
序盤から登場していた「だんご大家族」というキャラクターが、まさかこの物語の全てのメタファーとなっていたとは。知れば知るほど深いゲームだと感じました。
一度「別れ」の悲しみを突きつけられた後に見せられる、全てが報われた「ハッピーエンド」。
他のkey作品でもあったのですが、やっぱり感動させられます。

ずっと残酷な道を歩んできていた、朋也も、渚も、汐も。ようやく幸せになれたのだと。本当に良かった……。
総括の前に、最後までプレイして好きになったキャラクターや音楽の、結論をまとめていきます。
キャラクター
みんな魅力的なキャラクター達で、CLANNADの世界を彩っていました。10位から順に簡潔にキャラ感を書いていきたいと思います。
個別ルートの感想を書く前に書いてしまったキャラもいるので、内容がかなり被っているところもあるかもしれません……。
10.春原陽平
ヒロインではないですし、アフターストーリーでも出番はほぼありませんが、この作品には欠かせないキャラでしたね。
「それと便座カバー」って随分前からネットスラングで使われていたのを覚えていますが、まさか彼が元ネタだったとは……。
春原にはとにかく笑いを届けられました。朋也、杏、智代から蔑ろにされまくってる姿は日常風景。
でも智代に蹴られまくってるのは可哀想すぎて笑えなかった。コンボってなんですかね……。
おまじないを試そうとして失敗するなど、何かを目論もうとするものの全く上手く行かずに玉砕するような場面が好きでした。彼らしさを表している気がして面白かったです。
普段は徹底的ないじられキャラとして君臨していますが、決める時は決めてくれるのも春原のかっこよさでした。
個人的に一番かっこよかったのは、杏ルートの彼でした。正直鋭すぎて別キャラかよって感じでしたが。朋也や杏と過ごしていた時間が長かったからこそ、彼らの背中を押すようなことを言い当てられたのかなと思いました。
9.宮沢有紀寧
不思議なキャラクターでした。と言うほかないです。
智代達と比較すると流石に出番は少なめでしたが、一応3on3の試合に誘うことはできたりしたので、他のルートでもほんの少しだけ出番は見られました。
朋也や春原を含めた、不良達に好かれてしまうのもわかってしまうぐらい可愛いキャラだった。
同じ高校の女学生という括りの中では、唯一朋也が攻略できなかったヒロインとなるのでしょうか。
朋也とは距離が最も近いようで最も遠いという。ギャルゲーなのにも関わらず、主人公が片思いのまま終わってしまいました。
ずっと兄の背中を追い続けていた為に、恋愛とは疎遠でした。そういう意味ではやはり不思議なキャラだったと感じました。
8.古河早苗
とにかくいい人だった。いい人すぎて意味わからなかったです。
朋也が渚と力を合わせて生きていくと行った後も、渚と死別して汐を男手一人で育てていくと決めた後も、変わらず彼をサポートしてくれたお義母さんでした。
朋也は彼女には一生頭が上がらないと感じました。
早苗編の感想のところでも書きましたが、朋也だけでなく周囲の人物みんなから好かれているような人でした。
その理由は、高校生の娘を持つ母親には到底見えない若さにもあると思いますが……一番の理由はやはり、人が良すぎる性格。春原ルートでも見ず知らずのいじめっ子を諭す勇気を見せていましたし、春原には勿体無さ過ぎる人と言われるのもわかります。
7.一ノ瀬ことみ
クセの強いキャラが多いCLANNADですが、その中でもトップクラスにヘンな人なのがことみでした。
しかし、そうは言っても彼女は恥ずかしがったり泣いたりすることは普通にありました。朋也の言う通り、ことみはちょっと変わったところはあるけど普通の女の子なのでした。
最初はこういう変な性格のヒロインってあんまり好感が持てないと思いますが、ルートが終わった後ではそんな性格にも愛おしさを感じられるようになりますよね。
彼女の場合はとにかくルートが良すぎたので、特にそう思いました。朋也を始めとした周りのみんなに優しくされて、本当の意味で幸せになれたのが素晴らし過ぎました。
6.春原芽衣
正直可愛いからとしか言えないんですけど、その理由だけだと色んな意味で問題がありそうなので、詳しく書いていきたいと思います。
CLANNADで立ち絵のある登場人物の中では汐を除いて最年少の芽衣でしたが、あの春原陽平の妹でありながらも、とても落ち着いた女の子でした。最初春原の妹というだけで、朋也が人間扱いしていないのは面白かった。
馬鹿やってる兄に対しては呆れた表情を見せながらも、お兄ちゃん想いの子でしたね。ずっと良い所なしの春原を突き放すのではなく、彼を信じ続けたというのはすごかったと思います。
学校を休むのは序の口であり、大袈裟な演技をしたり朋也と共に計画を練るなど、春原の為に色々なことをやろうとしていました。
サッカー部に単身で乗り込んでいったことだって、彼が助けてくれると信じていたからです。本当に兄のことが大好きな子だったんだな、と感じました。
春原ルートの春原は何度も何度も空回りをしながらも、最後の最後はちゃんと妹の為に良い所が見せられたので、彼女も報われたのだと思いました。
5.藤林椋
最初は自分の中では好きなヒロインランキング最下位になるかもしれないというぐらい印象が薄かったキャラだったのですが、杏ルートをプレイした後では見方が変わりました。こんな内気なキャラを好きになることは絶対ないと思っていた……。
自分が朋也に愛されてないことにも、彼の目に映っているのは自分の姉だということにも、ずっと気付いていたのにも関わらず、どうしてここまで朋也に対して一途になれるのでしょうか。
料理の練習をし始めたことも、内気な性格を変えようと努力したことも。全ては朋也の為であり、朋也の理想の女性である自分の姉に近づく為でした。
自己を捨ててまで朋也に想いを寄せ続けていた椋が好きだったので、個人的に勝平ルートの椋はあまり好きではないのですが……。
まあ、自分を愛してくれた人をあそこまで愛し返すことができるという優しさも、彼女の良さのひとつだったのだと思っておきます。
4.伊吹風子
風子は共通ルートをプレイ中に、最初に気に入ったキャラクターでした。
彼女のルートに分岐した後では流石に主人公を蔑ろにするような言動が多すぎて、なんだコイツは!と感じていましたが。まあ、朋也も朋也で風子に対して悪戯をしまくってクラスチェンジとかしていたので、おあいこでした。
ルートをやった後では更に好感を持てるようになりました。不器用ながらも彼女は本当に頑張っていたのだと。
こういう変な性格のヒロインって最初はあんまり好感が持てないと思いますが、ルートが終わった後ではそんな性格にも愛おしさを感じられるようになりますよね(2回目)
アフターストーリーでは彼女の言動が余計に笑えるようになったので、そう実感しました。こんだけ子供っぽい性格している癖に「懐柔」とか「傷モノ」みたいな言葉を使っているのが笑う。
3.藤林杏

杏はヒロインの中では最も主人公と距離感の近いキャラだったように感じました。
朋也との漫才がいちいち面白かったです。「あんたお新香以外食べちゃダメ」が一番笑いました。
朋也と杏の腐れ縁で結ばれたような関係も好きでしたが、そんな二人がずっと前から抱えていた気持ちに初めて気付くことができた、杏ルートの展開が一番好きでした。
「くっつけちゃおう大作戦」を実行してた時の杏の気持ちを考えると切なく感じます。大雨の中で朋也に告白した時の「ごめんなさい」という言葉には、色々な意味が含まれていたのだと思いました。
乱暴な言動が終始目立っていた彼女でしたが、乙女な一面もありましたね。嘘を誤魔化すのが下手だったり恥ずかしがったりしてるところは、普段暴力を振るっている彼女とはギャップがありました。
椋のことがあるからか、それともただの恥ずかしがり屋だからなのかわかりませんが、普段は朋也への恋愛感情は封印している杏。そんな彼女ですが、有紀寧ルートへ分岐する途中で見ることのできる体育倉庫での「おまじない」の場面は必見です。
他にもアニメではアニオリの描写によってかなりキャラを立てられている人物の一人らしいので、機会があったら見てみたいなぁと考えています……。
2.古河渚

古河渚は最高のメインヒロインでした。
CLANNADにおいて朋也は、あらゆるルートで様々なヒロインと関係を築いてきました。しかしアフターストーリーをやった後では、やはり朋也の「大切な人」となり得るのは、渚しかありえないのだと思いました。
最初に出会った時から風子の次に好きなヒロインだったのですが、他の様々なルートで見ることのできる彼女の一面や、渚ルートやアフターストーリーでの彼女の姿を見た後では、ヒロインの中では一番お気に入りのキャラクターになりました。
メインテーマの「渚」が良いというのも好きな理由のひとつです。彼女の名前がそのまま使われたテーマ曲でありながらも、CLANNADを代表する曲ですよね。
高校の同級生としての渚は、とてもか弱い存在でした。「可愛い」とか「支えてあげたい」とかここまで思わされるキャラもいないです。朋也の気持ちもわかる。
アフターストーリーでは一転して、朋也の最高のパートナーとも言うべき女の子に成長したと思います。絶対に泣かないと誓い、時には朋也に意見をしながらも、彼女らは共に支え合って生きていきました。
一番感情移入していたヒロインが渚だっただけあって、「坂の下の別れ」の場面は胸に刺さりました。あの光の中で渚が立っているCGが今でも思い起こされます。
トゥルーエンドで彼女が死なない歴史が生まれたのは、本当に良かった。朋也と一緒に幸せになってくれて良かった。
1.古河秋生

大切な人の父親は、誰よりも自分に似ている人で、誰よりも強い人だった。
オッサンといえば渚ルートとアフターストーリーでのかっこよさが目立つキャラですが、自分は渚ルートに入る前から1,2を争うぐらい好きなキャラでした。
というのも理由はただ一つで、なんかもう面白すぎたからです。CLANNADは自分が今までプレイしていて一番泣かされたシーンであると同時に、一番笑わされたゲームでもあるのですが、後者の原因の8割ぐらいはこいつのせいでした。俺は大好きだぁぁぁぁぁぁ!
朋也と春原の関係は、春原が一方的に弄られているせいでイジメに見えてしまうことが多かったです。しかし朋也とオッサンはどっちも罵り合っているような馬鹿げたやり取りを終始繰り返しているので、見てくれではこちらの方が悪友同士に近いまであるのではないかと感じました。
そんなアホアホ一家の大黒柱であるオッサンでしたが、やはりファンが惹かれるところといえば、その面白さとかっこよさのギャップにあります。
彼が最初に輝くのは渚ルートの終盤の演劇。上辺ではなく、最高の父親らしさを見せてくれました。一度自分の夢を追うのをやめ、渚を一人にさせてしまったことを後悔した彼だからこそ、言葉には重みがありました。
その後のアフターストーリーでも彼の活躍は止まらず、時には朋也と対決しながらも、朋也をしっかりサポートしてくれる良きお義父さんでした。
作中でも朋也から言及されていましたが、「普段はふざけているけどマジメに物事を考えている」のが古河秋生でした。そういうのってありきたりなキャラな気がしますけど、オッサンの場合は基本的には朋也に任せながらも、要所要所で的確なアドバイスをくれて朋也を後ろから支えてくれていたのが印象強いです。
加えて渚が亡くなった時に怒声をあげる、早苗さんの気持ちを汲んで胸を貸してやれるなど、家族想いなパパであることは伺えました。普段ふざけているけどマジメというよりは、普段憎まれ口ばかり叩いている癖に家族愛はとても深いというのが、彼がここまでかっこよく見えた理由なのかなと思いました。
彼がメインとなる秋生ルート。バスジャック犯である知らない男の為にあそこまで身体を張ったことは、勇気というよりは無謀とも言える行動でした。
一人の男としてはかっこいいことなのですが、父親としてははっきり言って褒められた行動ではなかったと思います。家族達のことを考えると、命を落とすような危険を冒してはいけません。
……尤も彼にとっては、命を落とすという選択肢なんてものが、そもそもなかったのかもしれませんね。危険とか危険じゃないとか以前に、必ず生還することは最初から決まっていた。それも彼の強さの内でした。
なんにせよ、このゲームだと一番面白くてかっこよかったキャラでした。ヒロインを超えて最も好きなキャラクターです。
その枠から突き抜けた言動・行動は家族からも呆れられるもので、やはり彼を繋ぎ止める事ができる人物は誰一人いないのだと、強く感じさせられました。
音楽
1.「渚」&「渚~坂の下の別れ」
2.「遥かな年月」
3.「町,時の流れ,人」
4.「空に光る」
5.「潮鳴り」
6.「願いが叶う場所」
7.「馬鹿ふたり」
好きな曲順に書きました。
ここまでの文章でも何度か書きましたが、やはり「渚」がぶっち切りで一番好きでした。CLANNADをクリアしてからこの曲のヘビーローテーションが止まらないです。というか今も聴いてます。この文章を書きながらも。
最初に渚と邂逅して聴いた時から、この曲に魅せられたというのはありました。この曲は朋也と渚の関係のターニングポイントとも言うべき場面で度々流れ、何度も涙腺を刺激されました。ゲームをクリアした今でも変わらず一番好きな曲となりました。
そうして何度も流れる機会を拝むことができたからこそ、あのシーンで使われた「渚~坂の下の別れ」には心を揺さぶられました。普段のように曲がループするのではなく、まるで渚の命の灯火が消えかかっているのを、表しているかのような。そんな曲でした。
歌でいえば、やはり「小さな手のひら」一択です。歌詞も曲も素晴らしすぎて、トゥルーエンドでこの曲が流れた時は本当に感動しました。
涙腺崩壊曲過ぎるのであまり何度も聴いてはいません。なんだかあのエンディング以外の場面で聴くのが恐れ多いまである。
ということで、CLANNADの感想は以上になります。
CLANNADは元々はいつかは触れてみたい作品だと考えていて、他の人に後押しされてゲームの購入を決めたのですが、全てを見終えた後では「買って良かった」と強く思わされました。
今回はなるべく内容を忘れない為にも、ゲームをクリアしてから早めに書き上げるように努力していました。と言っても正直10000字ぐらいで簡潔に書ければいいやと思っていたので、書いている内にここまで長文になってしまうとは思いませんでした。
CLANNADは僕が今までにプレイしたADVの中では最もテキスト容量が多い作品だと思うので、それも理由のひとつだったと思います。あれも書きたいこれも書きたいとやっている内に、いつの間にか長文に……。
テキスト容量が多すぎるからだれるということはなく、プレイ中は飽きることなくずっと楽しむことができました。むしろ個別ルートを進めている最中で「進めないとクリアできないけどこのまま終わって欲しくない」と思わされたぐらいです。
CLANNADはプレイしていて一番笑ったゲームであり、一番泣かされたゲームでした。そういう意味では最も感情移入をさせられたゲームだったと思います。

もはや有名すぎて一人歩きまでしている「CLANNADは人生」という言葉。
岡崎朋也と古河渚が歩んだ壮大な人生を見た後では、その言葉には確かに偽りはなかったと実感できました。

今回は文字数約22000という微妙に冗長な記事となってしまったので、見づらくなってしまうことを防ぐ為に、目次を用意してみました。当ブログ初の試み。
急いで書いたので誤字が多いかもしれません。気付いたらちまちま直していこうと思います。
目次
・雑感(ネタバレなし)
・感想① サブルート
・感想② 個別ルート
・感想③ AFTER STORY
・好きなキャラクター、音楽
・総括
雑感(ネタバレなし)
クリアまでにかかった時間は計測してないので全然わかりません。根拠とか全くありませんが、体感では50時間ぐらいだったかなと思っています。
プレイ前は「クリアに100時間ぐらいかかるゲーム」という評価を小耳に挟みましたが、僕は攻略サイトをカンニングしながら進めたこと、Vita版はスキップや巻き戻しの操作がとても快適だったことから、言われてるほどは時間がかからなかったです。
それにしたって50時間かかってしまった辺りはボリュームがたっぷりであり、骨太な作品だったと感じました。
プレイ前の印象では、CLANNADは「key最高傑作」との呼び声も高かったので、いつかは触れてみたい作品だと考えていました。
原作も泣きゲーの最高峰として名高いと思いますが、どちらかと言えば原作発売から3年後に放送された、アニメ作品の方が有名なのでしょうか。原作よりアニメの方が有名な作品というのは、とても珍しいと思いました。
僕はアニメのCLANNADはまだ視聴できていないのですが、アニメは4クールの尺をふんだんに使って濃密に描かれており、原作とはまた違った良さのあるひとつの作品として地位を確立しているらしいです。
CLANNADはアニメ・ゲーム共に「泣ける」作品の代名詞と言ってもいいぐらい、高い評価がされてる作品という印象でした。
「CLANNADは人生」という、あまりにも有名な言葉。作品のファンを蔑ろにする意味で用いられることが多いように感じます。
僕はこのゲームをプレイする前は、発言主は「自分の人生に多大な影響を与えた作品」という意味でこのようなフレーズを使っていたのかと思っていました。
しかし、プレイをし終えた後では間違った解釈だったことに気付きました。CLANNADそのものが正に「人生」のゲーム、だったんですね。
主人公を初めとした、登場人物達の壮大な人生を描いた物語、CLANNAD。
ここからはネタバレに大きく踏み込んだ感想になりますので、閲覧にはご注意ください。
感想① サブルート
個別ルートの感想に入る前に、短めのサブルートの感想から。
サブルートは「春原BAD」「草野球」「ジェット斉藤」の3つのルートのことです。勝手に命名しました。
どれもおまけのようなルートであり、そもそも内一つはルートですらないぐらい短いので、簡潔に書いていきたいと思います。
・春原BAD
一体どういう内容になるのか、名前からは想像できませんでした。
とんでもない鬱エンドだったら嫌だなぁと思いつつ進めてみたら……とんでもないネタルートでした。
まさかこんなに頭おかしい展開になってしまうとは。そういえば同じくバッドエンドでホモに走るゲームも、半年ぐらい前にやったっけ……。
唐突に何の説明もなくホモに目覚めてしまう朋也。
朋也の春原に対する言葉の掛け方が変わりまくってて面白かったです。
芽衣の前でイチャつく二人とか見れたら楽しそうだなと思いましたが、その日限りであっさり完結してしまいました。流石に長いこと続いてしまったらそれはそれで問題なので、良かったのですが。
・草野球
実質ファンディスクとも言うべきルート。みんなが楽しそうで何よりです。
欲を言えばことみや有紀寧の活躍も見たかったのですが、残念ながら出番はなし。まあ、野球は9人でやるものなので仕方ないですね。
それにここで集められたメンバーは朋也の言った通り、CLANNADの登場人物から考えられる最強の布陣とも言うべき面子なので、彼女らがハブられてしまうのも無理もなかったです。
肝心の試合中は、ライター絶対野球オタクだろってのがテキストからにじみ出てました。専門用語もそうだけど、実在の選手の名前がちらちら出てくるのが。
最後は結末をあえて描かずにキングクリムゾンするという、スポーツ漫画でたまにありそうなオチとなりました。
・ジェット斉藤
ルートというかイベント。見るのが結構大変でした。
こんなのがトロフィーのひとつになっているとは……。あまり詳しくないのですが、key作品ではお馴染みのネタ?だったらしいですね。
感想② 個別ルート
CLANNADの個別ルートの数はなんと10個。多すぎてびっくりしましたが、その分長いこと楽しむことができたので良かったです。
プレイした順は「風子→春原→藤林→幸村→有紀寧→美佐枝→智代→勝平→ことみ→渚」でした。色々な人に聞いたり調べたりして、「○○ルートの前に○○ルートをやるべき」「○○ルートは最後に回したほうがいい」ということがわかったので、この順番になりました。
恐れ多いですが好きなルートから順に順位をつけました。下から順番に感想を書いていきたいと思います。
10位 勝平ルート
芳野祐介に影響された人物の一人である、柊勝平という男の子の物語。
勝平は最初女と見せかけて男と見せかけて実は女でしたって話になるのかなと思ってましたが、普通に男の子でした。
勝平って他のルートだと全然登場しない上に、アニメでも存在自体が削られてしまったらしいので、とても浮いているキャラですよね。男の娘キャラは一部の層では需要があるということで、急遽後付けで足されたキャラ……なんてことは、いくらなんでもないか。
個人的には勝平のキャラが好きになれなかったこと、春原がただのアホに成り下がっていたこと、椋が何の説明もなく勝平と付き合い始めたことが目に付いて、あまり好きにはなれないルートでした……。
勝平のキャラが好きになれるかどうかは好みの問題ですし、春原がアホに見えたのはただ悪い部分しか描かれなかっただけだから良いとしても、椋が勝平と交際を始める過程はもう少ししっかりして欲しかったと思いました。
あれほど朋也のことを慕っていた椋が、たった一日で他の男との交際をキメてしまうなんて! それもウキウキしながら! どういうことだ!
藤林ルートの椋のキャラが好きだった身としては、どうしても残念だった部分でした。
まあ、「自分が憧れている人」と「自分に対して想いを寄せてくれる人」の二人がいたとして。彼女のような優しい人が選択するのであれば、もちろん後者になってしまいますよね。ですから仕方のないことではありました。
それでも杏ルートの椋の徹底的なまでの愛を見せられた後では、彼女が他の男と何の説明もなく付き合い始めてしまったというのは、違和感が拭えないです……。
これ、もしも自分が勝平ルートと藤林ルートのプレイする順番を逆にしていたら、逆に藤林ルートの方に違和感を抱え込んじゃったのかなぁ。先入観によって評価が左右されてしまうという、わかりやすい例かもしれません。
しかし、柊勝平という一人の人間の人生を描いたエピソードという意味では、CLANNADらしいルートだったと思いました。
「家族」というものを元から持っておらず、自分の「やりたいこと」としてひたすら縋っていた陸上もできなくなってしまった勝平。全てを失ってしまった彼が一人の愛する女性の手によって、最終的に「家族」も「やりたいこと」も改めて手に入れることができたというのは、心が揺さぶられるものがありました。
数年後のエピローグでの勝平と椋は、大変ながらもとても充実した人生を歩んでいたと感じました。
9位 智代ルート
ある意味最もイチャついていたルートではないでしょうか。こいつら何回キスしてるんだよ。
智代はリアルファイトが漫画みたいに強く、後輩なのに朋也達にタメ口を利くということで、とても勝気なキャラだと思っていました。が、実際はどのヒロインよりも人間らしい弱さを持っていたキャラだったと感じました。
朋也と付き合い始めた後では、「冗談でも傷つくからやめて欲しい」など、弱気な態度を幾度も見せていました。表面は強気に取り繕っているというわけではなく、オドオドしたような言動が何度もクローズアップされていたので、とても繊細な性格の持ち主だということが終始伺えるキャラでした。
「今のは女の子らしいと思わないか?」というのは彼女の口癖のような台詞でしたが、こういうことをいちいち気にしちゃったり繊細な心を持ってたりした辺り、智代は無自覚ながらも立派な女の子らしさを持っているのは紛れも無いことだったと思います。
そんな彼女のルートですが……うーん。ちょっと歯がゆいような、胸糞悪さがありましたね。
朋也と智代は愛し合っている。しかし智代の夢を叶えるには二人は一緒にいてはいけない。……という禁断の恋のような状況が、このルートのテーマだったと思います。
まず朋也が「生徒会長と付き合うという事実がゾッとする」と言っていたことですが、他のルートでは教師に反抗したり授業を平気で抜け出したりしてるような朋也に、今更怖いものなんてあったのかなと思ってしまいました。
「智代の足を引っ張りたくない」という事情があったとしても、朋也が学校側から腫れ物扱いされていた理由って、放課後の教室内で見え見えのキスをしている現場を目撃されたり、創立者祭で逢い引きしているのがバレたりしたせいだったので、正直二人が自爆していただけだったようにしか見えなかったんですよね。
生徒会長がどれだけ忙しくても土日が毎週潰れてしまうなんてことはありえないと思いますし、一週間に一度会うだけでいいから交際を続けていくことはできたはずです。いくら付き合っているからと言ってああまで危険を冒してまで、何度もくっつこうとしなければいけない理由はなかったと思いました。
それなのに不注意にも程がある逢い引きを繰り返してはそれを目撃され、自分達はやはり一緒にいてはいけないのだと追い詰められていく二人は……もっと他にやりようがあっただろ!と言いたくなりました。二人の精神的な幼さが描かれていたのだと、肯定的に見ることもできなくもないですが……。
智代が落選してしまうというバッドエンドの展開は、とても自分好みでした。
生徒会長になるという目標を失ってしまった智代が、朋也に依存したまま堕落していってしまう。智代という女の子の弱さを考えると、こうなるのも仕方なかったというような結末でしたね。
幸せなのに幸せじゃないという、不思議な結末でした。これもメリーバッドエンドとかいうやつでしょうか。
8位 有紀寧ルート
ことみルートや勝平ルートが「キャラの人生を描いたルート」ならば、有紀寧ルートは「キャラそのものを描いたルート」なのかと感じました。有紀寧という人物そのものの生き方を見せ付けられた気がします。
攻略過程の共通ルート部分で描かれた、朋也と春原でおまじないを試す場面は、このゲーム屈指のお笑いポイント。フェロモンホウシュツチュウて。
立ち絵のないキャラがやたら出しゃばってくるルート。有紀寧の兄の友達も少年も、モブの癖にやたら目立っていました。
と言っても突き詰めれば彼らも有紀寧というキャラクターを引き立てる為のエキストラでしかなかったので、立ち絵がないことは自然でしょうか。
ちなみにこのルートはアニメの方が評価が高いらしいです。どういう違いがあるのか詳しくは知りませんが、こういった立ち絵のないキャラ達がわんさか出てくるルートなので、映像作品の方が映えそうだとは思いました。
ずっと兄の背中を追い続けていた有紀寧は、自分を慕ってくれている男達に囲まれながらも、恋愛とは無縁の生活を送っていました。
自然に兄と面影を重ねてしまった朋也とは、距離が最も近いようで最も遠かったです。朋也自身は彼女に惹かれて資料室に足を運んでいくものの、最後まで彼女を落とすことは叶いませんでした。
ギャルゲーなのにも関わらず、主人公が片思いのまま終わってしまうとは。同じ高校の女学生という括りの中では、唯一朋也が攻略できなかったヒロインとなるのでしょうか。
そんな消化不良のまま終わってしまったルートではありましたが、こういうルートがひとつはあってもいいかなと思いました。
言及されていた通り「有紀寧を落とすのは難しい」とのことなので、この結末となったことが宮沢有紀寧らしさというか。
7位 幸村ルート
バッドエンドかよって思うぐらい短かったけど、なんだか感動してしまうルート。
実際3on3の敗北から分岐する話なので、限りなくバッドエンドに近いルートだと思います。おそらく。
幸村というキャラクターは、最初見た時は「このキャラ立ち絵要るのか?」という印象しかありませんでしたが、蓋を開けてみれば朋也や春原にとって非常に重要な人物でしたね。
立ち絵のあるキャラの中では最も歳を食っている人であり、最終的には仕事を終えて「退任」する場面まで描かれるのですから、そういう意味では一番「人生」を体現していたキャラだったと言っても過言ではありません。やはりおじいさんキャラはいい。
幸村は朋也や春原にしばしばこき使われており、便利キャラとして扱われているという印象が強かったです。良い人すぎるだろと思っていました。
しかし幸村は決してボケて何も考えていなかったわけではなく、朋也や春原のことを「退任前の最後の教え子」として可愛がっていたことが判明しました。
幸村のことを知った朋也と春原は、卒業式の日に幸村の前で「ありがとうございました!」と礼を言いました。校内屈指の問題児二人が、教師に頭を下げた瞬間。あらゆるルートで駆り出されていた幸村ですが、このルートでは彼の想いが教え子二人に伝わったのだと思い、感動しました。
そういえば3on3のイベントで芳野を仲間に引き入れた時に、芳野が「俺はあの人には逆らえないからな」と言っていましたが、あれって幸村のことだったりしたのでしょうか。
芳野も高校生時代は悪ガキだったらしいので、生活指導の幸村のお世話になっている可能性は高いです。この辺りは外伝作品で語られてそうな内容ですが……。
6位 美佐枝ルート
決して叶うはずのない恋が叶ってしまった話。なんとも切ないルートでした。
美佐枝ルートは動物がメインになるという話は、他の人から事前に聞いていたので知ってました。僕は動物(特に猫)が好きなので、このルートは人と動物の家族愛が描かれる俺得なルートになるのかと思っていましたが、いい意味で期待を裏切られました。
このルートに出てくる猫には、人間臭さをとても感じさせられました。
回想で出てきた少年は、元々は「志摩くんに飼われていた猫」、という解釈が正しいでしょうか。
志摩だと思われていた人物が実は志摩じゃなかったという展開は、全く予想できませんでした。個別ルートの中にもたまにファンタジー要素を混ぜてくるから油断できないですね……。
それにしても美佐枝の友達のサキとユキがいい人すぎました。美佐枝が落ち込んでいる時はめちゃくちゃ見当違いなことを入れ知恵していた割には、最後の最後で鋭すぎて。少年に最後に告げたことは、友情の在り方として的確過ぎたと思いました。
最終的なオチは「なんか不思議な力が起きて猫が人の姿になる」というベタ(?)なのを予想していましたが、そこは現実主義でした。
猫が人の姿になることもなければ、猫と人が会話する手段なんてあるはずがなく。美佐枝は自分が飼っている猫の正体を知らないまま、ずっと想い人を待ち続けていました。
しかし、「ずっとそばにいてください」という二人が交わした約束は、確かに叶っていたのだと思いました。
また、智代ルートでは創立者祭において、美佐枝と猫が教室内で遊んでいる姿を見ることができます。その際に台詞からは推測できないものの、CGの美佐枝の目に涙が浮かんでいる辺り、もしかしたら真実が伝わったのかな……? とも考えられました。
このルートもアニメの方が評価が高いらしいです。果たしてどのような内容になっているのでしょう。
「実は近くにいる存在をずっと待ち続けている恋」というのもロマンチックで良かったですけど、プレイし終えた後で二人には幸せになって欲しいという気持ちはやっぱりあったので、その辺りの結末が変わっていたら面白そうだと思いました。
5位 春原ルート
早苗さんや妹を交えて、なんやかんや画策していた朋也と春原でしたが、一周回って結局二人がいつものように仲良く「馬鹿やってた」話ということに行き着いた感じがありました。
春原は最初は妹にカッコイイ所を見せる為の計画としか考えていなかったものの、いつの間にか本当に早苗さんにお熱に。
朋也はさっさと早苗さんが人妻だってことを教えてやれとも思いましたが、言って解決するような問題でもなかったので、あえて放置してたのでしょうかね。
早苗さんが子供達を助けた時に一人だけ文句を垂れていた時は、いくらなんでもどうしようもなさすぎる奴だなと思いました。恋は盲目というやつでしょうか。
この時の春原は、もしかしたら妹を安心させたいから「嘘」を「本当」にしたかったという気持ちもあったのかもしれませんね。まあ、流石に自分の野望の為に突き進んでいたようにしか見えませんでしたが……。
一方、朋也はというと、そんな春原の目を覚まさす為に芽衣と計画を練っていました。
夜に春原と対峙した時の行動は名演技でしたね。それも自分を悪役へと仕立て上げることで、春原を怒らすのが目的だったということでしたが、残念ながら春原は動かず。
僕もプレイしていた時は、春原ヘタレすぎるだろと思ってしまった場面でした。しかし、これは決して春原がヘタレだったからというわけではなく、偏に春原が朋也のことを親友として認めていたから、だったのでした。
……ということで、蓋を開けてみれば二人とも空回りしていただけ、だったんですよね。
春原は早苗さんのことにばかり集中していたせいで、周りが見えなくて。朋也も自分を悪役へと仕立て上げた時点で、間違っていたということがわかっていなくて。やっぱり二人とも馬鹿なのでした。
二人は殴り合って。お互いの顔を見て。笑い合いました。初めて会った時のように。

やや大袈裟になってしまったものの、朋也と春原にとってはこれは「馬鹿やる」の延長線上に過ぎない過去として、笑って流された。やっぱりこれが二人の関係なんだな、と思いました。
プレイ前は「春原が大活躍してギャップ萌えで感動させてくるルート」なのかと思ってましたが、いい意味で期待を裏切られました。
4位 渚ルート
渚ルートはアフターストーリーの前日譚とも言うべきルートですね。
ちなみにこのルートの途中でOPが流れてくれるのですが、渚ルートをプレイするのは一番最後にしてしまったので、流れるの遅っ!と思ってしまいました。
ちなみに3on3のイベントはパターンがたくさんあるということを知ったので、色々なキャラと組んで遊んでました。
芳野とかオッサンとかと一緒にバスケできるのずるいですね。一応二人とも勝手に助っ人として来たとはいえ。
どのキャラと組んでも勝つことができるわけではなく、組むキャラによっては選択の余地もなしに強制的に失敗してしまうので、面白かったです。
勝利→杏、智代、美佐枝、秋生、芳野
敗北→渚、椋、風子、有紀寧
勝利パターンは見事に校内最強の生徒二人+大人三人が固まっているので、必然とも言える分かれ方でしょうか。
ルートとしての見所といえば……共通ルート内ではありますが、朋也が渚を後ろから抱きしめる場面。
朋也は渚をずっと支えてやりたかったことに気付いて。渚は朋也と一緒に頑張り合うことを誓いました。アフターストーリーまでも続いていく二人の長い関係の、ターニングポイントとも言うべき場面です。
アフターストーリーが終わった後で見直してみると、考えさせられるものがあって泣かされますね。
もう一つの見所といえばやはり、創立者祭の演劇において、オッサンが渚に向かって叫ぶ場面でしょう。

なんかもう全部が名言ですね。
オッサンが初めて父親としての姿を見せ、自分と早苗さんの想いをぶちまけ、家族の在り方を説くという熱さには涙が出ました。
演劇は無事終わったものの、渚が急に熱を出して倒れてしまい、留年が決定してしまう。
渚のこの持病のような長い熱は、何か秘密があるのかなと思ってました。アフターストーリーを終えた後でも明言されることはありませんでしたが、ある程度推測することはできるようになりましたね。
オチが弱い(アフターストーリーが本番だから仕方ないけど解決してないことが多かった)為に単体としての完成度を見た場合の順位は下がってしまいましたが、岡崎朋也・少年編とも言うべき大切なシナリオだったと思います。

アフターストーリーへ続く!
3位 風子ルート
一番最初にプレイして、一番泣けたルート。
ただ風子というキャラが気に入ったという理由のみで最初に進めたのですが、プレイを後回しにしていたら更に他のキャラに感情移入ができたと思うので、もしかしたらもっと感動できてたかもしれません。
そういう意味で少し後悔はしていますが、アニメも最初は風子ルートから始まったらしいので、どうせあまり関係ないでしょう……。
共通ルートでたまに話題に上っていた幽霊の正体は、最初は有紀寧だと思っていましたが、まさか風子だったとは。
というかヒロインの一人が幽霊だったというのもかなり衝撃です。個別ルートの初っ端からいきなりファンタジー要素をぶん投げられるとは思わず面食らいました。
泣けるポイントが数多くあり、全力で泣かせに来てるルートやんけ!とか勝手に被害妄想してました。
このような「別れ」を描いたエピソードというのは否が応にも涙を誘われてしまうというのはありますが、風子ルートはその「別れ」の部分をおざなりにすることなく、少しずつ丁寧に描写してきたので、涙ボロボロでした。
春原、オッサン、早苗さん、渚が順番に風子のことを認識できなくなっていき、誰もがやり場のない気持ちを抱え込んでいた様子は、とても悲しかったです。完成度高すぎる。
泣かされた場面はたくさんあったものの、一番のピークはやはり、ラストの結婚式の場面でした。
校門でたくさんの生徒が出迎えていたのを見た時は、風子の頑張りが実ったのだと感じて涙が出ました。
生徒から嫌われてしまうどころか、認識すらされなくなってしまった風子。彼女の努力は確かに形としては報われたのですが、報われた時には彼女の存在は既に……。

朋也が伊吹先生に自分の感情を告白する場面は、一番泣けました。
たった一人で頑張っていた奴がいたんだと。自分はたぶんそいつのことが好きだったのだと。
悪戯したりヘンな人扱いされたりして罵り合いながらも、朋也は風子のことを認めていたし、好意を持っていた。その感情にようやく気付いたというのに、気付いた時には名前が出てこなかったというのが悲しすぎました。
とにかく個別ルートの中で一番泣けるのは風子ルートというのは間違いないと思いました。人によってはアフターストーリーよりも泣けるとか。
二周目にやると見方が変わるルートだと思うので、もう一度やり直してみたいルートという意味では一番です。
2位 藤林ルート
運命が紡いだ残酷な恋物語。
そうこうしても「女の子の自分への好意」を無下にしてしまう話ですから、人によっては胸糞悪いシナリオになってしまいそうだと思いましたが、自分は好きなルートでした。
朋也が藤林妹と付き合い始めるものの、途中で本当は藤林姉の方が好きだということに気付いて、最終的に藤林妹とは別れて藤林姉とくっつきました。というのがあらすじ。
これだけなら朋也一体何がしたいんだよと思ってしまうような話ですが、藤林ルートでは三人のそれぞれの苦悩や後悔が人間臭く描かれており、とても味のあるルートだと思いました。

杏の「…ごめんなさい…あたし…あんたのことが好き…」という台詞が悲しかった。このゲームでもトップクラスに好きな台詞のひとつです。
杏が朋也と椋をくっつけちゃおう大作戦をしたのは、ここまで苦しい気持ちになるなんてことを知らなかったから。
朋也が杏に引っ張られるがままに椋との交際を決めたのは、自分が本当は杏のことを好きだったということをまだわかっていなかったから。
朋也も杏も、自分達が相手を「好き」という気持ちがどれだけ大きかったのかということに、気付いてなかったんですね。だから過ちを犯してしまいました。
このルートへの評価として、誰かがクズだとか行動がおかしいとか言われていることが多いと思いますが、個人的にはこの話に極悪人は誰もいなかったと思います。言うなれば三人等しく悪いです。
智代ルートと同じく、過ちに過ちが積み重なって起こってしまったような状況だったので、言いようのない歯がゆさはあったと思いますが、これも恋愛の難しさを表していたのかなと思います。
言ってしまえば朋也と椋が付き合うという過程があったからこそ、二人は自分達の気持ちに気付くことができたのですから。失って初めて大切なものに気付いた、という状態に近かったと思います。
元々は杏が朋也と椋のキューピットとなっていたのに、いつの間にか椋が朋也と杏のキューピットと化していましたね。
この藤林ルート内に限れば、椋が一番好きなキャラでした。椋は……とにかく一途で優しかった。
自分の人格を捨ててまで姉に近づこうとし、姉の代わりになろうとしていた時は、お前本当にそれでいいのかと思いました。これも朋也と交際を続けていたかったからこそ、やっていたことだったのでしょう。
最後に彼女が姉の背中を押す為に提案したことだって、朋也のことを想っていたからこそできた選択だったと感じました。
自分をフった朋也に対して、ちゃんと「許したくない」と言ったことも良かったですね。その後に続いた言葉にも、彼女の一途さと優しさが表れていました。
1位 ことみルート
藤林ルートと迷いましたが、やっぱり考えれば考えるほどことみルートより面白いルートなんてないと思わされました。
もちろん人にもよると思いますが、彼女のルートは頭一つ抜けていたと感じました。
最後の方にプレイしたルートだっただけあり、朋也の過去が急に明らかにされるのには驚きました。
明らかになると言っても語られるのはごく一部のみでしたが、この手のゲームの主人公の過去には大事な秘密が隠されているのかな、と考えていたので。
朋也が実はことみと昔知り合っていたというのは、このルートへ進まないと判明しないことでしたね。ことみもこのルートへ進まないとほぼ出会うことのないヒロインですし、もっぱら彼女用の設定だったという感じがしました。
過去の出来事と現在の出来事が幾度もリンクしていく、一ノ瀬ことみという女の子の「人生」を描いた、個別ルート屈指の完成度を誇るエピソードでした。
朋也の意識は過去と現在を何回も行き来していましたね。一体朋也が感じている違和感はなんなのか。ことみの身には一体何があったのか。読み解いていくのが楽しかったです。
伏線もどのルートよりも多かったですね。僕は伏線っぽいと感じた描写はメモをしながらプレイしているのですが、ことみルートの欄が一番書き込み量が多くなりました。
朋也がことみと本当の意味で再会する場面も良かったですが、ことみの誕生日で明らかになる真実が一番感動しました。
両親の形見のスーツケースを開けて出てきたのは、くまのぬいぐるみ。ことみの希望した誕生日プレゼントが数年の時間旅行を経て届けられたのだと思うと、涙が出ました。
両親がことみに宛てた手紙が「最高の論文」というのもいい言葉でしたね。故人の手紙なんて存在しているだけで絶対泣いてしまう。

CLANNADの大きなテーマとして「家族愛」があると思いますが、このルートは家族愛の他にも「友情」を強く感じさせられました。
ことみは「いっぱい友達を作りなさい」と書かれた父からの手紙を受け取りましたが……その手紙を読んだ時、彼女の周りはどうなっていたでしょうか?
彼女は自分を好いてくれる人に、自分を支えてくれる人に、恵まれていたのでした。
幼少時代に深い傷を負ってしまった女の子が、こうしてたくさんの幸せを手に入れることができた。とってもとっても素敵なエピソードでした。
感想③ AFTER STORY
全ての個別ルートを終えた時に開かれる、最後の扉。
ストーリーは渚ルートの続きから開始しました。
早苗編
早苗さんの背中を押してあげるオッサンはやはりかっこよかったです。
普段おちゃらけているようなキャラが、決める時は決めてくれる感じのかっこよさ。最初から早苗さんの気持ちを最もわかっていた人物は、他でもなく一番近くにいた彼だったんですね。
終始周囲の人物への優しさしか見せていなかった完璧人間の早苗さんが、初めてワガママを言う場面。
それでもそのワガママを皆が受け入れていた辺り、この人は周りから本当に愛されているのだと感じて、涙が出ました。
芳野編
草野球シナリオのように身近な人物を集めて即興バンドグループを結成する話かと思いきや、芳野さんが全てを担当することになりました。
素人ができることではないので仕方ないですね。朋也も「漫画だとこういうとき身近なところに強力な助っ人がいる」とか言ってメタ発言をしていた。オッサンが勝手に引っ張られて行ったのは笑いました。
芳野が音楽を諦めていないという事実が、昔朋也と春原でふざけていた時に発覚していたというのが良かったですね。
アニメ1話で貼られた伏線が30話ぐらい後で回収されたような気持ちに。
厳密にはここのエピソードではないですけど、朋也がやっと一人前の仕事人として認められたと思ったら、実は芳野にケツを拭われていたという描写にはリアリティがありました。
アフターストーリーの他のエピソードもそうなのですが、今まで朋也の手助けしかほぼしてなかった大人達を、ここでは逆に幸せにさせてあげられるというのは面白かったです。
光が出る=幸せを感じたということですから、朋也も与えられるままに留まらず、ようやく恩返しをすることができたということなのでしょうか。
秋生編
厳密には汐編を見た後でないと見ることができない話。……のはず。早苗編や芳野編と違って、ひとつのルート内に組み込まれるのではなく、エンディングのひとつとして枝分かれしていました。
ルートのひとつと聞いていた割にはめちゃくちゃ短くて、しかも汐編をプレイした後だったことも手伝って、「え!?これで終わりなの!?」感が拭えなかったです。
が……短いながらも古河秋生という人物のことがとてもよく描かれていた、大事なエピソードだったと感じました。このルートをやらずしてオッサンのことを語るべからず。(当たり前)
あの悩みなんてほとんどなさそうなオッサンから光をもらえるなんて、不思議でしたね。
これは最初の朋也と渚による計らいと、最後の早苗さんの「どこにも行かないでください」という言葉から、生まれたのでしょうか。暖かい家族愛を見せつけられました。
同棲編
ここまでのシナリオは個別ルートを含めて全て茶番であるという声もあるぐらい、CLANNADの根幹をなしているシナリオが、同棲編と汐編です。いや個別ルートもいい話ばかりだったので決して茶番だとは思っていませんが……そう言われてしまうぐらいこのゲームにおいて重要なウエイトを占めているエピソードというのは、プレイしてみて間違いないと思いました。
交際、同棲、結婚、妊娠、出産……と、徐々に段階を踏んでいく朋也と渚を見て、ようやく「CLANNADは人生」という言葉の真の意味に本当に気付きました。CLANNADはホントに人生だった。
朋也の父親である直幸は、どんどん堕落していきました。
渚ルートで朋也が家出を決めた時に朋也のことを話し相手としか見ていなかったこと、アフターストーリーで怪しい人物と交流していたのが発覚したこと、そしてついには逮捕されるまでに及んで息子の顔に泥を塗ってしまったことから、ロクでもない父親だったということは徐々に実感できるようになってましたね。
序盤の段階では「朋也のことを息子として扱っていない」と言われてもパッとしなかったです。渚と一緒で「実は本当はいい人で、朋也が誤解しているだけ」なのかとも予想していましたが、やはり本当にどうしようもない親だったのだと思わされました。
面会に来てくれた息子に対して無言だったのが、一番酷かったです。この時は直幸の心もどん底まで堕ちていたのでしょうね。
朋也がオッサンとの勝負に勝った瞬間、オッサンに向かって土下座しにいく場面は熱かったです。本当に渚のことを大切にしているんだな、と思わされました。
その後のオッサンと早苗さんのやり取りも、親らしさを感じさせられて良かったです。やはりこの人達には頭が上がらない。
オッサンと二人で渚のファミレスに潜入するパートがこのゲームで一番笑いました。グラサンかけて変装とか言い出すとこから既に面白過ぎた。
この人達いい歳した大人なのに、なんでこんなに楽しそうなんだ……。いい意味で頭がおかしすぎました。
そして妊娠・予期せぬ高熱を経て迎えた、渚の出産。ここが一番つらいシーンでした。
ここは好きなシーンかと言われたら、間違いなくCLANNADで一番好きなシーンにはなるのだと思いますが、それにしても好きなんて言うことすら冒涜になってしまうと感じてしまうぐらいつらすぎて。悲しすぎて涙も出なかった。
ネタバレを全く見ないでプレイしていたので、出産の結果がどうなるかは全くわからなかったです。
もしかして喜びから悪夢へ転落するような結末が待っているのかな……とは薄々感じていましたが……いや本当にこれは悲しすぎて……。


この辺りのテキストを見てから背筋が凍りました。読み進めていけば読み進めていくほど疑いは濃くなっていったので……。ちなみに一周目しか読むことのできないテキストのようです。
ここの文章で朋也が自分の殻に閉じこもってしまってことが明白になったと思いました。必死で渚に話しかけていく姿が悲しすぎました。
最初に出会った時に流れた彼女のメインテーマである「渚」が、この最期で流れるというのも域な真似をしてくれたものだなと思いました。
「渚」が流れてしんみりした気持ちのまま読み進めていき、いつもならこの辺で曲がループすると思ったら……まさかの別バージョンの曲でした。
このシーン専用に作られた曲、「渚~坂の下の別れ」。曲も曲名もずるすぎました。
汐編
汐との旅の果てで待っていたのは、朋也の父親である直幸の母親でした。
祖母の口から聞かされる、直幸の苦悩と息子への想い。
泣いていいのはパパの胸の中と言って、朋也の胸へ飛び込む汐。
渚の思い出を汐へ語り出す朋也。
ゲームではなくアニメの話となってしまいますが、そのシーンを切り取った動画がyoutubeにあったので、貼らせていただきたいと思います。
youtubeで「CLANNAD」と検索した時に、かなり上の方でヒットする動画。CLANNADで最も人気のあるシーンどころか、全アニメ屈指の泣ける場面と言われているとか言われていないとか。
僕もCLANNADで一番泣いたシーンでした。CLANNADには個別ルートを含めて様々な場面で何度も泣かされてきましたし、総じて泣かされた回数は全ゲームでも一番多かったと思いますが、それでもここがこのゲームで最も感動させられた場面だったと思います。めちゃくちゃ泣きました。
「泣いていいのはパパの胸の中」と言った汐を朋也が抱き締める場面も、朋也が父親の気持ちを理解した今だからこそ父親の顔になれたのだと思って、感動できました。
が……やっぱり一番泣けたのは、朋也が汐に渚の思い出を語る場面。
朋也はずっと渚の死を受け入れることができていなくて。こうして自分の娘に渚への想いを打ち明けたことで、ようやく実感することができたのですね……。
アニメのこの場面も素晴らしかったですね。渚の名前を呟きながら涙を流す朋也も、フラッシュバックのように流れる回想も、「やっと見つけたんだ」というモノローグのかけどころも。
ゲームをクリアした後にこの動画を見たのですが、原作をプレイした時よりも泣かされたと思います……。アニメもいつか見なきゃなぁ。
渚が死ぬ場面では泣かなかったのに、ここで一番涙が出てしまうというのは、奇しくも朋也と同じでしたね。プレイヤー自身も渚の死を受け入れられてなかったか……。
そしてCLANNADのもうひとつの山場と言われている、父親・直幸との和解。
ここもめちゃくちゃ泣けました。直幸がロクでもない人間だったことは事実ですが、朋也にとっては直幸は確かに誇りに思える父親なのでした。
朋也と直幸が交わした言葉はとても少なく、「和解」というにはさっぱりとしていました。
しかし、朋也は直幸のことを父親としては立派だったと思っていて、直幸が朋也に対しての呼び方が呼び捨てに変わっていて。ずっとお互いに距離を置き続けていた二人が、ようやくお互いの存在を親子として認め合えたことは確かなのでした。
直幸を見送った後に、「あの人は幸せだったのだろうか」と朋也は呟きます。それは朋也の手に吸い込まれていった光が答えになっていたのだと感じました。
幼稚園で働いている杏の姿を見て、時間の流れを実感しました。
これから汐が立派に成長するまで、朋也は汐と共に歩み続ける。そう思っていたのですが……。朋也を襲ったのは残酷な運命でした。
汐が高熱を出し、雪の中で朋也に抱きしめられるシーン。
この辺りが「これからどうなっちゃうんだ!?」と最も強く思わされました。
ここでなんか不思議な力が起きて、渚と同じように汐が救われるのか?と思っていましたが、待っていたのは予想外の展開でした。
いきなり幻想世界に飛び、語られたのは「大切な人を助ける為にもう一度やり直す」という計画。
朋也は何度もループを繰り返して、光を集めていたのですね。ただ大切な人を――渚を救う為に。
そして、旅立つ「僕」に対して放たれた、「少女」からの言葉は……。
最初と最後が繋がったような感覚でした。
トゥルーエンド
「幻想世界」というこのゲームを始めた頃から綿密に貼られていた伏線が、ついに解き明かされました。これが、この物語の本当の意味……。
朋也と汐が幻想世界へと発現した理由など、説明されていない部分も多かったので初見はわからないところもありましたが、その辺りは自分なりに調べて他の人の考察を読んだりして補完しました。
序盤から登場していた「だんご大家族」というキャラクターが、まさかこの物語の全てのメタファーとなっていたとは。知れば知るほど深いゲームだと感じました。
一度「別れ」の悲しみを突きつけられた後に見せられる、全てが報われた「ハッピーエンド」。
他のkey作品でもあったのですが、やっぱり感動させられます。

ずっと残酷な道を歩んできていた、朋也も、渚も、汐も。ようやく幸せになれたのだと。本当に良かった……。
好きなキャラクター、音楽
総括の前に、最後までプレイして好きになったキャラクターや音楽の、結論をまとめていきます。
キャラクター
みんな魅力的なキャラクター達で、CLANNADの世界を彩っていました。10位から順に簡潔にキャラ感を書いていきたいと思います。
個別ルートの感想を書く前に書いてしまったキャラもいるので、内容がかなり被っているところもあるかもしれません……。
10.春原陽平
ヒロインではないですし、アフターストーリーでも出番はほぼありませんが、この作品には欠かせないキャラでしたね。
「それと便座カバー」って随分前からネットスラングで使われていたのを覚えていますが、まさか彼が元ネタだったとは……。
春原にはとにかく笑いを届けられました。朋也、杏、智代から蔑ろにされまくってる姿は日常風景。
でも智代に蹴られまくってるのは可哀想すぎて笑えなかった。コンボってなんですかね……。
おまじないを試そうとして失敗するなど、何かを目論もうとするものの全く上手く行かずに玉砕するような場面が好きでした。彼らしさを表している気がして面白かったです。
普段は徹底的ないじられキャラとして君臨していますが、決める時は決めてくれるのも春原のかっこよさでした。
個人的に一番かっこよかったのは、杏ルートの彼でした。正直鋭すぎて別キャラかよって感じでしたが。朋也や杏と過ごしていた時間が長かったからこそ、彼らの背中を押すようなことを言い当てられたのかなと思いました。
9.宮沢有紀寧
不思議なキャラクターでした。と言うほかないです。
智代達と比較すると流石に出番は少なめでしたが、一応3on3の試合に誘うことはできたりしたので、他のルートでもほんの少しだけ出番は見られました。
朋也や春原を含めた、不良達に好かれてしまうのもわかってしまうぐらい可愛いキャラだった。
同じ高校の女学生という括りの中では、唯一朋也が攻略できなかったヒロインとなるのでしょうか。
朋也とは距離が最も近いようで最も遠いという。ギャルゲーなのにも関わらず、主人公が片思いのまま終わってしまいました。
ずっと兄の背中を追い続けていた為に、恋愛とは疎遠でした。そういう意味ではやはり不思議なキャラだったと感じました。
8.古河早苗
とにかくいい人だった。いい人すぎて意味わからなかったです。
朋也が渚と力を合わせて生きていくと行った後も、渚と死別して汐を男手一人で育てていくと決めた後も、変わらず彼をサポートしてくれたお義母さんでした。
朋也は彼女には一生頭が上がらないと感じました。
早苗編の感想のところでも書きましたが、朋也だけでなく周囲の人物みんなから好かれているような人でした。
その理由は、高校生の娘を持つ母親には到底見えない若さにもあると思いますが……一番の理由はやはり、人が良すぎる性格。春原ルートでも見ず知らずのいじめっ子を諭す勇気を見せていましたし、春原には勿体無さ過ぎる人と言われるのもわかります。
7.一ノ瀬ことみ
クセの強いキャラが多いCLANNADですが、その中でもトップクラスにヘンな人なのがことみでした。
しかし、そうは言っても彼女は恥ずかしがったり泣いたりすることは普通にありました。朋也の言う通り、ことみはちょっと変わったところはあるけど普通の女の子なのでした。
最初はこういう変な性格のヒロインってあんまり好感が持てないと思いますが、ルートが終わった後ではそんな性格にも愛おしさを感じられるようになりますよね。
彼女の場合はとにかくルートが良すぎたので、特にそう思いました。朋也を始めとした周りのみんなに優しくされて、本当の意味で幸せになれたのが素晴らし過ぎました。
6.春原芽衣
正直可愛いからとしか言えないんですけど、その理由だけだと色んな意味で問題がありそうなので、詳しく書いていきたいと思います。
CLANNADで立ち絵のある登場人物の中では汐を除いて最年少の芽衣でしたが、あの春原陽平の妹でありながらも、とても落ち着いた女の子でした。最初春原の妹というだけで、朋也が人間扱いしていないのは面白かった。
馬鹿やってる兄に対しては呆れた表情を見せながらも、お兄ちゃん想いの子でしたね。ずっと良い所なしの春原を突き放すのではなく、彼を信じ続けたというのはすごかったと思います。
学校を休むのは序の口であり、大袈裟な演技をしたり朋也と共に計画を練るなど、春原の為に色々なことをやろうとしていました。
サッカー部に単身で乗り込んでいったことだって、彼が助けてくれると信じていたからです。本当に兄のことが大好きな子だったんだな、と感じました。
春原ルートの春原は何度も何度も空回りをしながらも、最後の最後はちゃんと妹の為に良い所が見せられたので、彼女も報われたのだと思いました。
5.藤林椋
最初は自分の中では好きなヒロインランキング最下位になるかもしれないというぐらい印象が薄かったキャラだったのですが、杏ルートをプレイした後では見方が変わりました。こんな内気なキャラを好きになることは絶対ないと思っていた……。
自分が朋也に愛されてないことにも、彼の目に映っているのは自分の姉だということにも、ずっと気付いていたのにも関わらず、どうしてここまで朋也に対して一途になれるのでしょうか。
料理の練習をし始めたことも、内気な性格を変えようと努力したことも。全ては朋也の為であり、朋也の理想の女性である自分の姉に近づく為でした。
自己を捨ててまで朋也に想いを寄せ続けていた椋が好きだったので、個人的に勝平ルートの椋はあまり好きではないのですが……。
まあ、自分を愛してくれた人をあそこまで愛し返すことができるという優しさも、彼女の良さのひとつだったのだと思っておきます。
4.伊吹風子
風子は共通ルートをプレイ中に、最初に気に入ったキャラクターでした。
彼女のルートに分岐した後では流石に主人公を蔑ろにするような言動が多すぎて、なんだコイツは!と感じていましたが。まあ、朋也も朋也で風子に対して悪戯をしまくってクラスチェンジとかしていたので、おあいこでした。
ルートをやった後では更に好感を持てるようになりました。不器用ながらも彼女は本当に頑張っていたのだと。
こういう変な性格のヒロインって最初はあんまり好感が持てないと思いますが、ルートが終わった後ではそんな性格にも愛おしさを感じられるようになりますよね(2回目)
アフターストーリーでは彼女の言動が余計に笑えるようになったので、そう実感しました。こんだけ子供っぽい性格している癖に「懐柔」とか「傷モノ」みたいな言葉を使っているのが笑う。
3.藤林杏

杏はヒロインの中では最も主人公と距離感の近いキャラだったように感じました。
朋也との漫才がいちいち面白かったです。「あんたお新香以外食べちゃダメ」が一番笑いました。
朋也と杏の腐れ縁で結ばれたような関係も好きでしたが、そんな二人がずっと前から抱えていた気持ちに初めて気付くことができた、杏ルートの展開が一番好きでした。
「くっつけちゃおう大作戦」を実行してた時の杏の気持ちを考えると切なく感じます。大雨の中で朋也に告白した時の「ごめんなさい」という言葉には、色々な意味が含まれていたのだと思いました。
乱暴な言動が終始目立っていた彼女でしたが、乙女な一面もありましたね。嘘を誤魔化すのが下手だったり恥ずかしがったりしてるところは、普段暴力を振るっている彼女とはギャップがありました。
椋のことがあるからか、それともただの恥ずかしがり屋だからなのかわかりませんが、普段は朋也への恋愛感情は封印している杏。そんな彼女ですが、有紀寧ルートへ分岐する途中で見ることのできる体育倉庫での「おまじない」の場面は必見です。
他にもアニメではアニオリの描写によってかなりキャラを立てられている人物の一人らしいので、機会があったら見てみたいなぁと考えています……。
2.古河渚

古河渚は最高のメインヒロインでした。
CLANNADにおいて朋也は、あらゆるルートで様々なヒロインと関係を築いてきました。しかしアフターストーリーをやった後では、やはり朋也の「大切な人」となり得るのは、渚しかありえないのだと思いました。
最初に出会った時から風子の次に好きなヒロインだったのですが、他の様々なルートで見ることのできる彼女の一面や、渚ルートやアフターストーリーでの彼女の姿を見た後では、ヒロインの中では一番お気に入りのキャラクターになりました。
メインテーマの「渚」が良いというのも好きな理由のひとつです。彼女の名前がそのまま使われたテーマ曲でありながらも、CLANNADを代表する曲ですよね。
高校の同級生としての渚は、とてもか弱い存在でした。「可愛い」とか「支えてあげたい」とかここまで思わされるキャラもいないです。朋也の気持ちもわかる。
アフターストーリーでは一転して、朋也の最高のパートナーとも言うべき女の子に成長したと思います。絶対に泣かないと誓い、時には朋也に意見をしながらも、彼女らは共に支え合って生きていきました。
一番感情移入していたヒロインが渚だっただけあって、「坂の下の別れ」の場面は胸に刺さりました。あの光の中で渚が立っているCGが今でも思い起こされます。
トゥルーエンドで彼女が死なない歴史が生まれたのは、本当に良かった。朋也と一緒に幸せになってくれて良かった。
1.古河秋生

大切な人の父親は、誰よりも自分に似ている人で、誰よりも強い人だった。
オッサンといえば渚ルートとアフターストーリーでのかっこよさが目立つキャラですが、自分は渚ルートに入る前から1,2を争うぐらい好きなキャラでした。
というのも理由はただ一つで、なんかもう面白すぎたからです。CLANNADは自分が今までプレイしていて一番泣かされたシーンであると同時に、一番笑わされたゲームでもあるのですが、後者の原因の8割ぐらいはこいつのせいでした。俺は大好きだぁぁぁぁぁぁ!
朋也と春原の関係は、春原が一方的に弄られているせいでイジメに見えてしまうことが多かったです。しかし朋也とオッサンはどっちも罵り合っているような馬鹿げたやり取りを終始繰り返しているので、見てくれではこちらの方が悪友同士に近いまであるのではないかと感じました。
そんなアホアホ一家の大黒柱であるオッサンでしたが、やはりファンが惹かれるところといえば、その面白さとかっこよさのギャップにあります。
彼が最初に輝くのは渚ルートの終盤の演劇。上辺ではなく、最高の父親らしさを見せてくれました。一度自分の夢を追うのをやめ、渚を一人にさせてしまったことを後悔した彼だからこそ、言葉には重みがありました。
その後のアフターストーリーでも彼の活躍は止まらず、時には朋也と対決しながらも、朋也をしっかりサポートしてくれる良きお義父さんでした。
作中でも朋也から言及されていましたが、「普段はふざけているけどマジメに物事を考えている」のが古河秋生でした。そういうのってありきたりなキャラな気がしますけど、オッサンの場合は基本的には朋也に任せながらも、要所要所で的確なアドバイスをくれて朋也を後ろから支えてくれていたのが印象強いです。
加えて渚が亡くなった時に怒声をあげる、早苗さんの気持ちを汲んで胸を貸してやれるなど、家族想いなパパであることは伺えました。普段ふざけているけどマジメというよりは、普段憎まれ口ばかり叩いている癖に家族愛はとても深いというのが、彼がここまでかっこよく見えた理由なのかなと思いました。
彼がメインとなる秋生ルート。バスジャック犯である知らない男の為にあそこまで身体を張ったことは、勇気というよりは無謀とも言える行動でした。
一人の男としてはかっこいいことなのですが、父親としてははっきり言って褒められた行動ではなかったと思います。家族達のことを考えると、命を落とすような危険を冒してはいけません。
……尤も彼にとっては、命を落とすという選択肢なんてものが、そもそもなかったのかもしれませんね。危険とか危険じゃないとか以前に、必ず生還することは最初から決まっていた。それも彼の強さの内でした。
なんにせよ、このゲームだと一番面白くてかっこよかったキャラでした。ヒロインを超えて最も好きなキャラクターです。
その枠から突き抜けた言動・行動は家族からも呆れられるもので、やはり彼を繋ぎ止める事ができる人物は誰一人いないのだと、強く感じさせられました。
音楽
1.「渚」&「渚~坂の下の別れ」
2.「遥かな年月」
3.「町,時の流れ,人」
4.「空に光る」
5.「潮鳴り」
6.「願いが叶う場所」
7.「馬鹿ふたり」
好きな曲順に書きました。
ここまでの文章でも何度か書きましたが、やはり「渚」がぶっち切りで一番好きでした。CLANNADをクリアしてからこの曲のヘビーローテーションが止まらないです。というか今も聴いてます。この文章を書きながらも。
最初に渚と邂逅して聴いた時から、この曲に魅せられたというのはありました。この曲は朋也と渚の関係のターニングポイントとも言うべき場面で度々流れ、何度も涙腺を刺激されました。ゲームをクリアした今でも変わらず一番好きな曲となりました。
そうして何度も流れる機会を拝むことができたからこそ、あのシーンで使われた「渚~坂の下の別れ」には心を揺さぶられました。普段のように曲がループするのではなく、まるで渚の命の灯火が消えかかっているのを、表しているかのような。そんな曲でした。
歌でいえば、やはり「小さな手のひら」一択です。歌詞も曲も素晴らしすぎて、トゥルーエンドでこの曲が流れた時は本当に感動しました。
涙腺崩壊曲過ぎるのであまり何度も聴いてはいません。なんだかあのエンディング以外の場面で聴くのが恐れ多いまである。
総括
ということで、CLANNADの感想は以上になります。
CLANNADは元々はいつかは触れてみたい作品だと考えていて、他の人に後押しされてゲームの購入を決めたのですが、全てを見終えた後では「買って良かった」と強く思わされました。
今回はなるべく内容を忘れない為にも、ゲームをクリアしてから早めに書き上げるように努力していました。と言っても正直10000字ぐらいで簡潔に書ければいいやと思っていたので、書いている内にここまで長文になってしまうとは思いませんでした。
CLANNADは僕が今までにプレイしたADVの中では最もテキスト容量が多い作品だと思うので、それも理由のひとつだったと思います。あれも書きたいこれも書きたいとやっている内に、いつの間にか長文に……。
テキスト容量が多すぎるからだれるということはなく、プレイ中は飽きることなくずっと楽しむことができました。むしろ個別ルートを進めている最中で「進めないとクリアできないけどこのまま終わって欲しくない」と思わされたぐらいです。
CLANNADはプレイしていて一番笑ったゲームであり、一番泣かされたゲームでした。そういう意味では最も感情移入をさせられたゲームだったと思います。

もはや有名すぎて一人歩きまでしている「CLANNADは人生」という言葉。
岡崎朋也と古河渚が歩んだ壮大な人生を見た後では、その言葉には確かに偽りはなかったと実感できました。