そもそもキズナックスとは? 無印のスカウトと比較して
無印での他校のキャラを仲間にする方法は「引き抜き」というシステムでした。

▲引き抜き。ざっくり書くと「電話で呼び出す→しばらく歩数を稼ぐ→会う→サッカーバトルで倒す」という工程です。
一部のキャラは話しかけただけで仲間になったり、サッカーバトルで負けることで仲間になるなど、特殊なキャラもいます。しかし、ほとんどのキャラはサッカーバトルで倒すことが条件となります。
このサッカーバトルでスカウトする方法の良いところは、
・サッカーゲームらしくサッカーを使った方法で仲間にすること
・仲間にするキャラとの交流があること
・仲間にする方法が運に左右されず、単純なこと こんな感じでしょうか。
逆に悪いところは、
仲間にする方法が単純すぎて、簡単すぎるか難しすぎるかの二極でしかないことだと考えられます。
単純すぎるというのは、仲間にする方法が前述の通り「電話で呼び出す→しばらく歩数を稼ぐ→会う→サッカーバトルで倒す」という工程しかないんですよね。本編で強敵だったキャラを仲間にするには血の滲むような努力をしなければならないのかと思えば、随分とあっさりしています。
あっさりとしているのは別に悪いことではないのですが、イナズマイレブンはチーム作りがスローガンのゲームなので、もう少しゲーム性のあるシステムの方が良かったなとプレイしていて思いました。
また、あっさりとしている=簡単すぎるというわけではありません。
無印2では本編で猛威を振るったライバルキャラ達がそう安々と仲間にできてしまうのは困ると思われたのか、一部のキャラはスカウト条件が非常に厳しく設定されました。
その厳しくなった条件の実態は、
サッカーバトルの相手のレベルを引き上げることでした。

▲みんなのトラウマ。「究極奥義を素手で止められた!」という報告は絶えませんでした。
無印はどうやら「相手とのレベル差が激しいとトータルテクニック関係なしに無条件でコマンドバトルに敗北することがある」という仕様があるみたいです。(ちゃんと検証したわけではないので定かではありません。GOのようにトータルテクニックが相手とのレベル差に応じて下がるだけかもしれません。)
ということで相手のGKのレベルが極端に高いと、挑戦するのをやめてレベリングに勤しむしかなくなります。一応ボディの高いキャラに超技をつけてトリプルで突っ込めば強引に突破できたりしますけど、子供達が普通にやっていたら思いつかない方法でした。
他にも無印3では、こちらのチームレベルが一定以上にならないとバトルをしてくれないキャラもいました。
ですから無印のスカウト方法において、
仲間にするのに必要な努力はレベル上げのみでした。レベル上げは条件と言うにはまた単純な指標で、目標レベルが高かったら大変ですし、低かったら楽すぎるということで極端な難易度しか生まれませんでした。(そもそもその目標レベルが無印2や無印3ではわからなくなっているので目標が漠然としてしまっているのですが、これは別の問題点なので省略します。)
そこでGOからはキズナックスというシステムが登場しました。

▲目金のキズナックス。GOではほぼ全てのキャラを仲間にするのに、このキズナックスというアイテムを使うことになります。
仲間にしたいキャラ相手にサッカーバトルを挑むという手法はなくなり、
キャラ毎に4つの条件を要求してくるようになりました。
このキズナックスでキャラが条件として要求してくるのは、主にキズナックスアイテムというものです。キズナックスアイテムは三種類あり、「キズナグッズ」「キズナ話題」「キズナ写真」の三つに分類されます。
・キズナグッズ キズナグッズとはキャラをスカウトする為に必要なアイテムで、試合やサッカーバトルをやっていると確率でドロップします。
またドロップ作業か!いちいち集めるなんてめんどくさい!ということではなく、「所持している」ということが条件になるので、スカウトする度に消費する必要はありません。一個でもドロップすれば他のキャラにも流用できますし、ドロップ確率も割かし高く設定されているので、スキルの秘伝書などのドロップ作業よりは精神的に疲れるような作業ではなかったです。
・キズナ話題、キズナ写真 話題は特定のキャラに話し掛けると、写真は特定の場所に行くことで入手することができます。
無印でもスカウトするにあたってしばらく歩くことを要求されましたが、あちらは電話がかかってくるまで歩数を稼ぐだけなので、何にもない同じところをぐるぐる回っているだけでも達成できました。
それと比較するとGOのキズナックスは、話題をくれる人物や写真の撮れる場所を探すなど、明確な目的ができたことによってマップを散策する楽しみができました。
このキズナックスとキズナックスアイテムの登場によって、やはり
レベル上げというたったひとつの条件しか要求されない無印と比較すると、ゲーム性が高くなったと思います。 無印と比べるとキャラを仲間にするのに時間がかかるようになり、加入するのが遅れてレベルに差がついてしまうようにはなってしまいますが、その分レベルを上げるのにかかる時間は減ったので些細な問題です。小さなことをコツコツ積み上げていくことの達成感を得られるようになり、これによってチーム作りはより面白いものになったのではないでしょうか。
世代を重ねる毎に快適になるキズナックス
キズナックスはGO1とGO2ではいくつか問題点がありましたが、それもイナギャラではほぼ解消されました。
・極端にドロップ率が低い条件の廃止 実装当初のGO1ではドロップ率が低いアイテムを要求してくるキズナックスがとても多かったです。
問題なのはキズナグッズの他にも、秘伝書、装備品、ユニフォームなど、要求されるものの種類が多岐にわたりました。GO1ではキズナグッズは70個ほどしか登場しませんでしたがこの有様なので、キズナグッズは実質100個以上あったと思います。
種類が多い=「被り」が少なくなるということに他ならず、それだけでドロップ作業に費やす時間が増えてしまいます。
更にGO1ではドロップ率の低いアイテムが多々あるので、苦汁を舐めさせられました。最も悪名高いのは
ゼロシューズでしょう。

▲噂ではドロップ率1%です。
GO2でも「究極の雪だるま」や「栄えあるトロフィー」など、体感ドロップ率が低く設定されているキズナグッズはありました。
イナギャラではキャラが要求してくるものは
「キズナックスアイテム」と「プレイの記録」のみとなり、種類の多すぎる条件に悩まされることはなくなりました。
また、イナギャラではアイテムのドロップ率が全体的に引き上げられ、当然キズナグッズのドロップ作業も幾分か取っ付きやすくなりました。トレジャーペンダントという装備品が登場した功績が大きいです。キズナグッズが何十戦やっても落ちない、ということは余程運が悪い限りはなくなりました。
・芋づる式スカウトの廃止 例えばGO2で白竜を仲間にしよう、と思い立ったとします。
1.白竜を仲間にするには
青銅と
蛇野を仲間にしなければならない
2.青銅を仲間にするには
笹山を仲間にしなければならない
3.笹山を仲間にするには
江島と
鬼塚と
佐喜と
帆田を仲間にしなければならない
4.蛇野を仲間にするには
藤木と
ミルと
銀座宮を仲間にしなければならない
……ということで、同コミュニティに所属する他のキャラをスカウトしていかなければ、白竜までは辿り着けません。
この四行を見てわかる通り、白竜をスカウトする為には
白竜以外のアンリミテッドシャイニングのメンバーを全員スカウトすることが要求されます。 いくら白竜がキャプテンだから安々と手に入るようにはしたくないとはいえ、自分だけのオリジナルチームを作るのが目的のゲームです。使いたくもないキャラ達を無理矢理スカウトさせて、限られたキャラ枠を圧迫されるのだから堪ったものではありませんでした。
しかし、
イナギャラではキズナックスの条件において、キャラがキャラを要求することはなくなりました。 「このキャラを仲間にするには同コミュニティのキャラを5人仲間にする必要があるぞ!」などと言われることはありますが、流石に同じチームのキャラを全員仲間にしなければならないという酷いことにはなりません。自分のキズナックスアイテム・キズナコイン状況を考えて条件が楽なキャラを適当に数人仲間にすればいいので、わざわざ条件のめんどくさいキャラを何人もスカウトする必要はなくなりました。
・バージョン限定キャラを要求する条件の廃止 2バージョン共通コミュニティのキャラを仲間にする為にはバージョン限定キャラが必要になる、ということはなくなりました。
……まあ、そもそも上記で挙げたように「キャラがキャラを要求する条件」は廃止されたので、当たり前です。というかバージョン限定キャラが必要になる方がおかしいです。
ですからいちいち特筆することではないような気もしますが、実際にそんな状況がGO1でできてしまったので、一応記述しておきます。

▲鬼道を仲間にする為のデモーニオを仲間にする為のチャンスウを仲間にする為の久雲。シャインを選んだプレイヤーの多くを苦しませました。
キズナックスはGOシリーズでずっと続いてきたスカウトシステムですが、どれもが別物と言っても過言ではないぐらい印象が違いました。
キズナックスが初めて登場したGO1ではやはり問題点が多く目立ち、GO2ではその問題点は多くは解消されたとはいえまだ粗はあった、という状態でした。
イナギャラではGO2が汲みそびれた問題点を見事に解消してくれ、これにてキズナックスというシステムはほぼ完成したこととなりました。一部の厳しすぎる条件
GO1やGO2と比べると理不尽な条件はほぼ廃止されましたが、それでも一部スカウト条件が厳しすぎるキャラもちらほら見受けられました。
☆例1 アルカディetc. キズナックスの条件のひとつが、プレイの記録「ホバリングレース銀メダル」を達成することとなっています。プレイの記録関連の条件は、確実性のないキズナグッズのドロップと比べると、基本的には運に左右されない条件というのがポイントです。
しかもこの条件は「『ホバリングレース』というミニゲームでハイスコアを出すだけ」ということなので、「試合を○○回こなす」のように試行回数を要求されるものでもありません。ですから腕前さえあれば一度クリアするだけで達成できます。
それならむしろそこらの条件よりも簡単じゃん! と、思われるかもしれません。が……このミニゲーム、やたら難しいです。一度クリアするだけで達成できるとは述べましたが、一発で銀メダルを取るなんてTASでもなければ不可能だと思います。銀メダルを獲得する為に必要なスコアは、何度も挑戦してルートを記憶することでやっと達成できる、というぐらいシビアです。

▲スコアしょぼいですがこれでも何度も挑戦しました。
前述の通りドロップ作業と違って運が絡まず、何度も挑戦していく内に上達することでクリアするという達成感はあります。ですからゲームとしては面白い仕様だと考えることはできると思います。
問題はこのミニゲームが、
サッカーゲームとは全く関係のないゲームだということです。何故好きなキャラをスカウトしたいだけなのにこんなミニゲームに延々と挑戦させられるのか、と疑問に感じてしまいました。
☆例2 白竜・千宮路・大人夕香 彼らは「キズナグッズコンプリート」というプレイの記録をクリアしていることが、スカウト条件の一部となっています。
前項では「プレイの記録は基本的には運に左右されない」と記述しましたが、この「キズナグッズコンプリート」はバリバリ左右されます。文字通り「キズナグッズ」を「コンプリート」しなければならないのですから。
キズナグッズは全部で100個あります。
ドロップ確率が気紛れなキズナグッズを100個全て集めるなんて正気の沙汰とは思えない条件です。数あるキズナックスの中でも彼ら三人のキズナックスは明らかに常軌を逸した難易度でした。

▲大人夕香は前作では比較的簡単にスカウトできたキャラなだけあって、何故ここまで難しくなってしまったのか不思議に思いました。
一応白竜と千宮路はアースイレブン結成時に選択すれば無償で仲間にできるので、救済措置はあることにはあります。しかし、白竜と千宮路が選べるのはビッグバンだけで、スーパーノヴァでは選べません。
よってビッグバンで白竜と千宮路を選んだ人が自然と勝ち組となり、キャラ格差及びバージョン格差までもが生まれてしまいました。まあ、元々ビッグバンとスーパーノヴァでは追加メンバー候補が違うという触れ込みでしたし、クリア後にバージョン違いのメンバーを全員仲間にできるだけでもありがたいと思うべきでしょうか。それにしてもここまで条件が厳しいのは白竜と千宮路のみなので、格差があることに変わりはないのですが。
☆例3 ミキシマックス済みキャラetc. そもそもキズナックスを入手するのが難しい、というキャラも何人かいました。
というのもイナギャラでは一部のキズナックスはコミュニティで購入する以外の方法で入手しなければなりませんでした。それが「キズナコインガチャ」というシステムです。

▲怨敵。
金コインを一枚入れると、ランダムにアイテムを吐き出します。
……そう、
キャラがガチャから出てくるシステムです。あの射幸心を煽るとか日本のゲーム業界をダメにするとか言われているガチャです。
ちなみにガチャの排出パターンはゲーム開始時に決定してしまうので、引く→リセット→引く→リセットをいくら繰り返しても結果は変わりません。
ガチャを引く為に使う金コインは入手手段が少ない上に、他のキャラのスカウトでも使わされます。ですから中々気軽に回せないものなので、いくらガチャを回しても欲しいキャラが出ない!というソシャゲのような苦しみを味わされます。
……と言っても、このキズナコインガチャでしか入手できないキズナックスは、天堂(天馬×円堂)、洗脳されたエイナム、爽やかな瞬木……など。ミキシトランス済みキャラやイメチェンキャラといった、色物キャラのキズナックスがほとんどです。大体のキャラはここで仲間にしなくとも、ミキシマックスを利用すれば再現が可能です。
ですから彼らを別枠キャラとして入手できるのはファンサービスのようなもので、このガチャでしか入手できないという仕様でも妥当と言えるかと思います。
それに前作のゲームコインガチャと比較すると、ゲーム内で得られる通貨を使っているだけまだ良心的です。金コインは入手確率が低いとはいえ、ゲーム内で無限に稼げるリソースですしね。
また、排出パターンが決まっているということは、裏を返せば
自分の欲しいキャラが何番目に出るかは確定しているということです。セーブした後にガチャを引けるだけ引きまくって、欲しいキャラが出なかったらリセットする、という戦法を取ることができます。「引かなきゃ良かった」というような後悔をさせられることはありません。
イナギャラは発売から一年間、wifi配信で金コインを毎週五枚配ってくれていたので、
キズナコインガチャはそれと併せてこのゲームを長く遊んで貰う為の工夫だったのかなと感じさせられました。
と、天堂や洗脳されたエイナムなどは、コミュニティから入手できるキャラ同士のミキシマックスで再現できるので、このような言い訳ができます。しかし時空最強トーブ、フェイ、黄名子、ザナークの四人は不可能です。彼らの素材であるトーチャン、ビッグ、マスタードラゴン、クララジェーンの四体はせめてコミュニティで入手可能にしても良かったのでは、と思いました。
この中でもクララジェーンはザナークや座名九郎のミキシ素材にすれば、ぶっ壊れ火力を出せるキャラを誕生させられるという利用価値があります。スーパーザナークは対人戦では剣竜(剣城×白竜)と並んでトップメタと言っても過言ではない(らしい)ので、そんな対人戦でも対戦ルートでも大活躍させられるパワーカードをガチャでしか入手できないというのはいかがなものかと思いました。
まあ、ですから
ミキシ素材の四体さえガチャ排出にしなければ、個人的には文句はひとつもなかったかな……というお話です。ガチャと言うと運ゲーの結晶みたいなフレーズなので聞こえは悪いですけど、ゲーム内の通貨を使用していること、いくらでもリセットができること、排出されるキャラは(四体を除き)代用が効くということで、そこまで悪質ではなかったと考えています。
以上、三点がイナギャラのキズナックスで気になった点です。他にも無印時代のスカウト方法と比較すると、キズナックスというシステム自体には、
・キャラをスカウトする時のやり取りがなくなり、キャラの印象が薄れてしまった
・ドロップアイテムという確実性のないものを要求されるのは疲れる という難点もあります。
前者は「GO2にあった『○○に会いに行く』という条件を多めに実装する」、後者は「一人のキャラが要求してくるキズナグッズは一個までにする」、などの方法で対策すれば多少は緩和できそうです。多少は。
キズナックスはサッカーバトルでのスカウトとはベクトルが違いすぎるシステムなので、ユーザーが感じている不満を完全に解消するのは難しいと思います。
おわりに
キズナックスはアイデア的には良システムだったと思っています。無印時代のスカウトのように簡単すぎるか理不尽に難しいかの不安定さはなくなって、キャラをスカウトする道程にそれなりのスパイスを与えてくれるようになりました。
しかし、
いい意味でも悪い意味でも無印のスカウトよりもめんどくさくなってしまったのは事実ですね。個人的にはこれぐらいめんどくさいのは大歓迎なのですが、無印と比べると毛色が違いすぎて嫌いになってしまう方も少なくないと思います。
実装当初のGO1のキズナックスの条件は、設定ミスかのような租だらけで褒められたものではありませんでした。GO2も芋づる式でキャラをスカウトしていくことが要求されることが多すぎて、好きなキャラを集めるという目的からは脱線していました。
それがイナギャラでは大幅に見直されたのは褒められる点だと思います。
新たにスカウト可能になった多種多様なキャラクターと相まって、イナズマイレブンシリーズの根幹である「自分だけのオリジナルチームを作る」というコンセプトに、奥深く歯応えのあるゲーム性を与えてくれました。 しかし、あと一歩! あと一歩足りていれば、間違いなく良システムと呼べたと思います。
あまりにもぶっ飛んだ条件を要求される、サッカーゲームとは全く関係のない条件を要求される、条件以前にそもそもキズナックスを入手する手段が無茶苦茶……などの点が数キャラのキズナックスで当て嵌まったのが、ちょっと惜しかったです。
キズナックスというシステムはこの三作目を経てついに、完成まであと一歩というところまで近付きました。
次回作で続投させるのならば、今度こそ100%快適と言えるようなシステムへと昇華させて欲しいです。そして次回作ではその「完成されたキズナックス」で、また僕達のオレブン作りの過程を彩っていただきたいものです。